ル ラボの新作は抹茶、バイレードはお香。心癒やすアジアの香りに世界が夢中に!?

  • 文:高橋一史

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ニューヨークのフレグランスブランド、ル ラボの10月発売新作オード パルファム「マッチャ 26」。 100mL ¥34,100(税込)

香水はもはや化粧の一部でも、着飾るためのアクセサリーでもない。豊かな暮らしに欠かせないマストアイテムになった。部屋の壁に爽やかな絵を飾るように、ドリップしたコーヒーをゆっくりと口に含むように、玄関やカーテンにシュッと一吹きする。たったそれだけで空気の流れが大きく変わる。肌につけて身体にまとわせなくても、日常を潤す様々な使い方ができるのだ。生活への意識が劇的に変化したニューノーマルの時代において、心を支える香水の役割は大きい。

その人気の原動力となる存在が、まだ歴史が浅い新進気鋭のフレグランスブランド。かつての香水は男女の色香が重要なテーマだったが、現代の発想は違う。Tシャツのようにクリーンでニュートラル。性別に囚われずジェンダーレスなのも特徴だ。使う人のパーソナリティを引き出せるように、種類が豊富なのも新進ブランドのスタイルである。

この系譜に属し、香水好きから絶大な支持を集める2ブランドから新作が登場した。アメリカのル ラボと、スウェーデンのバイレードである。各新作は、オリエンタリズムに基づく香りという点で共通している。外出制限が続く社会情勢において、各国のファッションシーンでもカントリーウエアをはじめとする旅気分の服装が増えている。まさに異国に憧れる現在を象徴するフレグランスといえるだろう。

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ル ラボの「マッチャ 26」は、名の通り日本の抹茶から着想された香り。ただし我々がよく知る抹茶そのもののとは少し距離がある。イチジク(フィグ)のフルーティさにウッド調の落ち着きが加わり、ビターオレンジの苦味が深みを出す。これはル ラボが捉えた抹茶文化のトータルイメージを香りで表したものなのだ。

一方でバイレードの「ムンバイ ノイズ」は、インド最大の都市ムンバイの雑踏が表現された香り。ダイレクトな調香が得意なバイレードらしく、街で焚かれたお香の印象が前面に打ち出されている。ウッド調の深い落ち着きもあり、日本の和室にもよく似合いそうだ。外出時に服やバッグに振りかける使い方も最適だろう。

この2品のボトルは装飾を廃したミニマルデザインで、男性の身の回りともよく調和する。中身が高濃度のオード パルファムなだけに決して安価ではないが、これひとつで生活空間がフレッシュに姿を変える、入手する意義がある逸品だ。

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「マッチャ 26」の構成材料。様々な天然素材が複雑にミックスされている。

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10月発売のバイレードの新作「ムンバイ ノイズ」。ブランドの創業者でクリエイティブ・ディレクターのベン・ゴーラムは母がインド人、父がカナダ人のハーフ。彼が幼少期に訪れたインドの記憶と現在のインドの姿とを重ね合わせた香りだ。100mL ¥31,460(税込)

ル ラボ

www.lelabofragrances.jp

バイレード

www.byredo.com/eu_en

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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