イギリス
ドイツ系スーパーマーケットチェーン、Aldi(アルディ)のイギリス法人 Aldi UK が焼きたてのじゃがいもをイメージしたダウンジャケットを発表した。その名も「ジャケットポテト・ジャケット(Jacket Potato Jacket)」だ。
イギリス料理の定番「ジャケットポテト」とは、皮付きのじゃがいもをアルミホイルで包み、オーブンでじっくり焼いた家庭料理である。外は香ばしく中はホクホクに焼きあがったポテトに切れ目を入れ、チーズやバター、ツナマヨ、ベイクドビーンズなどをのせて食べるのが一般的だ。その「ジャケット(皮)」と上着の「ジャケット」をかけた言葉遊びから生まれたのがこのアイテムである。
「コンフォートフード(家庭の温かい料理)」と「ファッション」を軽やかに結びつけた、ジョーク好きのイギリスらしい遊び心あふれるプロジェクトと言えるだろう。
ホクホクのポテトを羽織るデザイン
Aldiは、ビヨンセやレディー・ガガなどの衣装を手がけていることで知られるロンドンのファッションデザイン・スタジオ「AGRO Studio」と共同でこのジャケットを制作した。ジャケット表面は焼き上がったポテトの皮のような色合いと質感を再現し、裏地にはふんわりとした白いフリースを採用している。まるでポテトの中身のような「ホカホカ感」のある手触りだという。
さらに、ポテトをオーブンで加熱する際に使用する「アルミホイル」に着想を得た、銀色のポンチョもセットで登場。光沢のあるメタリック素材で、羽織るとまるでホイル焼きのポテトになったように見えるユーモラスな仕上がりだ。
イギリスでは秋が深まる10月ごろから「ジャケットポテトが恋しくなる」人が多いとされ、Aldiの調査では約4割がそう答えているという。寒い季節に食卓を温めてくれる料理をモチーフにしたアイテムは、見た目のインパクトだけでなく、どこか懐かしさも漂わせている。
SNSに「いいね」すると当たるかも
この「ジャケットポテト・ジャケット」と「ホイル風ポンチョ」は、店頭では販売されない特別企画アイテムだ。Aldi UKの公式SNS(Instagram、TikTok、Facebook)でキャンペーン投稿に「いいね」とコメントすることで抽選に応募できる。価格と配布数は現段階では非公表であり、SNSでは「欲しい!」「焼きポテトになりたい」といったコメントが相次いでいる。
一方で、Aldiの冷凍食品「ジャケットポテト」は1袋2.35ポンド(約475円)で即購入可能だ。10月と11月の2カ月だけで約200万パックを販売予定の人気商品だ。
今回のファッション企画は、「本物」のジャケットポテトの販促を兼ねたプロモーションである。言葉遊びとユーモアで構成された2つのアイテムから、イギリスらしいウィットが感じられる点も好評だ。
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宮田華子
ロンドン在住ジャーナリスト/iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授アート・デザイン・建築記事を得意とし、さまざまな媒体に執筆。歴史や潮流を鑑み、見る人の心に届くデザインを探すのが喜び。近年は日本のラジオやテレビへの出演も。英国のパブと食、手仕事をこよなく愛し、あっという間に在英20年。



