名車の祭典「オートモビル カウンシル 2022」を徹底レポート

  • 文&写真:内田栄治

Share:

2016年から続くオートモビル カウンシル、「我が国に成熟した自動車文化を創成する」というコンセプトのもと幕張メッセにおいて2022年4月15日から17日まで開催された。コロナ自粛も一段落となり、メインとなるヘリテージカーの販売店は昨年の17社から23社に増え益々盛り上がりを見せている。


今回の主催者テーマ展示は<究極のツーリングカー/DTMマシーンの魅了>と<スーパーカードリーム>である。

メインテーマの一つである、スーパーカーを見てみよう。何を隠そう筆者はスーパーカー世代である。ランボルギーニやフェラーリに並々ならぬ憧れを抱いてきた。その憧れのクルマが今、目の前にある。何とも至福の瞬間である。
まずはこちらのクルマ、スーパーカーといえば筆頭に上がるのがランボルギーニカウンタックLP400。

photo1.JPG

オレンジ色がこれほど似合うクルマがあるだろうか。当時ベルトーネのチーフエンジニアだったマルチェロ・ガンディーニのデザイン。カウンタックとは「驚いた」を表す「Contacc」、LPとはミッドに置くエンジンの搭載方法「縦置き」の「Longitudinale Posteriore」400は4Lの排気量、一番初期型のLP400は空力パーツがなく、すっきりしていて最も美しいカウンタックと言えるだろう。

---fadeinPager---

スーパーカーでは双璧をなす、フェラーリ356GTB4 Berlinetta Boxer。

photo2.JPG

ピニンファリーナデザインの美しい流線形、エレガントという言葉がこれほど似合うスーパーカーがあるだろうか。
ミッドに配されるエンジンは180度V12エンジン。365は1気筒当たりの排気量を指す。Berlinettaは2ドアクーペBoxerは一般的には水平対抗エンジンを指すが正確には180度V型12気筒エンジンを搭載する。

ランボルギーニ初のミッドエンジン車、ランボルギーニ ミウラ P400。
photo3.JPG
4LV12エンジンをミッドに横置きにし、その下にギアボックスを配置するという当時は画期的なレイアウトだった。
ミウラはスペインの闘牛飼育家の名前。デザインはマルチェロ・ガンディーニと言われているが、前任者だったジウジアーロが基本デザインを行った。挑戦的なデザインが多いランボルギーニの中ではエレガントなクルマである。

---fadeinPager---

米伊合作、異色のスーパーカー デ トマソ パンテーラ。
photo4.JPG
デザインはカロッツェリア・ギア。イタリア製の美しいボディとアメリカ製の5.8L V8OHVを組み合わせた異色のスーパーカーである。従来のスーパーカーの製法にこだわらず、モノコックボディを採用するなど徹底的なコストダウンの結果、他のスーパーカーのおよそ半額で販売された。当時は賛否両論あったと思うが現在ではとても魅力的に見える。

会場入口の最も目立つ場所に展示していたのがアルヴィス。皆さんはアルヴィスをご存知だろうか?
1920年に英国で創業された高級車メーカーである。デイムラーにいた技術者が移籍、後年はロールスロイスのボディを作っていたパークウォードがボディを架装していたことからもそのクルマがどれだけ高級だったかわかっていただけると思う。1967年に乗用車の生産は終了しているが2010年から再生産され、2017年から明治産業によって日本に導入された。
会場ではコンティニュエーションシリーズと言われる新車と当時のレストア車が展示されていた。

---fadeinPager---

コンティニュエーションモデル アルヴィス・4.3L・ヴァンデン・プラ・ツアラー。
photo6.JPG
コンティニュエーションモデルとはこのクルマを生産していた1937年当時、認可を得た生産枠のまだ未生産分の枠を使い再生産されたモデル。よって細部は現代流にモダナイズされているとはいえ基本的は1937当時の基本設計に沿って忠実に再現されたクルマである。価格は6,380万円。

---fadeinPager---

レストア車 1964年式 アルヴィス・3L・TE21・パーク・ウォード・ドリップヘッド・クーペ。
photo7.JPG
パーク・ウォードはロールスロイスのボディなどを手掛けるコーチワーカー。TE21は352台生産されたがドロップヘッド・クーペ(オープンカーの英国流の呼び方)は95台と希少。価格は3,520万円。

コンティニュエーションモデル アルヴィス・3.0L・グラバー・スーパー・クーペ。
photo8.JPG
1966年式のモデルを復刻したもの。グラバーはスイスのコーチワーカーでアルヴィスの最終モデルとなった。
TF21でグラバーが手がけたものは6台のみ。価格は6,600万円。

---fadeinPager---

さて、その他の気になるクルマも見てみよう。
誰もが憧れる1965年式アストンマーチンDB5。
photo9.JPG
「007」の最新作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」でも登場。価格は8,380万円。

筆者が最も気になったクルマ、1952年式ジャガーXK120 Racing roadster。
photo10.JPG
内装も素晴らしい。
photo11.JPG
この頃のジャガーは最高速を車名につけていた。120とは最高速が120マイル(193km/h)のこと。
価格は2,000万円。これだけ高額のクルマを見てくると2,000万円が安く感じるから不思議だ。
エンジンは3.4L直列6気筒DOHC。
photo12.JPG
レストアされたエンジンもピカピカである。

---fadeinPager---

このイベントではポルシェも外せない。
まずは新しめの964シリーズから。
1992年の911カレラRS
photo13.JPG
軽量ボディと標準仕様の964より鋭い吹け上がりをするフラット6エンジンを搭載。
とても楽しい911だが、お値段は何と4,600万円!

1993年の911カレラ2ターボルック。
photo14.JPG
スペシャルなワイドボディを纏った911 価格は1,980万円。

ではナローポルシェも見てみよう。
1972年の911S。
photo15.JPG
軽快な時代の911 いまだにファンの多いナローポルシェ、価格は何と2,800万円。

---fadeinPager---

イタリア車はどうだろう。

WRCの覇者、1988年ランチアデルタHFインテグラーレ。
photo16.JPG
お値段は980万円 リーズナブルだった時代に乗っておけばよかった。

珍しい4人乗りフェラーリ、1975ディーノ208GT4。
photo17.JPG
お値段は1,300万円 全てのフェラーリが高騰している今、これはお買い得かもしれない。

---fadeinPager---

最後に日本車を見ておこう。
頂点に君臨するのは勿論こちらクルマ、1970年式、後期型のトヨタ2000GT。
photo18.JPG
価格は安定の1億30万円。

では庶民のクルマはどうだろうか。通称てんとう虫 スバル360。
photo19.JPG
デメキンと言われる初期型のモデル。日本に残存するのは3台しかないとのこと。価格は1,500万円!

その他、クラシックミニやプジョーなど300万円以下で買えるクルマもあったが今回は全体的にはクルマの価格が高騰しているイメージだった。

今年で7回目を迎えたオートモビルカウンシル。クルマ好きには定番のイベントとなってきており会場のあちこちでクルマ好き同士が親交を深めている様子を目にした。こういったイベントが
継続していることに喜びを感じると共に関係者のご苦労とその熱意に頭が下がる。
より一層、日本でのクルマ文化が深まることに微力でも協力したいと思った次第である。