熱海の絶景と美食に包まれ心とカラダを解きほぐす、「熱海・伊豆山 佳ら久」で過ごす唯一無二のひととき

  • 文:植田沙羅
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伊豆山温泉の名湯をゆったりと愉しむためにつくられた、展望露天風呂。眼前に広がる相模湾の波間の煌めきと一体化したインフィニティ風呂で、オーシャンビューの宿ならではの佳景を満喫したい。

都心からほど近いエリアでありながら周囲を海と山に囲まれ、美しい自然を堪能できる温泉街として知られる熱海。近年は新たなホテルのオープンラッシュもあって、その魅力が再評価されている。なかでも2023年12月に開業した「熱海・伊豆山 佳ら久(からく)」はどこまでも続く紺碧の相模湾を一望しながら、露天風呂に憩い、地の食材に舌鼓を打つ。そんな至福のやすらぎを味わえるリゾートだ。

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客室タイプのメインとなるのは、全44室のデラックスルーム。和タイプと洋タイプの異なる設えから選べる。最大4名まで宿泊できる51.47㎡の広さで、ファミリーで滞在できるのも嬉しい。

熱海駅に降り立つと、送迎のスタッフが出迎えてくれる。ホテルまでは送迎車で向かうこと7〜8分ほど、多くの人で賑わうノスタルジックな商店街に背を向け、水平線や煌めく水面を眼下に見下ろしながら高台を登っていく。国道から細道に入ると、緑あふれる伊豆山の麓に木々に守られるように佇む、洗練された建物が姿を現す。

エントランスを抜け最上階である8階のロビーへ向かうと、目に飛び込んで来たのは、窓一面に広がる相模湾の大海原。高台の立地ならではの絶景に、思わず息をのむ。

レセプションの先にあるのは、ゲストラウンジ「間(AWAI)」だ。なだらかな曲線を描く木目調の天井からは、趣たっぷりのライトが吊るされ、落ち着きのある和モダンな空間を演出している。「佳ら久」では、館内の全客室がクラブフロア扱いで、ここ「間」も一般にいうクラブラウンジとして機能し、フィンガーフードやドリンクをフリーフローで楽しめる。夜は有料にはなるがバーとしても利用できるので、滞在中のどんな「間」にもフィットし、思い思いのひと時を過ごせるだろう。

ラウンジにはテラスも併設され、そこにはまるで海と一体となるかのような水盤が広がり、心地よい潮風に包まれる。ここではぜひ、この眺望に酔いしれながら足湯に浸かりたい。都会の喧騒を忘れ、心身を非日常へと誘うスイッチになるはずだから。

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ゲストラウンジからテラスへドリンクを持ち込めるので、喉を潤しながら足湯に浸かるのもいいだろう。遠くに初島を望む、テラスからの美しい眺めは、時が経つのを忘れてしまうほど。
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左:ゲストラウンジ「間(AWAI)」では、7~11時、14~19時のフリーフロータイムでビールやワイン、日本酒が提供されるほか、ドラフトコーヒーディスペンサーもありクリーミーなアイスコーヒーもいただける。 右:19時30分からはバータイムになりラウンジ内はしっとりとした大人の雰囲気に。有料になるが、アルコールやおつまみもオーダーできる。また、6階には「刻(TOKI)」という名のゲストラウンジがあり、コーヒーや紅茶、スイーツが用意されている。ここでは有田焼を中心とする有名な窯元のカップ&ソーサーがズラリと並べられ、好みの器に淹れてくれる。

全57室の客室には4つのタイプがあり、いずれも温泉露天風呂を有した贅を凝らしたつくり。時間や人目を気にせず思う存分湯あみができる広々とした露天風呂は、深い寛ぎを与えてくれる。

今回滞在したのは全10室ある「佳ら久ルーム」。室内は深い海のようなブルーを基調とした設えで、相模湾に映るムーンロードをイメージしたアートが壁面を飾る。テラスには眼前に広がる相模湾の美しい眺望を遮ることのないよう、ガラスフェンスを採り入れている。まるで海の景観と客室がひと続きになっているかのような錯覚を覚える。

ほかにも最上階に2室だけ用意された、水盤テラスを配した上質な「佳ら久スイート」や、畳や木の設えに癒やされる和タイプと落ち着きのある洋タイプが揃う「デラックスルーム」、車椅子でも滞在しやすい「ユニバーサルルーム」があり、旅のスタイルに合わせた部屋が見るかるはずだ。

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izusan_karakuroom_6F_20231020_3.jpg上:全10室の「佳ら久ルーム」の宿泊ゲストは、それぞれ1時間のアーリーチェックインとレイトチェックアウトができ、ゆとりある滞在が叶う。 下:充分な広さのある客室の露天風呂からも海景をひとりじめ。プライバシーに配慮したロールスクリーンがあるのも安心だ。

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「伊豆」の語源は諸説あるが、そのひとつに湯が「出づる」国であったからという説がある。それほどまでに歴史ある伊豆山温泉の泉質は、カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩温泉。切り傷や冷え性に効能があり、特に硫酸塩温泉に浸かると肌はしっとりなめらかになるそうだ。

客室だけでなく、7階に位置する展望露天風呂「阿多美(Atami)」と「想海(Soukai)」でもそんな由緒ある温泉を堪能できる。なんといっても圧巻なのが、開放感たっぷりのインフィニティ仕様の露天風呂だ。澄み切った青空と遥かなる相模湾を望みながら、湯の中でたゆたえば、まさに水天一碧の情景に身を委ねているかのような夢心地に。

絶景と温泉を思う存分味わった後は、サウナで心身を整えたり、サロンで寛いだり、テラスでそよ風に吹かれるのもまた良し。心を解放して自分らしく過ごすひと時は、この上ない癒しになることだろう。

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izusan_atami_20231019_1.jpg朝から昼にかけては陽光が煌めき、美しい夜には月明りに照らされた水面(ムーンロード)が浮かび上がる。遠くに聴こえるさざ波の音色に耳を傾けながら眺める、夕暮れの黄昏時にオレンジに染まる相模湾も幻想的だ。刻々と移り変わる大海を眺めるために、滞在中は何度も訪れたくなる。

温泉でリフレッシュした後は、お待ちかねのディナータイムだ。「熱海・伊豆山 佳ら久」では鮨「藍寿(あいじゅ)」とダイニング「六つ喜(むつき)」が揃い、いずれも相模湾などの地元の漁港で水揚げされたとれたての海の幸を満喫できる。藍寿では檜の一枚板が美しいカウンターで、寿司職人との会話を楽しみながらその日のお薦めを味わいたい。

自然の恵みにあふれた土地柄を活かし、厳選された旬の食材や地物の滋味を引き出す和食を、会席スタイルで提供するのが六つ喜だ。「五感に加え、ここならではの体験という六つの要素を喜びで満たしたい」という想いが込められた店名だけに、素材の旨みを活かしたていねいな料理は、熱海や伊豆山の空や海、山の大地や木々を表現した有田焼の器に美しく彩られ、五感を揺さぶる六つ喜ならではのひと皿が完成されている。

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まだ真新しい檜の一枚板のカウンターで寿司職人の美しい手仕事を眺めるのも愉しみのひとつ。
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izusan_mutsuki_20231019_2.jpg六つ喜でのメインは、魚料理を3種類の中からひとつ選べるプリフィックススタイル。季節ごとに吟味した食材を用い、四季を味わう喜びも感じ取れる。

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日常を離れて身も心も満たされるステイは、かつてない深い眠りに誘われた。翌朝の目覚めは爽やかで、目に映るすべてが清々しい。テラスに出て朝日に煌めく水面を眺めながら、自然の空気を目一杯吸い込むように深呼吸。幸せなひとときはまだまだ続いていく。

六つ喜でいただく朝食は、重箱の中に美しく彩られた小鉢や焼き物にも、地元の食材がふんだんに使われている。そして釜炊きで用意されていたのは、佳ら久のオリジナルブレンド米。艶やかに輝き、甘味と旨みが凝縮されたふっくらとした白米の味わいに思わず唸る。

チェックアウトまで、さらに温泉を堪能し尽くすのもよいだろう。東京から新幹線でたった1時間の場所でこんなにも自然に親しみ、絶景を眺め、温泉に癒され、地の物を味わい尽くせる宿はそう多くはない。余分なものをすべて洗い流したかのようなリフレッシュさで、明日への麗らかな活力が湧いてくる。閑静な宿での上質なステイは、癒やしのエネルギーに満ちている。

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izusan_soukai_20231018_1.jpg上:朝食は小鉢のバリエーションも豊富で、釜炊きの白ごはんによく合う味付け。 下:男湯「想海」の内湯は差し込む日光まで美しい。それぞれの湯にスモークサウナがついているが、「想海」にはさらにドライサウナを、女湯「阿多美」にはスチームサウナを完備。温まったカラダには、相模湾を望むサロンに用意されたデトックスウォーターや缶ビールがぴったりだ。

熱海・伊豆山 佳ら久

住所:静岡県熱海市伊豆山630-1
TEL:0557-55-7900
https://izusan-karaku.orixhotelsandresorts.com