目利きが選んだ、新年に“お節と楽しみたい”日本酒5選

  • 文:小松めぐみ

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お正月にお節料理と合わせて楽しみたい日本酒とは? 東京・恵比寿の人気日本酒バー「GEM by moto」の店主で、日本酒のエキスパートとして幅広く活躍する千葉麻里絵さんが、お節と相性のいい5本をセレクト。黒豆や栗きんとん、かまぼこや伊達巻き、海の幸など、味わいの傾向別に相性抜群の日本酒を紹介する。

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千葉麻里絵●日本酒ソムリエ、恵比寿の日本酒バー「GEM by moto」店主。化学的知見をもとに、一人ひとりの“いま”に合った日本酒を提供。さまざまなジャンルの料理人とのコラボレーションから、日本酒体験に時間と空間と温度を取り入れた新しいスタイルを模索する。また、日本酒の提供に論理的アプローチを取り入れるべく「SAKEカルテ」を考案し、たくさんの人が楽しく日本酒に出合えることを目指している。

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1.「木戸泉 純米醍醐」――ぬる燗で、煮物をつまみにゆるゆると

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「木戸泉 純米醍醐」。原料米は兵庫県産 酒造好適米 山田錦。精米歩合は60%。アルコール度数16度。720ml¥1,485(税込)/木戸泉酒造

「里芋、クワイ、筑前煮などの煮物をつまみながらゆるゆる飲むと、一気に正月気分になる」。そう言って千葉さんが選んだのは、「自然醸造による旨き良き酒」をモットーとする千葉県・木戸泉酒造の看板銘柄「木戸泉 純米醍醐」。木戸泉酒造は、3代目蔵元が60年以上前に防腐剤(サリチル酸)の危険性に気づき、防腐剤に頼らずに長期間貯蔵できる酒を造るべく、天然の生の乳酸菌を用いた「高温山廃仕込み」を始めた酒蔵。看板商品の「木戸泉 純米醍醐」は、山田錦の米の旨味と、乳酸菌由来の豊かな酸味、そして高温山廃仕込みゆえの深みとキレを併せもつ食中酒だ。千葉さんいわく、「コクのある濃醇な味わいで、燗酒にすることによって骨太な酸味が顔を出します。ほっとする穀物感が特徴的」。燗冷ましでもバランスが崩れることなく、酔い覚めも爽快だ。

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50℃の燗酒で飲むのが千葉さんのお薦め。「できたらレンチンではなく徳利を湯煎でゆっくり温め、平盃に注いでほしい」。

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2.「瑞穂黒松剣菱」――栗きんとんや黒豆など、甘い肴と相性抜群

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「瑞穂黒松剣菱」。原料米は兵庫県産山田錦。精米歩合は年によって異なる。アルコール度数17.5度。720ml¥1,642(税込)/剣菱酒造

500年以上の歴史をもつ剣菱酒造は、日本酒通に愛される兵庫県・灘の酒蔵。剣菱の酒は一般的な日本酒のように無色透明ではなく、若干黄色みを帯びた色合いをしているが、その理由は濾過をし過ぎて色と一緒に旨味まで抜けてしまわないように調整しているためだ。色の濃さは、味の濃さの証しでもある。そんな剣菱の酒の中でも特に黄色みの濃い「瑞穂黒松剣菱」は、2年以上熟成させた酒のみをブレンドした、優雅な香りとコクをもつ酒。「焦がしたカラメルのような香りと甘味、旨味、酸味が何層にも重なり合う口どけが後を引きます。栗きんとん、黒豆との相性は抜群。甘いものにも日本酒っていけるんだと気付かせてくれるお酒です」。複雑な甘い余韻を残しながらもキレがよく、杯が進む。

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「常温を湯呑みに注いで」飲むのが千葉さんのお薦め。「気心の知れた人と盃を交わしてほしい」

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3.「早瀬浦 純米酒」――キリっとした純米酒は、海の幸と楽しみたい

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「早瀬浦 純米酒」。原料米は五百万石。精米歩合は55% アルコール度数15度。1800ml ¥2,860(税込)/ 三宅彦右衛門酒造

「飲み応えがありながらも飲み疲れしない芳醇旨口の酒」を目指す三宅彦右衛門酒造は、1718年創業の福井県の酒蔵。酒通を魅了する代表銘柄「早瀬浦」は、酒蔵が位置する地元の地名に由来する。「若狭湾と三方五湖に囲まれたこの地域は、独特の発酵食である“へしこ”で知られる漁師町。仕込水はミネラル豊富な中硬水で発酵力があるため、お酒はスパンと切れ味のよい辛口に仕上がります。次の日に残らない酒質は、歴史や環境、地元の人の気質に育てられたもの。朝が早い漁師が暮らす地元に寄り添ったお酒です」。キリッとした飲み応えのある純米酒は、鯛や鰤(ぶり)などの焼き魚や、エビをはじめとする海の幸と抜群の相性。「気付けば、家族や仲間と1本空けてしまう。そんなお酒です」

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千葉さんお薦めの飲み方は、常温か冷酒。ぐい呑みで気軽に。

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4.「緑の英君」――爽やかな香りで、かまぼこや伊達巻きに寄り添う

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「緑の英君」。原料米は五百万石。精米歩合は55% アルコール度数15〜16度。720ml ¥1,650(税込)/英君酒造

やわらかで優美な吟醸香を纏った食中酒造りに定評のある英君(えいくん)酒造は、1881年創業の静岡県の酒蔵。山中に湧く「桜野沢」の名水と、蔵内の井戸水の2種類を仕込み水として用い、静岡酵母を使って淡麗豊潤な食中酒を醸している。爽やかな味わいの純米吟醸酒「緑の英君」は、5年前から富山の南砺(なんと)市の五百万石という酒米を使い、低温発酵でバランスのよい香味をつくり上げた代表銘柄。「ほのかに香るメロンのような爽やかな香りとつるんとした優しい口当たりが印象的で、フレッシュさを残した優しい米の甘味が心地よいお酒。同じトーンのかまぼこや伊達巻きと寄り添ってくれます。途中でかまぼこに七味や山葵でアクセントをつけると、さらにお酒が進みます」。キリッと冷やして、透き通るような爽やかな香りとキレのよいのど越しを堪能しよう。

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飲み方は冷やで。ぐい呑みで楽しもう。

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5.「花巴 樽丸 山廃」――吉野杉の樽の香りが、お雑煮を引き立てる

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「花巴 樽丸 山廃」。原料米は奈良県産契約栽培米。精米歩合は非公開。アルコール度数16度。720ml¥3,850(税込)/美吉野醸造

千本桜で知られる奈良県吉野郡の美吉野醸造の「花巴(はなともえ)」は、創業時から代々大切に受け継がれてきた清酒銘柄。吉野杉の樽に貯蔵した樽酒シリーズの名前「樽丸(たるまる)」は、樽の側板を意味する言葉だ。「吉野郡は歴史的に林業が盛んな地域。樽丸シリーズのお酒は吉野杉の樽に日本酒を入れているため、杉の香りがします。この香りがお正月っぽい! 酢の物と合わせるといっそう杉の香りが感じられます。しっとりした旨味と香り、奥にある丸い酸味を楽しみながらじっくり飲むお酒です」。杉の香りは出汁とも相性がよいため、お雑煮などと合わせるのもお薦めだとか。「杉と出汁の香りが溶け合い、日本人に生まれてよかったと思う合わせ方です」

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千葉麻里絵が花巴とコラボした1本。ラベルは奈良県吉野伝統の漉き和紙で、イラストは画家の寺田克也によるもの。常温かぬる燗をぐい呑みで楽しみたい。

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