ライカQ3がついに登場。 待望の新機能が詰め込まれた、究極ともいうべきカメラの全貌

  • 文:石川博也

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4年ぶりのフルモデルチェンジとなったライカQシリーズ。

ライカQ2が日本でデビューしたのが2019年3月23日。それからおよそ4年の月日が経過。いよいよ6月3日(土)に次世代モデルとなるライカQ3が登場する。ベールを脱いだその全貌は驚くべきものだった。

初代のライカQから第2世代のQ2への進化を振り返ると、目玉となったのは画素数が2400万画素から4730万画素に増えたことで、デジタルズーム機能でクロップした際に実用に耐えうる画角が広がったことだろう。さらにもうひとつ、防塵防滴の保護シーリングが施され、撮影時に天候の影響を受けにくくなったことも大きな変化となった。

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正面のデザインはQ、Q2とほぼ同じだ。

それに対して今回のQ2から第3世代となるQ3への進化は凄まじいものだ。既存の機能のアップデートに加えて、ライカQ2の弱点を解消し、利便性を向上させる新たな機能を多数搭載。ライカQ3を史上最強のコンパクトデジタルカメラと呼ぶにふさわしいモデルに昇華しているのだ。

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タッチパネル液晶はチルト式を採用。

まずはカメラの心臓部となるセンサーだが、トリプルレゾリューション技術を取り入れた新しい裏面照射型CMOSセンサーを搭載。記録画素数を6000万画素、3600万画素、1800万画素の3種類から選択することができる。いずれもDNG(RAW)形式もしくはJPEG形式での記録が可能。これによって被写体のディテールや質感をしっかりと写したい時は6000万画素、連写持続性の向上やファイルサイズを小さくしたい時は1800万画素にするなど、撮影の目的や状況に応じて柔軟に画素数を変えられるのは嬉しい。

最大画素数が上がると動作速度が遅くなるのではと思うかもしれないが、それは杞憂だ。ライカQ3は、パナソニックとの協業によるエルスクエア・テクノロジーから生まれたライカ・マエストロシリーズ最新世代の画像処理エンジンを搭載。動作速度も大きく向上している。

ISO感度の設定範囲はISO50から100000まで。ちなみにライカQ2はISO50000までだった。

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コンパクトなボディにもかかわらず6000万画素を誇る。壁や雨が降った石畳の地面など、素材感を細やかに捉える。

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f1.7の明るいレンズと新型のフルサイズセンサーにより、暗所の雰囲気を損なわないまま鮮やかに色を捉える。

 

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シャッター部分はアクセサリーのレリーズボタンをつけるなどカスタマイズも可能に。

レンズは初代ライカQ、Q2と継承してきたQシリーズ伝統の大口径レンズ「ライカ ズミルックスf1.7/28mm ASPH.」を採用。このレンズはマクロモードに設定すると17cmまで寄ることができるので、例えば、SNSにアップすることの多い料理の撮影などに重宝する。

デジタルズーム機能では、ライカQ2と同様の28mm、35mm、50mm、75mm相当に加えて、90mm相当の画角もラインナップ。6000万画素で撮影した場合、90mmでも約600万画素相当になる。いわば常に5本のレンズを持ち歩いているのと同じような状態になり、それがボタンひとつで簡単に切り替えられるのは、奇跡レベルのありがたさだ。

「ライカ・パースペクティブ・コントロール(LPC)」と「ライカ・ダイナミックレンジ(LDR)」という2種類の実用的な撮影アシスト機能も新たに追加。これらを使うことで美しいJPEG画像を生成することができるため、撮影後に処理をする手間がなくなった。

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底面の左端に見えるのが、ワイヤレス充電のための端子だ。

オートフォーカスシステムも進化を遂げている。位相差検出方式を追加したハイブリッドオートフォーカスシステムを新たに採用。これまで以上に高速・高精度なピント合わせや追尾が可能になっている。さらに空間認識(DFD)技術も新たに採用されている。

精度の点では最も優れているコントラスト検出方式に、位相差検出方式、DFD技術、さらにはインテリジェントな物体認識技術を組み合わせたオートフォーカスシステムが被写体をシャープかつ鮮明に捉える。 

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素早いオートフォーカスで、シャッターチャンスを逃さない。美しいグラデーションも、ライカレンズならではだ。

 

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QやQ2では背面の左端にボタンが並んでいたが、Q3ではボタンの数を減らし、右端に集約した。

ファインダーはライカQ2の368万ドットに対して、576万ドットの新たな有機ELファインダーを搭載。被写体をクリアかつシャープに映し出してくれるので、Q2以上に気分良く撮影することができる。

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チルト式のタッチパネル液晶が撮影の幅を広げてくれる。

液晶モニターは高精細の3.0型タッチパネル液晶を採用。サイズ自体はQ2と同じだが、Q3では液晶の角度を上下に変えられるチルト式を採用。これによってハイアングルやローアングルの撮影も容易に行えるようになり、クリエイティビティをより自由に発揮できる。またチルト式のモニターを採用しながら、防塵・防滴性能ではライカQ2と同じIP52相当を確保しているから頼もしい。

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「Leica FOTOS」を使った際のデータ転送速度はQ2の10倍に!

撮影した写真をSNSに投稿する際に重要なのはモバイル機器への転送速度だが、ライカQ3では高度な通信技術MIMO(Multiple Input Multiple Output)にも対応しているため、ライカ専用アプリ「Leica FOTOS」へのデータ転送速度はライカQ2に比べておよそ10倍のスピードアップを実現! さらにアプリとの新たな連携機能として、動画データもモバイル機器に転送できるようになった。しかもJPEG画像を美しい印象に仕上げることができる「Leica Looks」を「Leica FOTOS」からダウンロードすることもできるのだ。

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USB Type-C端子のほかHDMI端子も装備

当然ながら動画撮影も進化している。ライカQ2の4Kに対して、ライカQ3では8K動画の撮影が可能に。効率的なコーディックであるH.265やApple ProResにも対応し、多種多様なコンテンツ制作のニーズにも応えている。

そして、ライカQシリーズのユーザーが待ち望んでいたHDMI端子とUSB Type-C端子がついに実装! ジンバルやモバイルバッテリー、外部ディスプレイレコーダーなどとも接続できるのは感涙ものだ。「Capture One」や「Adobe Photoshop Lightroom」でのテザー撮影、つまりは撮影した写真データをリアルタイムでモバイル機器に映し出すこともできるようになったため、広告撮影の現場などでも積極的に使うことができるようになっている。

また、「Made for iPhone」「Made for iPad」としてApple社の認定を受けているため、付属のLeica FOTOSケーブルで「Leica FOTOS」アプリと接続すれば、ライカQ3を活用してクリエイティブな表現を楽しめる。

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ワイヤレスチャージはこのように行う。

専用アクセサリーとして特筆すべきは、ハンドグリップとワイヤレスチャージャーが登場したことだろう。これによってワイヤレス充電が可能になっている。

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お気に入りのアクセサリーでライカQ3をドレスアップ

また、レザープロテクター、レンズキャップ、レンズフード、サムレスト、レリーズボタン、ホットシューカバーもラインナップ。いずれも3種類のカラーバリエーションが用意され、ライカQ3を自分好みの一台にカスタマイズすることができる。

ライカQ2同等のコンパクトなサイズながら、利便性に裏付けられた最新技術を詰め込むことで、静止画も動画も、プロもアマチュアも、スタジオ撮影でも街角スナップでも、つまりどんな目的においても満足のいく撮影ができる究極かつ万能な一台となっている。まさに夢にまで見た理想のカメラ、ライカQ3がここに誕生したのである。

ライカカメラジャパン