【東京の名美術館5選】モネの代表作を多数展示、安野光雅の世界を体感…2026年春に行くべき“最新展示”案内

  • 文:はろるど
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少し足を止めて、美術館へ出かけてみたくなる春。2026年、東京では注目の展覧会が続々と開催される。モネ没後100年展や光琳派の名品展、安野光雅の生誕100周年記念展など、話題の企画が目白押しだ。
本記事では、建築や庭園、カフェの充実度、親子での過ごしやすさまで含めて、この春に訪れたい東京の美術館5館を厳選して紹介する。

① 山種美術館|日本画の名品と和菓子カフェを楽しむ、恵比寿の静かな美術館

開催期間:2026年2月28日(土)~5月10日(日)
開催場所:山種美術館

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山種美術館 展示室風景 地下の2つの展示スペースの間にミュージアムショップがあり、鑑賞の合間でも気軽に利用できる。なおミュージアムグッズは、山﨑妙子館長自らがプロデュースしている。 ※特別展『花・flower・華 2026-横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅-』の展示とは異なります。

日本画専門の美術館として知られる山種美術館は、恵比寿駅から徒歩10分ほど。閑静な住宅街の中にありながら、ロビーは春の日差しが差し込む落ち着いた空間で、美術と静けさを同時に味わえる。地下の展示室はワンフロア構成で、作品数もほどよく、約1時間で無理なく鑑賞できる規模。作品との距離が近く、じっくりと見ることの心地よさを実感できるのが魅力だ。日本画が初めての人でも、自分のペースで静かに楽しめる設計になっている。

この春に開催される『花・flower・華 2026』は、横山大観、川端龍子、速水御舟らの描いた花の名画を集めて展示する企画。桜、牡丹、菊といった日本の四季を象徴する花々を、繊細な筆致と色彩で表した作品を味わえる。花を通して生命のうつろいを描く日本画の美が、静かな余韻を残す。

展示解説は初心者にもわかりやすく、作品に込められた意味や背景を丁寧に教えてくれるのも嬉しいポイント。鑑賞後は併設のカフェ「Cafe 椿」で、展覧会ごとの出品作品をモチーフにした創作和菓子と抹茶を楽しみながら一息。美しいものを見て心が動く。そんなアート鑑賞の原点に立ち返らせてくれる、美術館デビューにも最適な一館だ。

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川端龍子 《牡丹》 1961(昭和36)年 絹本・彩色 山種美術館

特別展『花・flower・華 2026-横山大観の桜・川端龍子の牡丹・速水御舟の梅-』

https://www.yamatane-museum.jp

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② 根津美術館|隈研吾建築と庭園が美しい、国宝「燕子花図」を見る

開催期間:2026年4月11日(土)~5月10日(日)
開催場所:根津美術館

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根津美術館 エントランスホール 東武鉄道の社長などを務めた実業家・初代根津嘉一郎(1860~1940年)が蒐集した、日本・東洋の古美術品コレクションを後世に伝えるためにつくられた根津美術館。最寄り駅は東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線の表参道駅だ。

南青山の竹林のアプローチを抜けると、そこに広がるのは静謐な時間。隈研吾設計の建築と四季折々の庭園が調和する根津美術館は、展示だけでなく空間そのものが作品のようだ。天井から柔らかく降り注ぐ自然光、素材の温もりを感じる竹や和紙の質感、そして歩くたびに響く足音が空間に溶けていくような、五感で心地よさを体験できる。

2026年春の展覧会『光琳派-国宝「燕子花図」と尾形光琳のフォロワーたち』では、尾形光琳や一番弟子の渡辺始興、それに弟の尾形乾山らによる琳派の優品が一堂に会する。代表作『燕子花図屏風』における金箔を背景にした大胆な構図と、緻密な装飾性。日本美術の美意識を凝縮した絵画や焼き物が並ぶ光景は、美しい展示空間と相まって一層輝きを増していく。

鑑賞の後は、深山幽谷の趣をたたえる庭園を歩き、「NEZUCAFÉ」で一休みを。ガラス越しに四季の景色を眺めながら味わうコーヒーやスイーツは格別。庭園は小高い起伏や石段もあるため、履き慣れた靴での散策がおすすめだ。都心とは思えないほど穏やかな時間を運んでくれる。建築と自然がゆるやかに溶け合う、そんな体験がこの美術館の何よりの魅力といえる。

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国宝 燕子花図屏風(右隻) 尾形光琳筆 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

『開館85周年記念特別展 光琳派-国宝「燕子花図」と尾形光琳のフォロワーたち』

https://www.nezu-muse.or.jp

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③ アーティゾン美術館|モネ没後100年展、世界最高峰コレクション来日

開催期間:2026年2月7日(土)~5月24日(日)
開催場所:アーティゾン美術館 

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アーティゾン美術館外観。窓口販売よりもお得に購入できるウェブ予約チケットあり。2026年2月現在、『クロード・モネ-風景への問いかけ』展では、午前から午後の早い時間帯の回が先に売り切れる傾向が見られる。最新の販売状況をアーティゾン美術館公式サイトにて確認したい。

ブリヂストン美術館を前身とするアーティゾン美術館は、主に近代から現代に至る美術を横断的に紹介するコレクションで知られる。京橋の街並みにそびえるガラスファサードの奥には、3層にわたって展示室が広がり、スケール感のある構成となっている。作品と空間をじっくりと味わうためにも、時間に余裕をもって訪れたい。また、展示室内は光環境と壁面のトーンが綿密に設計され、絵具の質感や色彩が際立って見える。

オルセー美術館から世界最高峰のモネ・コレクションが多く来日した『モネ没後100年 クロード・モネ -風景への問いかけ』は、モネの初期から晩年に至る代表作を通じて、「風景とは何か」という画家の終わりなき探求をたどる展覧会だ。水面に反射する光、霧の向こうにぼんやりと浮かぶ建物、時間の移ろいを追いかけるような筆致。それらを目の前にすると、モネが見つめた「光の呼吸」が静かに立ち上がってくる。

鑑賞の際にぜひ試してほしいのが、スマートフォンとイヤホンで聞ける無料の音声ガイド。声優・細谷佳正によるナレーションとともに、モネのキャラクターが作品の背景や制作の意図を親しみやすく案内してくれる。また入館は「ウェブ予約チケット」制を導入。空きがあれば当日券も購入できるが、人気のモネ展だけにあらかじめ手配しておきたい。

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クロード・モネ《サン=ラザール駅》 1877年、油彩・カンヴァス 、オルセー美術館蔵 Photo © GrandPalaisRmn (musée d’Orsay) / Benoît Touchard / distributed by AMF 

『モネ没後100年 クロード・モネ -風景への問いかけ』

https://www.artizon.museum/exhibition_sp/monet2026/

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④ PLAY! MUSEUM|安野光雅展で親子が楽しめる体験型ミュージアム

開催期間:2026年3月4日(水)~5月10日(日)
開催場所:PLAY! MUSEUM

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PLAY! MUSEUM『リサ・ラーソンの作り方 展』会場写真、PLAY! 提供 撮影:植本一子 展示の入替、年末年始を除き、原則無休のPLAY! MUSEUM。土日祝は午前中を中心に混み合うため、午後の来館がおすすめ。

立川の「GREEN SPRINGS」にあるPLAY! MUSEUMは、「絵とことば」をテーマにした体験型ミュージアム。子どもから大人まで、アートに遊びながら触れることができる新しいスタイルの美術館だ。広々とした楕円の大きな展示室などでは、あっと驚くほど空間を大胆に使った企画が多く、見るだけでなく五感で楽しむ体験を得ることができる。

2026年春は、『ふしぎなえ』や『旅の絵本』で知られる画家・安野光雅の生誕100周年を記念した展覧会を開催。独特の遠近感や温かみのある水彩で描かれた風景が、絵本の世界そのままに再現される。作品に登場する町並みをモチーフにした立体展示もあり、まるで絵の中を歩いているような没入体験が楽しめる。

展示空間には、子どもの目線にも寄り添った工夫が随所にあり、レイアウトにもやさしい設計が感じられる。併設の「PLAY! CAFÉ」では、お子さんと一緒にランチやスイーツを楽しめるほか、隣接する「PLAY! PARK」では赤ちゃん向けのエリアや、MUSEUMとのコラボによるワークショップを毎日開催。作品の世界を通して、親も子も想像力を分かち合う。そんな豊かな時間が待っている。

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『旅の絵本 Ⅵ』〈デンマーク編〉1981年 (福音館書店) 所蔵:津和野町立安野光雅美術館 ©空想工房

『生誕100周年記念 安野光雅展』

https://play2020.jp/article/anno

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⑤ 三菱一号館美術館|丸の内の赤レンガ建築と新版画展を楽しむ

開催期間:2026年2月19日(木)~5月24日(日)
開催場所:三菱一号館美術館

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三菱一号館美術館「Café 1894」 交通アクセスの良さも魅力のひとつ。東京・丸の内に位置する三菱一号館美術館へは、JR東京駅の丸の内地下南口改札から地下通路を通れば、雨の日でも濡れずに行くことができる。

赤レンガの外観が印象的な三菱一号館美術館は、明治期に建てられた建築を可能な限り忠実に復元した空間にある。丸の内のオフィス街に佇みながらも、一歩足を踏み入れると時がゆっくりと流れるような静けさに包まれる。展示室は回遊式のコンパクトな構成で、作品と建築が響き合うように感じられ、展示をめぐること自体が一つのスペシャルな体験になる。

『トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで』展では、スミソニアン国立アジア美術館のミュラー・コレクションにより、20世紀前半に生まれた新版画の世界を紹介。川瀬巴水や吉田博など、海外でも高く評価される版画家たちの作品を通して、近代日本の風景や旅情を新しい視点で見つめ直す。

注目したいのは「トークフリーデー」というユニークな試み。静かに観るだけでなく、親子で自由に感想を語り合ったり、友人と作品を前に意見を交わしたりしながら鑑賞しても良い日として開かれている。そして展示を満喫した後は、併設の「Café 1894」へ。かつて銀行営業室として使われていた吹き抜け空間を復元した店内は、重厚でありながら開放的。クラシカルな調度品に囲まれながら、展示にちなんだ特製メニューやスイーツを味わえる。

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吉田 博《穂高山》大正10(1921)年 スミソニアン国立アジア美術館 National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection 版元:渡邊木版美術画舗

『トワイライト、新版画―小林清親から川瀬巴水まで』

https://mimt.jp/ex_sp/shin-hanga

はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。

はろるど

アートライター / ブロガー

千葉県在住。WEBメディアを中心に、アート系のコラムや展覧会のレポートを執筆。日々、美術館や博物館に足を運びながら、作品との出会いや発見をSNSにて発信している。趣味はアートや音楽鑑賞、軽いジョギング。そしてお酒を楽しむこと。