ジーンズを女性にファッションアイテムとして広げたのは、マリリン・モンローだった?

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一

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モデル名は「618 MARILYN #1 DENIM」。世界中の男性を魅了した女優マリリン・モンローが愛用したジーンズがモチーフ。ウエストがくびれていて、ヒップから太腿にかけてゆったりとしたデザインが特徴。裾を細く2〜3回ロールアップすると重みがでて、女性らしいラインになる。コットン100%で、ライトオンスのデニムを採用。日本製。¥30,800(税込)/アナトミカ

「大人の名品図鑑」デニム編 #3

スポーティなファッションの流行であまりスポットライトが当たらなかった「デニム」が最近、復活の兆しを見せている。考えてみれば「デニム」は永遠の輝きをもつもので、流行やブームとは異なるポジションにあるものだ。今回はそんな「デニム」の名品の魅力を追う。

『完本 ブルー・ジーンズ』(出石尚三著 新潮社)によれば、ジーンズには5つのレスがあるという。①セックスレス(超性別) ②エイジレス(超年齢) ③クラスレス(超階級) ④ボーダーレス(超国境) ⑤ルールレス(超規則)。生まれながらにしてジーンズが備えている「レス」が、ジーンズが老若男女、世界中で多くの人に愛され続けた理由と言えるだろう。

そもそも、働くための道具として考案されたジーンズ。当初ジーンズを中心にしたデニム衣料を使っていたのはほとんど男性で、女性が気軽に身に着けるようなアイテムではなかった。では、女性がジーンズをはくようになったのはいつごろからだろうか。同書には「第二次世界大戦がひとつのエポックとなるだろう。第二次世界大戦以降、ゆっくりとではあったが、女性たちの間でもジーンズが注目されるようになった」と書かれている。

リーバイス®︎が女性向けのラインである「レディー・リーバイス」を発売したのは1938年のこと。ロットナンバーは「701」。それは基本的なデザイン、ディテールはそのままに、シルエットを女性向けにしたものだったという。男性同様に女性たちがこのジーンズをはくようになったが、アメリカのヴァッサーカレッジで演劇を学ぶ女子大生たちもはいていたと書かれている。激しく動く演劇実習では床に直接座り込んだりもするので、ジーンズが適し、楽だったのだろう。いつの時代も若者たちは新しいモノを取り入れるのが早い。

男性用ジーンズと同じく、最初はその機能性から受け入れられたのだろうが、ファッションとして女性がジーンズをはくきっかけをつくったのは誰だろう。それはマリリン・モンローだろうと、同書でファッション評論家の出石は断言する。

『帰らざる河』(54年)で酒場の歌手ケイを演じたマリリンは、劇中でジーンズをはいて登場。遺作となった『荒馬と女』(61年)でクラーク・ゲーブルと共演をした際も、ジーンズ姿を披露する。グラマラスな彼女のボディに、見事にジーンズがフィットしている。世界中の男性がこの場面に注目したに違いない。ちなみにこの作品の舞台となったのはネバダ州のリノだ。ヤコブ・デイビスがリベットをキャンバス地に打ち付けたジーンズの故郷ともいうべき土地。これも何かの縁に違いない。

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フランス発のブランド、アナトミカのジーンズ「618 MARILYN」

そのマリリンがはいたジーンズをモチーフにしたジーンズがある。フランスのブランド、アナトミカの「618 MARILYN」だ。

アナトミカの創設は1994年。ピエール・フルニエとジルベール・ヌースの2人が立ち上げ、パリ4区に同名のショップを開いた。アナトミカはピエールにとってグローブ、エミスフェールに続く3番目のショップ。それまでの2店とは違い、ピエールがアナトミカを設立したときに考えたのが、自らがアイテムをデザイン、生産することだった。ヨーロッパのファッションの歴史、そして自身による“フィット感”に関するこだわりをベースにしたコレクションは、人体の構造と動きに沿ったアイテムが大きな特徴だ。ブランド名に由来になっているのは、「解剖学的に=アナトミカル(ANATOMICAL)」という言葉で、レトロを超えたオリジナルスタイルへの挑戦をブランドの理念にしている。日本へは2008年に進出し、2011年には東日本橋に東京店をオープン。現在は札幌、青山、名古屋、神戸などにショップを構え、多くのファンをすでに獲得している。

メンズのジーンズでは脇に縫い目のない「618 ORIGINAL」という名品が有名だが、「618 MARILYN」は、同ブランドで初めて女性向けにデザインされたモデルだ。深い股上が特徴で、お尻全体をデニムが優しく包み込み、立体的で美しいヒップラインをもったシルエット。おへそとみぞおちの間の、いちばんくびれている部分にウエストのトップがフィットして、ヒップから太腿にかけてゆったりとした独特のデザインだ。マリリンが映画ではいたように、トップスをパンツにインして、ベルトなしではくのがいちばんこのパンツの良さを活かせるだろう。

「618 MARILYN」は、ストレートなシルエットの「#1」と、テーパードしたシルエットである「#2」の2つが用意され、生地違いでの展開もある。ちなみにモデル名に入る品番「618」は、パルテノン神殿やゼウス像、あるいはレオナルド・ダ・ヴィンチの円の中の人体図に利用されている黄金比(1:1.618)に由来している。マリリンのイメージを喚起し、まさに黄金比のように美しいシルエットのウィメンズ向けのジーンズを、一度試してみてはいかがだろうか。

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ほかのジーンズとは一線を画したペーパータグのデザイン。「618」という品番は黄金比にちなんで名付けられたもので、ペーパータグやレザーパッチの縦横の比率も1:1.618の黄金比となっている。

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ポケットの裏側には隠しリベットが。これはバックポケットの裏側に隠して付けられるリベットのことで、ヴィンテージジーンズなどに見られるディテールだ。

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モデル名は「618 MARILYN #2 DENIM」。膝から裾にかけて細くなるテーパードシルエットがこのモデルの特徴。股上はハイウエストだが、「#1」よりは浅め。ストレスなく、すらっとしたラインを描く。ヘビーオンスの生地を採用。¥30,800(税込)/アナトミカ

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新作の「618 MARILYN #0 for MEN 」。#1を買い求める男性が多かったので、メンズ版をデザイン。#1と同じくライトオンスの生地を使い、ワイドのシルエットで、ボタンフロントの仕様に。クラシックなシンチバックが付く。\38,500(税込)/アナトミカ

問い合わせ先/アナトミカ 東京 TEL:070-3144-0378

https://anatomica.jp

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ジーンズを女性にファッションアイテムとして広げたのは、マリリン・モンローだった?

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一

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