Apple Vision Proがいよいよ日本発売! 動画クリエイター大川優介が、アップル副社長を直撃インタビュー

  • 文:Pen編集部
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アメリカで2月2日に発売され世界中で話題となったアップルの空間コンピューター「Apple Vision Pro」が、いよいよ日本で発売。アメリカ発売時に購入し、すでに使いこなしている動画クリエイターの大川優介が、アップルのプロダクトマーケティング担当で副社長のBob Borchersをインタビュー。アップルとしてこの革新的な新製品にどんな可能性を感じているか、話を聞いた。

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アップルが牽引する、空間コンピューティングという新たなカテゴリ

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Apple Vision Proがアメリカで発売されるやいなや、大川は現地へ駆けつけ購入。Pen6月号では、渋谷の街角でApple Vision Proを操作する姿が表紙を飾った(記事末参照)。photo by Seiichi Saito

大川優介:Apple Vision Proがついに日本に登場しますが、どのような期待を持っていますか?

Bob Borchers:非常に楽しみです。Apple Vision Proを使えば、他では得られない、非常にユニークな体験を得られます。日本は常にイノベーションをリードし、イノベーションを理解してきた国です。だからこそ、できるだけ早くApple Vision Proを日本で発売することが重要でした。技術と経験、ユーザーインターフェースの組み合わせが、日本で十分に評価されると考えています。

大川優介:Apple Vision Proは最初にアメリカで発売され、多くのユーザーが購入し、オフィスや家庭、街中で使用しています。車を運転しながら使用するなど、おそらく本来の用途ではない使い方をしている場合もあります。良い意味でも悪い意味でも、これほどまでに注目されると予想していましたか?

Bob Borchers:私たちは、Apple Vision Proが発売されることによって、空間コンピューティングと呼ばれる新しいカテゴリが世界に浸透していくことを確信しています。それは、現実の世界とデジタルの世界を新しい方法で、強く融合させることです。ですが、これは始まりに過ぎず、さまざまな開発者がApple Vision Proと空間コンピューティングを利用して新しい使い方を探求し、ユーザーが自分の生活に取り入れる新しい方法を見つけていってほしいです。そんなあらゆる使い方を予測していたわけではありませんが、これは本当に重要なことだと考えています。いずれもデジタルの世界を現実の世界に持ち込むという新たな能力によって、他にはない体験が得られます。

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Bob Borchers:アップル副社長、プロダクトマーケティング担当。2004年アップルに入社。iPhoneのエコシステム構築など数々のプロダクト開発に尽力。

大川優介:私が初めてApple Vision Proを使用したとき、それは本当に魔法のような体験でした。そして、レビューアーの中には、コンテンツの視聴には最適だが、他の目的での使用には向かないかもと感じる人もいるようです。空間コンピューティングとしてのApple Vision Proが人々の生活にどのような影響を与えると考えていますか?

Bob Borchers:空間コンピューティングは、これまで不可能だったさまざまなことを可能にします。例えば、「空間写真」や「空間ビデオ」は、まさにその場にいるような感覚になれます。また、全く新しい方法で映画を見ることもできます。私は機内で、Apple Vision Proのシネマ環境で映画「デューン」を見ました。それはこれまでに経験したことのない素晴らしい体験でした。また、仕事をするためにMacの仮想ディスプレイを使用することもできます。私が持っているMacをフルに活用しながら、プライバシーを保ちながら作業することができます。また、恐竜がすぐそばにいるかのように感じたり、NBAのバスケットボール選手が膝の上に飛び込んでくるような臨場感あふれるビデオを見ることもできます。Apple Vision Proの鍵は、それが単なる一つのことだけではなく、空間コンピューティングが新しいコンピューティングプラットフォームのすべての可能性を開くことです。ユーザーが行うこと、私が行うこと、他の人が行うことは人それぞれでも、強力で没入感のある体験を提供し、新たな扉を開くことは間違いありません。

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Apple Vision Pro日本発売に伴い、Bob Borchersが来日。六本木の日本オフィスにてインタビューを実施した。

大川優介:Apple Vision Proを最初に使用した時は忘れられない衝撃を受けましたが、同時にコンテンツを視聴した後、少し寂しい気持ちになりました。Appleとして、Apple Vision Proが他の人とつながるためにどのように活用できると考えていますか?

Bob Borchers:私たちは、Apple Vision Proが環境や人と強力に繋がることを可能にすると確信しています。Apple Vision Proを装着して目を覆っていても、部屋の空間を把握し、周りの人々を見ることができ、彼らもあなたが何をしているかを知ることができます。人間のつながりは非常に重要であり、視線を感知する技術などを使用して、他の人々があなたと目が合っているような感覚になれます。また、「スペーシャル・ペルソナ」が最近ベータ機能として導入されました。リモートで繋がっている人とでも、一緒に立ち上がって歩き回り、ホワイトボードに一緒に書き込み、映画を一緒に見て、同じ部屋にいるかのように感じることができるようになります。

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Apple Vision Proが、アップル全体のエコシステムに与える影響とは

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大川優介(おおかわ・ゆうすけ)動画クリエイター/起業家
趣味のサーフィンをきっかけに映像制作の道に進み、VLOGやチュートリアル、企業や商品プロモーションなどの映像制作を行い、SNSで20万フォロワーを集める。YouTuberとしても活動。現在は拠点を東京から京都に移している。 photo by Seiichi Saito

大川優介:Apple Vision ProがiOSやMac OSなど、Appleのエコシステム全体にどのような影響を与えると考えていますか?

Bob Borchers:Apple Vision Proは、すべての製品と同様に、アップルの他の製品と連携して動作するように設計されています。例えば、iPhoneでiMessageを使用していて、そのままApple Vision ProでもiMessageを起動させれば継続して使えます。また、iPhone 15 ProおよびPro Maxでの空間写真やビデオのキャプチャなども、Apple Vision Proで閲覧するのに最適です。Appleでは、ユーザーエクスペリエンスを重視し、自然で直感的で理解しやすいものにしているので、Mac、iPad、iPhoneなどのAppleデバイスを持っている場合、Apple Vision Proも同様に操作でき、目、手、声を使って自然な方法で操作できます。すべての製品を一緒に持つことで製品がどのようにうまく機能するか、このエコシステムを構築していくことが私たちにとってとても重要です。

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大川優介:iPhoneはが広く普及した理由の一つはアプリのエコシステムの影響だと感じています。Appleとして、開発者に対してApple Vision Pro向けにどのような機能やアプリを期待していますか?

Bob Borchers:Apple Vision Proを日本でリリースする理由の一つに、素晴らしい開発者コミュニティがあり、大きなチャンスがあることが挙げられます。実際、Apple Vision Proを消費者に提供する前に、東京にラボを設立し、開発者が事前に体験し、アプリを開発できるようにしました。そのため、アプリのエコシステムはグローバルにも日本国内でも非常に重要です。それがApple Vision Proの成功と、私たちの顧客に最高の体験を提供するために不可欠です。現地のアプリやグローバルアプリの両方が日本で利用できることが重要です。これにより、アプリ開発者の豊かなエコシステムが形成され、これが成功の鍵となります。私が最も楽しみにしているのは、おそらくまだ登場していないが、これから登場するであろうアプリです。自分の仕事や開発、顧客への提供方法を完全に再発明することができると、Apple Vision Proを初めて装着した開発者たちは確信してくれるはずです。

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大川優介:WWDCで発表されたVision OS 2の新しい機能で、通常の写真を空間写真に変換できるというものがありました。今後、Appleはどのように記録体験を再定義していくのでしょうか?

Bob Borchers:私がApple Vision Proを初めて使ったとき、空間写真や空間ビデオにはこれまでになく驚きました。それは単に記憶を思い出させるだけでなく、その瞬間に戻ることができる体験でした。誕生日のケーキのろうそくを吹き消す瞬間や子供が初めてスポーツをする姿など、非常に感情的な瞬間でした。そのため、VisionOS2で過去の写真を空間写真に変換できるようにすることは、とても重要だと感じました。強力な生成AIによって実現される機能で、個人的な思い出をエモーショナルに再現する画期的な技術だと思います。

 

大川優介:ありがとうございました。いよいよ日本で発売され、この画期的なデバイスを多くの人にの体験してもらうことが楽しみですね。

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