「動く彫刻」で新風を巻き起こしたカルダーの展覧会から、山下麻衣と小林直人の映像インスタレーションの展示まで【今月の展覧会2選】

  • 文:住吉智恵(アートプロデューサー)
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「動く彫刻」で新風を送った、カルダーの発明の才を体感せよ

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『カルダー:そよぐ、感じる、日本』展示風景 2024年 麻布台ヒルズギャラリー Photo courtesy of Calder Foundation, New York / Art Resource, New York All works by Alexander Calder © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS). NewYork photo: Tadayuki Minamoto

20世紀を代表する芸術家、カルダー。パリの自室で針金彫刻を操るサーカスの上演を始めて評判となり、1931年マルセル・デュシャンが「モビール」と名付けた作品を発表。さらにその動く彫刻と「面」と「曲線」とをダイナミックに組み合わせて空間を構成した『スタビル』で名を広めた。東京で約35年ぶりとなる本個展では、NY在住の建築家・後藤ステファニーが手掛けた風が吹き抜けるような空間で、カルダーが美術史上に巻き起こした痛快な新風を感じたい。

『カルダー:そよぐ、感じる、日本』

開催期間:~9/6
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
開館時間:10時~18時(月~木、日) ※金、土、祝前日は19時まで。入館は閉館の30分前まで
休館日:8/6
料金:一般¥1,500
問い合わせ先/azabudaihillsgallery@mori.co.jp
www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/calder-ex

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「小さな政治」をまとめ上げ、地域住民と協働でつくる巨大な風景

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『人が花に対して、また花と共に行う営み』のためのイメージスケッチ 2024年

アート・ユニット、山下麻衣+小林直人の映像インスタレーションを中心とした実践を紹介する本展。新作『人が花に対して、また花と共に行う営み』では、訪れる人が花を持ち寄り、磯崎新設計のタワーから広場を眺めると「大丈夫」という文字が浮かぶ巨大な花壇をつくる。動植物や自然を含む他者との関わりを通して作品を制作してきた彼らは、「他者」を「花」に読み替え、花壇づくりを小さな政治と捉えて、地域住民との協働で「大丈夫」を育てることを試みる。

『山下麻衣+小林直人 他者に対して、また他者と共に』

開催期間:7/27~10/6
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー、広場
TEL:029-227-8111
開館時間:10時~18時 ※入場は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(8/12、9/16、23は開館)、8/13、9/17、24
料金:一般¥900
www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5312.html

※この記事はPen 2024年9月号より再編集した記事です。