スイスの技術にフランスの美的感性を融合させた、フランソワ=ポール・ジュルヌ

  • 文:笠木恵司
  • イラスト:西田真魚

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初代ブレゲを筆頭に、時計界では多くの天才を輩出してきた。現代の時計技術やデザインを大きく飛躍させたカリスマたちを紹介する。今回は、スイスの技術に、フランスの美的感性を融合させた、フランソワ=ポール・ジュルヌについて解説。

ハリー・ウィンストンが始めたオーパス・シリーズの第1号を手がけたのがフランソワ=ポール・ジュルヌだ。彼が手がけたスペシャルピースは2つのテンプが共振することで高い精度を維持できる「クロノメーター・レゾナンス」を搭載していた。こうした複雑機構もさることながら、彼の時計はダイヤルにサブダイヤルをビス留めするなど「スチームパンク」を思わせる独特の個性を備えている。2004年からムーブメントに18Kゴールドを採用しており、内部も実に美しい。

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フランソワ=ポール・ジュルヌ
François-Paul Journe (1957~)

1957年にフランスのマルセイユで生まれ、14歳の時に古時計の修復師だった叔父の影響で時計学校に入学。卒業後もパリの叔父の工房で修業を重ねており、スイス伝統の時計技術とフランスの美的感性が高度に融合したと表現できるかもしれない。

210715-05.jpg「クロノメーター・レゾナンス」。18世紀の置き時計で利用された「共振現象」を世界で初めて腕時計に搭載。高精度を維持できる。

※Pen2017年12/1号「腕時計100の物語」特集よりPen編集部が再編集した記事です。