虫二
日本有数の学生の集まる場所、高田馬場。その裏通りを進むと、小さな庭の中に茶席が出現する。2024年4月末にオープンした「虫二(ちゅうじ)」は、中国茶とともにひと時を楽しむ茶館だ。
この店は、西早稲田の有名な中国茶カフェ甘露が手掛けた2店舗目。ただし、甘露は茶と中国菓子をアラカルトで楽しむカフェだが、虫二は完全予約制の上、茶と菓子をコースで嗜む茶席の場。これまで日本では無かった中国本場の茶の世界を堪能できる空間に仕上げている。
オーナーである向井直也さんは、「お店のイメージは、茶文化が根付く杭州の西湖にある茶館です」と語る。杭州市西湖は中国四大民謡のひとつ『白蛇伝』の舞台になるなど、中国で最も美しいといわれる湖。湖畔にはいくつもの伝統的な茶館があり、風流な景観とともに、茶のある空間・時間を楽しむ文化が根付く。店名の虫二は、美しい自然の風景を現す「風月無辺」の隠喩からとった。「風月」の二文字からそれぞれ囲いを外す(=無辺)と虫二となる。インテリアは中国伝統文化をモダンに解釈したを融合した新中国式スタイルで、扇状に広がる窓からは美しい庭を望むことができ、風流な景観と茶の時間を楽しめる。
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中国全土の茶を厳選。合わせる菓子には果物も
席に着き、中国茶を選ぶところから虫二での茶の時間は始まる。茶は中国全土からの選りすぐりの茶を10種類前後でラインナップ。
茶を選ぶと、専用の箱に入った果物・ナッツ類の盛り合わせ「果籃(からん)」が付いてくる。奶棗玫棗(ナイザオメイグイ)や背徳胡桃(ベイドウフータオ)など日本では馴染みのない中国菓子はすべて手作りだ。ほかにもミニトマトやブドウなどが茶請けなのも中国流の茶の楽しみ方だ。また季節によって変わる菓子とお椀も用意されている。今回は8月に訪れたため、エンドウ豆の羊羹の宮廷豌豆黄(コンティンワンドウファン)と、北京で宮廷料理人が生み出したスイカのゼリーである西瓜酪(シーグァーラオ)と夏らしい一品だ。
今回いただいたのは、オーナーおすすめの緑茶である洞庭碧螺春(どうていへきらしゅん)。清明節(4月4日か5日)前に摘み取られた一番茶を使用した緑茶は、柑橘のような香りと優しい甘みが口の中に広がる。茶器は、ガラスと蓋碗など選ぶことが可能だ。様々な茶器で、茶葉の広がりを見ながら時間をゆったりと過ごすのも良いだろう。
店は完全予約制だが、持ち帰り限定で中華菓子や茶器の販売をしている。こちらは予約なしでも購入が可能だ。「日本ではあまりない、ここだけの体験できる場所に」と語る向井さん。高田馬場の裏道で、都会の喧騒から離れて、中国茶の世界をぜひ楽しんでみてほしい。
虫二
東京都新宿区高田馬場2-14-5 Rozzo1F
TEL:03-6823-7588
営業時間:11時~18時 ※茶席のみ要予約。 菓子の購入は予約不要
定休日:木(不定休日あり、SNS参照)
www.airrsv.net/chuji/calendar