フレンチの名手、高田裕介が大胆なペアリングを提案! 新しい芋焼酎「KIRISHIMA No.8」を最大限楽しむすべ

  • 写真:齋藤誠一
  • 文:久保寺潤子

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東京 丸の内のフレンチレストラン「NINE by La Cime」で、パートナーシェフとして新しい料理の楽しみ方を提案する高田裕介シェフ。

「黒霧島」でお馴染みの霧島酒造が、これまでの芋焼酎のイメージをくつがえす新しいタイプの商品を発売。主原料であるさつまいもを自社で育種し、フルーティーでエレガントな味わいを生み出した。今回は世界で注目される気鋭のフレンチシェフ、高田裕介さんに「KIRISHIMA No.8(キリシマナンバーエイト)」の楽しみ方を提案してもらった。

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白ブドウやマスカット、ミカンなどの新鮮な果実を思わせる新タイプの芋焼酎KIRISHIMA No.8を炭酸水で割ったもの。合わせた料理は、日向夏をベースにした爽やかな一品。※商品に炭酸は含まれておりません。

フランスの名店で修行後、2010年大阪にフレンチレストラン「La Cime(ラ・シーム)」をオープンした高田シェフ。ミシュランガイドをはじめ、アジアベストレストラン50などの格付けで毎年順位を上げ、22年にはワールドベストレストラン50に入賞。着々とその名を知られるようになった。そんなシェフの生まれ故郷は鹿児島県奄美大島。焼酎は身近なお酒として慣れ親しんできたという。

「実家にはいつも焼酎がありましたね。お酒や料理はみんなが楽しくコミュニケーションするために欠かせないものですが、料理人が一方的に押し付けることはしたくない。僕の店でもペアリングの提案はしていますが、基本的には好きなものを合わせればいいんです。KIRISHIMA No.8は焼酎というジャンルを超えて、どんな料理にも合わせやすいと思います」

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アミューズは香りや味覚を最初に体験する、コースの導入部。繊細な香りと食感を小さな一皿に組み立てる。

伝統的なフレンチの技法をベースに緻密かつ斬新な料理を手がける高田シェフは、昨年7月、東京 丸の内にオープンしたNINE by La Cimeでパートナーシェフとしてメニュー開発に携わっている。この店でKIRISHIMA No.8に合わせて考案した2品のアミューズは、料理と焼酎が互いを引き立て合う唯一無二のマリアージュとなった。

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_22A7117.jpg焼酎に加えた炭酸の割合を変えることで、料理がメインにも脇役にもなる。

まず一皿目は日向夏のエキスをゼラチンでフィルム状にし、グリーンピース、ハチミツ、キャビアを合わせたものを一口大に巻き、日向夏の飴細工を添えたもの。日向夏ロール、焼酎、飴細工を交互に食べ、飲んでみる。すると果実系のグラデーションが次々に立ち上り、キャビアのプチプチ感、飴細工のザクザク感と、異なる食感の組み合わせによって味わいが重層的に変化する。

「元々柑橘と芋は相性がいいんです。フルーティーなKIRISHIMA No.8の特長を活かすため、料理は酸味のバランスに気をつけました。今回は冬の代表的な柑橘類であるミカンを使いましたが、洋梨やココナッツを使った料理にも合うでしょう」

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ターメリック色の揚げパスタと春の食材が、絶妙なハーモニーを奏でる。

二皿目は、早春を感じさせるアミューズ。ウコン(ターメリック)を練り込んだパスタ生地を立体的に素揚げし、そこに黄金イクラ(ヤマメの卵)、柚子のピューレ、ボイルしたツクシのセミドライをまとわせた芸術的な一品だ。オブジェのように美しいパスタを丸ごと口に入れ噛み締めると、はじめに柚子の香りが広がり、続いて魚卵の上品な塩気とツクシのほろ苦さが渾然一体となってパスタがそれらをまとめ上げる。ホロホロと旨味が口中で絡み合いながら、春の香りが身体中を駆け巡る。

「柚子とツクシは香りと味が強いので、お酒を間に入れるタイミングによってさまざまなハーモニーが口に広がります。食する時間帯やその日の空気の含有量、鼻腔の状態などによっても味や風味は人それぞれに異なるはずです」。それぞれに個性的な食材の香りを消すことなく、KIRISHIMA No.8はその余韻を存分に生かす名パートナーといえそうだ。

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さつまいも由来の焼酎の香り成分に着目し、37組もの交配を行なった結果、8番目の組み合わせから誕生したKIRISHIMA No.8。焼酎メーカーが自社単独でさつまいもの品種を育成し、その品種で焼酎を製造・販売するのは日本初(2023年1月霧島酒造調べ)。

故郷の奄美大島では目の前がすぐ海、という環境で育った高田シェフ。大阪やフランスのレストランでの修行を経て大阪で自身の店を開き、東京にも活躍の場を広げた。シェフ曰く、場所には固有の匂いがあるという。「色んな場所に住んでいると、その土地の匂いに敏感になります。子どもの頃はずっと潮の香りを体験して育ちましたが、パリではエリアによっても異なる匂いを感じました。香水もつける人によって変わるように、香りはとてもパーソナルなもの。この店では料理と香りのオートクチュールを目指しています」

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焼酎も、飲む場所や料理によって味わい方が変わると高田シェフ。

NINE by La Cimeでは都会のど真ん中で、苔むした山の匂いを再現したり、抽象的な香りを身につけてもらって嗅覚を刺激するなど、これまで日本の料理店でタブーとされてきたことにも挑戦している。「料理は味や見た目優先で判断されることが多いけれど、香りの記憶の方が正確なこともある。NINE by La Cimeでは香りを記憶させるためのペアリングを提唱しています」

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よく冷やしたKIRISHIMA No.8と炭酸水を1:2で割ると、華やかな香りと瑞々しい旨味が炭酸の泡に乗って広がる。香りを存分に活かすため、氷は入れないのがおすすめ。

日本の旬の素材をいかに五感で感じてもらえるかもシェフの腕の見せどころだ。「季節の変わり目の食材は旬の期間が短いですよね。フキノトウや行者ニンニクといった食材の旬は2週間。そんな繊細な味覚を生かした料理に焼酎を合わせる場合、焼酎の濃度によって料理がメインにも脇役にもなるんです。今回は焼酎と炭酸水を1:2の割合でペアリングしましたが、もう少しお酒をしっかり味わいたい人は炭酸を減らしてもいい。好みでアレンジできるのが焼酎のいいところです。食中、食後によっても変わってくるでしょう」 

巷にはたくさんの食の情報が溢れているが、作る人も食べる人も、それに惑わされず、自分の感覚をしっかりもつことが大事だという。「レストランではお客さんがもっと味覚に対して能動的になるべきだと思っているんです。僕の店ではお客さんが自分の好みを発見できる場になるといい。料理人はそれを引き出すためにいるんです」

KIRISHIMA No.8|霧島酒造株式会社

https://www.kirishima.co.jp/brand/kirishima-no8/

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