進化を遂げた「グランドセイコーブティック 京都」で、匠の技と和の美意識を“体感”する

  • 写真:内藤貞保
  • 文:まつあみ 靖
  • 編集:小長谷奈都子
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白木と漆喰調の壁を基調とする「グランドセイコーブティック 京都」の内装。

古都の面影を慕う国内外からの来訪者で賑わう京都。その目抜き通り、四条通に面した絶好の立地に誕生した「グランドセイコーブティック 京都」。錦秋の季節を迎えようとする10月、新たなコーナーが加わり、真の完成を果たした。日本を代表する高級腕時計ブランドの世界観が、京都の美意識とともに進化を続けている。

京都・四条通に面した、アジア最大級のブティック

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京都随一の賑わいを見せる四条通に面したエントランス。和の美意識を体現しつつも、明るく軽やかで温かみのある空間へと誘われる。

7月、京都で唯一のグランドセイコーブティックが新たにオープンした。それまで高倉通 錦にあったブティックを移転し、拡充を図ったもので、2フロアからなる店舗の総面積は300㎡越とアジア最大級の規模を誇る。

数々のハイブランドのブティックや百貨店が軒を連ねる京都屈指のショッピングストリート四条通と、はんなりとした風情を残す富小路通とが交わる北東角地という立地。国内のグランドセイコーブティックとしては初めて、通り沿いの2面を全面ガラス張りとし、店内には外光がふんだんに差し込む。

また、やわらかな曲線を描く漆喰調の壁と白木を基調に、木目調の天井装飾や、グランドセイコーのインデックスをモチーフとするアイコニックなパネルも配置。空間にはグランドセイコーブティックのために調合されたウッディなアロマも漂い、凛とした中にも心地よい空気感が醸成されている。

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腕時計を直に見て触れられる、特別なディスプレイ

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ガラスに覆われることなくディスプレイされたグランドセイコーの腕時計。「エボリューション9 コレクション」をはじめとする人気モデルが並ぶ。

エントランスを抜けると、まず手前に白木を用いたラウンド状の什器に並んだ「エボリューション9 コレクション」「ヘリテージコレクション」など、グランドセイコーを代表する人気のコレクションが待ち受けている。

通常、腕時計はガラス越しにディスプレイされている場合が多いが、ここでは実機を直に見て触れることができるのが大きな特徴だ。スタッフに声をかければ、もちろん試着も可能。グランドセイコーが磨き続けてきた精緻な仕上げ、ディテールの美しさといった匠の技を、心ゆくまで堪能することができる。

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SLGH005/2021年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)のメンズウォッチ賞に輝き、海外にも存在感を示した「SLGH005」。岩手県の白樺林をモチーフにした白樺ダイヤルも、その質感を間近で見ることができる。自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケース径40㎜、パワーリザーブ約80時間、シースルーバック、10気圧防水。¥1,276,000

グランドセイコーのフルラインアップが揃い、ブティック限定モデルとも出合えるのもブティックならではだ。

2025年春に発表された、月差という尺度を超え、年差±20秒という異次元の高精度を誇るスプリングドライブ・ムーブメント「Cal.9RB2」を搭載したエボリューション9 コレクション スプリングドライブU.F.A. 「SLGB003」、またブランド独自のデュアルインパルス脱進機を採用した毎時3万6000振動のハイビート手巻きムーブメント「Cal.9SA4」を搭載したエボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート36000 80Hours 「SLGW007」など、話題作や新作もいち早く店頭に用意されている。

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左:SLGW007/手巻き、SSケース、ケース径38.6㎜、シースルーバック、カーフストラップ、日常生活防水。¥1,342,000 右:SLGB003/自動巻き、ブライトチタンケース&ブレスレット、シースルーバック、ケース径37㎜、10気圧防水。¥1,518,000

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グランドセイコーと響き合う、京都ならではのアートも堪能

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波戸場承龍によるアート作品。東寺の五重塔の上に、月に見立てたグランドセイコーの紋章が浮かぶ。

2階へと続く階段の踊り場の壁面には、京都を代表するランドマークのひとつである東寺の五重塔を描いたアート作品が展示されている。紋章上繪師(もんしょううわえし)・波戸場承龍の手になるものだ。

波戸場は、明治から続く着物に家紋を手で描く職人の工房「京源」の3代目で、昔ながらの手描きの手法にデジタル技術を融合させ、家紋による新たな表現を生み出している人物。円と線を巧みに組み合わせた独自の技法「紋曼荼羅(もんまんだら)」により、グランドセイコーの獅子の紋章を月に見立て、東寺の五重塔を照らし出すさまが描かれている。

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グランドセイコーの獅子の紋章が、円と線を巧みに組み合わせた独自の「紋曼荼羅」という技法で描かれている。

伝統的な匠の技と先端技術が融合された「紋曼荼羅」の世界観は、グランドセイコーのそれと響き合う。ブティックを訪ねたら、この作品をぜひ鑑賞してほしい。

グランドセイコーブティック 京都の詳細はこちら

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長く人生に寄り添う、「買った後」を意識したサービス

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メンテナンスの相談などを受けるカウンターの奥の壁には、時の移ろいをイメージした西陣織の上に、ブランドロゴを配置。

2階フロアには、グランドセイコーと末長く付き合うためのサービスを提供するスペースがこの10月にオープンした。

まずスペース奥のカウンターでは、メンテナンスに関する相談を受け付けている。自身で使用した際のメンテナンスはもちろんのこと、長年愛用し、思い出が詰まったグランドセイコーを次世代へと引き継いでいく際のサポートを行う「グランドセイコー 想いをつなぐサービス」も対応が可能だ。具体的には、メンテナンスを施した腕時計を、新品用のボックスに収め、包装する無料サービスのほか、要望に応じて有料サービスも受けることができる。

このスペースには、「グランドセイコー ファイン ビンテージウオッチ」が用意されていることも特筆したい。その名の通り、1960〜70年代初頭に製造され、機械式ムーブメントを搭載したモデルに限定されている。非常に状態のよい個体を、グランドセイコーの修理やメンテナンスを担う「グランドセイコーサービススタジオ」で、専門の修理技能士によってオーバーホールや調整が行われたものを店頭で販売しているのだ。

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窓側には「グランドセイコー ファイン ビンテージウオッチ」モデルが陳列されている。販売モデルにはコンディションシートが付属する。

最近、スイスのラグジュアリーブランドなどでも、いわゆる認定中古制度を進める動きが顕著だが、自社製品への責任ある取り組みの一環でありサステナビリティの流れに位置付けられるものと言っていいだろう。日本国内での「グランドセイコー ファイン ビンテージウオッチ」の展開は、グランドセイコーブティック 京都が2例目。

ごく限られたレアピースがディスプレイされており、必ずしも多くの愛好家の手に渡るわけではないため、まさに一期一会だ。これによって改めてグランドセイコーの歴史や技術力への理解を深めることができるだろう。

また、カウンターの左側のスペースには、交換用のストラップを多数用意。ストラップを付け替えると、腕時計の新たな表情が引き出され、さらに愛着が深まったり、着用シーンが広がったりする。こうしたグランドセイコーとの新しい付き合い方も、ぜひ体験してほしい。

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2階フロアに用意された、ゆったりとしたラウンジ。匠による組み立て実演などの特別なイベントも開催される。

2階フロアには約100㎡のラウンジもある。ウッディな壁面やラグジュアリー感のあるソファなどを備え、天井からはやわらかな光が降り注ぐ。特別なイベントや展示会、商談など、多彩な用途の可能性を感じさせるスペースで、この場にいる時もグランドセイコーの世界観に包まれる感覚を味わえるだろう。

紅葉のシーズンを控え、ますます多くのツーリストで賑わいを見せるであろう京都の地で、グランドセイコーの世界観を、国内外の愛好家へ向けて余すところなく発信する「グランドセイコーブティック 京都」。匠の技、最先端の技術力、和の美意識、長期にわたる愛用を意識したホスピタリティなどが渾然一体となって紡ぎ出されるグランドセイコーならではの時を「体感」できるデスティネーションとして、これほどふさわしい場所はない。

グランドセイコーブティック 京都

住所:京都府京都市下京区四条通麩屋町西入立売東町21-1 源吉兆庵京都四条ビル
TEL:075-354-5120
営業時間:11時〜19時 不定休
www.grand-seiko.com