アウディの電気自動車e-tronシリーズが、サスティナブルなパーソナルモビリティーの先駆者である理由

  • 文:青山 鼓

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アウディが矢継ぎ早にEV(電気自動車)をリリースしている。Audi e-tron Sportback、そして、SUVタイプのAudi e-tron。そこには、アウディのサスティナビリティについての強く明快な主張がある。

自動車産業は大きな転換の渦中にあり、その主題は環境問題につきる。地球温暖化、そして化石燃料依存からの脱却など。ガソリンを燃やし、CO2を排出しながら走る自動車は、まさに問題の焦点となる。

そんな中、EUの欧州委員会が2021年7月に発表した、温室効果ガスの大幅削減に向けた包括案ははっきりとした方向を示している。その内容は、ハイブリッドを含むガソリンエンジン車の新車販売を2035年に終了するというもの。インフラ整備についての議論はあるものの、欧州では今後EVシフトが強まるという見方が主流だ。

さらに、自動車メーカーがサスティナビリティについて考えるとき、ただガソリン車でなくなればいいという話ではなく、製造工程にも見直しが必要だ。自動車製造のための原料調達から、製造工程、さらに自動車が使用されて廃棄されるまですべての過程において、CO2の排出を削減するという課題もある。

EVシフト、そして製造工程でのカーボンニュートラルという2点を踏まえて、自動車メーカー各社がさまざまな対応を打ち出すなかで、アウディは明確な戦略を発表した。「2030年までに持続可能性、社会的責任、そして技術でも業界のリーダーとしての役割を担う決意を持っています」として、2021年8月25日に発表した。

その名も「Vorsprung 2030」。収益性の高い成長と差別化に焦点を当てる戦略の大方針は以下のようなものとなる。AUDI AG 最高経営責任者(CEO)のマルクス ドゥスマンは述べる。

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マルクス ドゥスマン AUDI AG 最高経営責任者(CEO)

「私達が掲げる“Vorsprung 2030”戦略とは、アウディが将来にわたって存続するためのものです。私たちの社会は急速に変化しています。そのため、私達は独自の変革を加速させています」

その言葉を裏付ける発表が数週間前になされていた。その内容は、2026年以降に世界市場へ投入するニューモデルはすべて電気駆動システムを搭載する、というもの。かつ2033年を最終期限とし、内燃エンジンの生産は段階的に廃止。アウディはまた、この判断は「確固とした戦略プロセスから生まれたものです」と強調する。さらにドゥスマンCEOはいう。

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アウディの電気自動車たち。左からAudi Q4 Sportback 50 e-tron quattro, Audi e-tron S Sportback, Audi RS e-tron GT, Audi Q4 50 e-tron quattro, Audi e-tron 55 quattro, Audi e-tron GT quattro

「CO2の排出や地球温暖化など、世界が抱える主要な問題は、クリーンテクノロジーを活用して解決していかなければなりません。そのため、アウディのスローガンである“Vorsprung durch Technik(技術による先進)”の重要性は今後も変わることがありません。私たちは、お客様の自由とパーソナルモビリティを保証する会社であると自負しています」。

技術による先進とは何を目指すものであるのか、アウディはこう述べる。

「内燃エンジンを段階的に廃止していく計画に加え、アウディの電気自動車を品質およびデザインの面でライバルと差別化し、お客様に対する付加価値を高めること」。

その結果、目指す会社としての成功は、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関連する基準に基づき、ビジネスの成功とサスティナブルな活動を緊密に連携させるものだという。具体的には気候変動の緩和、限りある資源の保護、職場での健康と安全、などなど。

そしてアウディは、プレミアムなパーソナルモビリティと持続可能性のための妥協のない取り組みが両立可能であると証明する、と言い切る。

そして、そのひとつの答えが冒頭で触れた、Audi e-tron Sportbackそして、SUVタイプのAudi e-tronだ。

Audi e-tron Sportbackは2020年9月に、アウディの電気自動車として日本でははじめて導入された車だ。さらに2021年1月にはSUVタイプのボディを持つ、Audi e-tronを発売。ともに、静粛性に優れ、2基の電気モーターで制御するquattroを搭載している。通常は後輪のみの2輪駆動、路面や状況に応じてシステムが前輪も駆動させる。その立ち上がりにかかる時間は0.03秒と鋭い。95kWhのバッテリーを搭載し、一充電で最大423km(WLTCモード)を走ることが可能だ。

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Audi e-tron Sportback

特筆すべきはデザインの美しさだ。SUVクーペのスタイリッシュさを、低く弧を描くルーフラインで表現。車幅1,935mm、車高1,615mmの広々とした車体であることを感じさせないスマートな印象を与えることに成功している。さらに前後タイヤ上部を盛り上がるように包み込むブリスターフェンダーが、quattroの力強い走行性能を視覚的に表現。8角形のシングルフレームグリルもまたアイコニックに存在を主張する。

Audi e-tron Sportbackに続いて登場したAudi e-tronはSUVらしいルーフラインが特徴。全長4.9mの余裕あるボディサイズに、荷室容量も確保した高いユーティリティ性能を持つ。Audi e-tron Sportbackの荷室容量が616Lなのに対して、Audi e-tronの荷室は660Lというからその使い勝手の良さは想像できるというものだ。

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Audi e-tron 50 quattro

またquattroらしいブリスターフェンダーもまた健在で、SUVボディらしいタフな印象をますます強調。Audi e-tron Sportbackとは似て非なる力強さを感じさせる。バッテリー容量は71kWhで、満充電での走行距離は335km(WLTCモード)。大型SUVのルックスからは想像のつかないほどのスムーズな走りを実現している。

高い走行性能と走破性、そして比類なき美しさを誇るデザイン。アウディのクルマづくりの知見を惜しみなく注ぎ込んだプレミアムなモビリティ。Audi e-tron Sportbackは2020-2021日本カー・オブ・ザ・イヤーで「テクノロジー カー オブ ザ イヤー」を受賞した、まさに“Vorsprung durch Technik(技術による先進)”を体現する一台であり、プレミアムなパーソナルモビリティと持続可能性のための妥協のない取り組みが両立可能であると証明する。

今後、各メーカーからさまざまな電気自動車が発表されていく中でも、Audi e-tron Sportbackそして、SUVタイプのAudi e-tronは、しっかり知っておくべき2台だ。

※写真は一部日本仕様と異なります