1954年に誕生した「ライカM3」以来、写真撮影の醍醐味を純粋に楽しめるカメラとして、ライカの哲学の本質を体現し続けてきたM型ライカに、史上初となる電子ビューファインダー(EVF)内蔵のM型ライカ「ライカM EV1」が登場。これによってM型ライカのラインナップには、光学レンジファインダーを搭載したデジタルおよびフィルムのシリーズに加え、EVFという全く新しい可能性を秘めたシリーズが追加された。
EVFの利点とライカMシステムの伝統的価値を融合させた「ライカM EV1」では、新搭載されたフォーカスアシスト機能によって、視力に左右されず、より信頼性の高い快適なピント合わせが可能となり、ライカMシステムへのエントリーもさらに容易なものとなった。この機能には、現在の焦点面をカラーオーバーレイで表示し、狙った画像領域へ精密にピントを合わせることができる「フォーカスピーキング」と、1.3倍、1.8倍という2段階の拡大表示でマニュアルフォーカスをより容易に行える「フォーカスズーム」という2種類の方式があり、撮影方法や好みに応じた使い分けが可能。
加えて「ライカM EV1」には、使用するレンズや焦点距離、選択した絞りに応じて、実際にシャッターを切った時と同じ画像が表示されるリアルタイム露出プレビューが搭載され、特に超広角レンズや望遠レンズの使用時に構図を決める上で大きな利点となる他、意図的なアンダーやオーバー露出も直感的にコントロールすることが可能となった。
解像度576万ドットの高解像EVFは、きわめて鮮明で自然な色再現によりクリアな画質を実現。シャッタースピード、ISO、露出補正といったすべての撮影データは必要に応じてフレーム外に表示され、常に構図全体を見渡すことができる。
「ライカM EV1」の技術面は「ライカM11」をベースとしており、フルサイズBSI CMOSセンサーとトリプルレゾリューション技術を搭載。精緻な色再現性、圧倒的なディテール解像力、広いダイナミックレンジ、そして優れたノイズ耐性を兼ね備える。撮影データは、6000万、3600万、1800万画素の解像度から選択可能で、DNGまたはJPEG形式での記録に対応。画像処理エンジン「Leica Maestro III(ライカ・マエストロ・スリー)」は最高解像度でも画像データを高速処理し、64 GBの内蔵メモリーまたはSDカードに保存することができる。
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長年ライカMシステムを愛用してきたフォトグラファーの佐藤健寿は、この新しい「ライカM EV1」を手にスリランカと沖縄を旅し、数多くの作品を撮りおろしながら、その使用感を確かめてきた。
「今回の旅では、従来のレンジファインダーではピントを合わせることが難しかった望遠レンズや、画角的にカバーできていなかった28㎜以下の広角レンズを使ってみました。これまでも、すでにEVFが搭載されている『ライカSL』などにアダプターをつけてM型のレンズを使うことはありましたが、それは飽くまで代替的なイメージだったので、やはりM型のボディにネイティブ対応したEVFというのは、どこまでも使い勝手が自然で心地よい印象でした。50年以上前のレンズをいまの最先端の技術と一緒に使えるのが、ライカの一番好きなところ。レンジファインダーが苦手としてきた部分までカバーできるこのEVFモデルの登場によって、いまでは廃盤となったオールドレンズに脚光が集まったり、M型に新しい画角のレンズが加わったりと、新しい流れが生まれていきそうな予感がしました」
ボディの重量も、高品質なアルミニウム製トップカバーの採用で、真鍮製トップカバーのシルバークロームと比較して約20%の軽量化を実現した「ライカM11」から、さらに42グラムの軽量化に成功。旅に出るときはグラム単位で持ちものの調整を行うという佐藤健寿にとって、この差は我々が想像するよりもはるかに大きい。ラインナップにEVFモデルが加わったことによって、表現の可能性が大幅に広がったライカMシステム。初の量産35mm判カメラの「ライカ I 」が誕生してから100周年というこの節目の年に、さらなる飛躍を予感させるニューファミリーのポテンシャルは、ぜひそれぞれの手で確かめて欲しい。
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