シャンパーニュを牽引する、名門メゾン・ボランジェが掲げる3つのこだわりとは?

  • 文:編集部
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4月にパリでお披露目された「ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2015」。セパージュは、ピノ・ノワール60%、シャルドネ40%。750mL ¥36,300

映画『007』シリーズでジェームズ・ボンドが愛飲するシャンパーニュが、1829年から続く名門メゾンのボランジェだ。特別な年にのみつくられる「ラ・グラン・ダネ」の最新ヴィンテージを軸に、ボランジェの魅力を紐解く。

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メゾンの地下にある巨大なセラー。夏でもひんやりとしたこの場所で、大量のシャンパーニュが目覚めの時を待っている。値段の付けられない貴重なヴィンテージワインが置かれた鍵付きの部屋もある。

2015年ヴィンテージのキーワードは「豊満さ」と「力強さ」

ボランジェからヴィンテージシャンパーニュ「ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2015」が4月末にリリースされた。最高品質のブドウができた年にだけつくられるのがボランジェの「ラ・グラン・ダネ」。2015年ヴィンテージのキーワードは、「豊満さ」と「力強さ」だという。

色はゴールデンイエロー。アップルやミラベルの香りの中に、ハチミツやブラックベリー、カシス、チェリー、かすかにアーモンドも混ざる。ひと口目のアタックは豊かで力強さを感じながらも、柑橘系のノートもあり、繊細で上品。ミネラルの余韻が長く続き、恍惚とした心持ちにさせられる。

「ラ・グラン・ダネ 2015」の凝縮感や大らかさをつくっているのは、よく熟したピノ・ノワールだ。15年といえば、ヨーロッパ各地が大熱波に襲われた年。気温が40度近くまで上昇し、熱波の影響で大停電も発生した。そんな年に摘まれたピノ・ノワールは力強く、通常は30%前後ブレンドするシャルドネの比率を40%使用しなくてはならなかったほど。絶妙なブレンドによりつくられたシャンパーニュは、その名の通り「偉大なる年」の産物なのである。

そんな素晴らしいシャンパーニュを生み出すボランジェをボランジェたらしめるものは、なんなのだろうか。その魅力を、“3つのキーワード”から紐解いてみたい。

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アイ村にあるメゾン。29年に迎える創立200年を前に、数々のプロジェクトが進行中。地域のワインツーリズムの中心となるホテルも建設中だ。

ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2015の詳細はこちら

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ボランジェたらしめる、3つのこだわり

ひとつ目は、自社畑へのこだわり。ボランジェは180ヘクタールものブドウ畑を所有し、細心の注意を払ってブドウを栽培している。畑の85%はグランクリュとプルミエクリュだ。16年からは除草剤の使用を一切禁止しており、有機栽培を実践している。

ふたつ目は樽熟成の追求だ。ステンレスタンクを使うメゾンもあるが、ボランジェはあくまでも樽熟成を続ける。樽を使うことによってワインに微量の酸素が供給され、長期熟成に耐えるワインになるからだ。使うのは平均20年の古樽のみ。大小さまざまな樽を4000個ほど所有しており、その維持管理のために専門の樽職人と樽工房まで有する徹底ぶりだ。シャンパーニュで樽職人を抱えているメゾンは、ボランジェだけ。最近は森まで育てており、15年以来、オーク樽の材木まで自社の森で伐採しているのだからすごい。

3つ目はクラフツマンシップ、つまり伝統的な手作業。通常は機械で行うことも多いデゴルジュマン(澱抜き作業)も、ボランジェでは職人が手作業で行う。コルク栓でボトル熟成をするため、機械ではコルクの留め金を外せないからだ。他にも多くの作業をいまも手作業で実施している。

すべては最高のシャンパーニュをつくり、その伝統を次世代に引き継ぐため。世界中の人を虜にするには理由があるのだ。

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グランクリュのアイ村、ヴェルズネイ村などに180ヘクタールの自社畑を持つ。所有する土地の約15%を生物多様性促進のために使用しており、29年までにその面積を30%までに増やす予定だ。
Gael 樽職人 (3) (1).jpgシャンパーニュ最後の樽職人、ガエル・ショノ。修復に必要な道具も自作している。
6_マダム・ボランジェ② (1).jpgマダム・エリザベス・リリー・ボランジェ。3代目当主の死後、第2次世界大戦の騒乱からメゾンを守り、戦後はシャンパーニュの普及に尽力した。

ボランジェ ラ・グラン・ダネ 2015の詳細はこちら

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