「大人の名品図鑑」レイングッズ編 #3
6月から7月にかけて、日本では本格的な夏がやって来る前に必ず“梅雨”がある。雨や曇りが多くなり、ジメジメした日々が続く。梅雨末期には集中豪雨が降ることも多く、本格的な雨具が必要になるだろう。今回は雨の日に役立つレイングッズの名品を集めてみた。
安価なビニール製傘の普及もあるのだろうが、日本では雨が降りだすと多くの人がすぐに傘をさす。一方、外国では少しくらいの雨ならば、傘はささないという人がほとんどだ。意外にも傘が紳士のアクセサリーのひとつとして確立しているイギリスではその傾向が強い。もともとイギリスの首都ロンドンは“霧の都”と言われ、細かい霧のような雨が降る。横降りの雨も多いので、傘が役に立たないこともあると聞く。
さらには本連載の1回目に取り上げたように、イギリスでは傘は女性が持つものという意識があり、18世紀にジョナス・ハンウェーが雨の日に傘をさして街を歩くまでは、男性たちは帽子や外套で雨をしのいでいた。逆に言えば、だからこそイギリスでは雨よけ用の外套=レインコートが発達したのかもしれない。
現代に近い防水性を備えたコートを考案したのは、スコットランド人のチャールズ・マッキントッシュ。1823年のことだ。マッキントッシュは天然ゴムを2枚の布地の間に圧着加工し、防水機能を飛躍的に向上させた「ゴム引き」のコートをつくった。このコートは大流行、イギリスではレインコートのことを「マッキントッシュ」と呼ぶまでに定着した。
バーバリーの創業者トーマス・バーバリーが考案したのが、防水性に加えて、通気性を備えた「バーバリークロス」と呼ばれた綾織りのコットン素材。この素材を使ったコートやアウターが第一次世界大戦に参戦した兵士や冒険家にも使われた。またイギリスを代表するアウターブランドのバブアーが北海で働く港湾労働者や水夫などのためにオイルドクロス製の防水ジャケットをデザインする会社を設立したのは1894年。同じころ、著名な探検家で医師であったウィルフレッド・グレンフェル卿のために開発されたのが、防風&防水性、加えて通気性や耐久性に優れた「グレンフェルクロス」という素材。エベレスト登山用のアウターの素材にもなど使われた。このようにイギリスには素材開発を含めて雨に強いコートやアウターを製作してきた歴史がある。
---fadeinPager---
アンドワンダーがつくる、現代的なレインコート
現代のライフスタイルから見ると、レインコートは雨よけ用というよりも防寒用に使われることが多い。寒さを感じたとき、羽織るように着用するとか、ジャケットの上に重ねて着用するとか、そんな使われ方が多いだろう。しかしレインコート一枚で雨をしのぎたい、あるいは野外フェスなどのアウトドアシーンでこの種のコートを着用するときには、機能性をいちばんに考えないと、快適に過ごすことはできない。
今回紹介するレインコートは日本で2011年に設立されたアンドワンダーというブランドの製品だ。デザイナーの2人はもともと世界的なコレクションブランド出身で、「山や自然の中でも同じようにファッションを楽しみたい」と、このブランドを始めたと聞く。アウトドアウェアに求められる実践的な機能性の追求とともに、感性を刺激するようなモード感を備えたコレクションを展開、アウトドアブランドとしては唯一無二の存在として注目を浴びている。
この「fly rain long coat」は、素材に「パーテックス・シールド」と呼ばれる防水透湿素材を採用、雨・雪・風が中に染み透ることを防ぐと同時に、湿気を速やかに外に放出してくれる。脇下のファスナーを開くと、すっぽりかぶれるポンチョ型に変身するので、登山などで大きな荷物を背負った上から簡単に着用できる。しかも降りたためば、付属のポーチに収納することができ、重さも約340gと軽量。持ち運ぶときも便利だ。
高い機能性とデザイン性を備えた現代的なレインコートのお手本のような製品だ。こんなレインコートを着れば、どんな状況の雨の日も楽しく過ごせることは確実だろう。
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
---fadeinPager---
アンドワンダー
TEL: 03-5787-3460
www.andwander.com
---fadeinPager---