北青山の新店「とんかつ じゅんちゃん」、割烹「くろぎ」の黒木 純が語った新挑戦の狙いとは!?

  • 写真・文:一史
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「特選銘柄豚 ヒレかつ」。

夜の予算ならひとり10万円オーバーとされる東京・大門の割烹「くろぎ」。
そのオーナーシェフである黒木 純さんが監修する、とんかつ専門店「とんかつ じゅんちゃん」が外苑前駅近くの「青山グランドホテル」4階にオープンします。
2024年9月6日(金)より営業スタートで、12時〜16時半(ラストオーダー15時)までのランチライムのみ。
黒木さんの立場はあくまでも監修、とはいえご自身の名に由来する店であるからには私的な思い入れも深いはず。

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新店「とんかつ じゅんちゃん」監修の料理人、黒木 純さん。

そこで!
オープン2日前に行われたお披露目の試食会に行き、黒木さんとカウンター越しに少しやり取りさせていただきました。
そのお答えをQ&A形式でお伝えします。

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Q. とんかつ専門店を手掛けたことにはどのような思いがありますか。

A. とんかつは和食だと思っています。
日本の食文化のひとつ。
どの街でも蕎麦屋ととんかつ屋は必ずあって、潰れずに長く営業してますよね。
受験のときに「勝つ」祈願で食べたり、ちょっと贅沢したいときに食べるもの。
そのとんかつをいま我々日本人にしっかりと示したかったのが、この店を監修した狙いです。

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営業はランチタイムのみ。夜は別業態の飲食店になります。

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オープン時の食事メニューはこの3種類。

Q. 和食のスペシャリストならではのとんかつ料理はどのようなものでしょうか。

A. まず豚の選別ですね。
ロースかつでは「坂東もち豚」という、旨味が通常の豚の5倍あるとされる豚肉を使っています。
何を基準にして5倍なのかは不明ですけど(笑)。
米をこの肉ととても相性のいい希少米の「龍の瞳」にしたのも和食ならではのやり方でしょうか。
もっちりとした柔らかさが、とんかつによく合うと考えています。

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オープンキッチン。

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「特選銘柄豚 ヒレかつ」。豚汁とカレーとのセット定食。
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中央の大根おろし入りの辛口ウスターソースに漬けて食べるのがこの店のスタイル。

Q. 味付けにも独特な工夫があるようです。

A. メインのソースは自家製のウスターソース。
醤油と大根おろしを入れた和風の味です。
とんかつを「和食だ」と感じられるソースをつくりました。
ほかにも辛子や塩などを添えてますので、お好きなように召し上がっていただければと思います。

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こちらは「坂東もち豚 ロースかつ」。150gのヒレ肉よりボリュームアップの200g。

Q. 今後店を広げていく計画はありますか。

A. まずはスタートしたばかりですから、皆さんのご意見を伺いながら整えていくことをいちばんに考えています。
メニューに丼物を加えたり、別の場所に出店していくのはそのあとの計画として頭に思い描いています。

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最上級の味わいの豚汁。赤身の肉もしっかりとたくさん入ってます。

Q. 低価格なとんかつを食べることが多い庶民としては、やや敷居の高いお値段のようです。

A. 上限にキリがない焼き肉と違い、高くても5,000円はしないのがとんかつの良さでもありますね。
この店の品は、実はリーズナブルな設定なんです。
というのも、材料費がかなりしちゃってますから……。
お客様に納得していただけたら幸いです。

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卵入りのカレー。庶民文化に寄せた添え物なのでしょう。小麦粉は入ってないらしいですが、とろみのある日本的なカレー。

短時間のカジュアルな取材ではありましたが、黒木さんの構想の一角をお伝えできたでしょうか。
皆さんは「いますぐ食べに行きたい!」って気持ちでいっぱいでしょう。
以下、ご参考までにわたしが実食した感想を。

各素材のクオリティの高さは言わずもがなです。
ソースなどの味付け部分以外は、庶民的な「とんかつ定食」をブラッシュアップしたハイグレード版という印象。
肉はあっさりめで(ヒレかつを食べました)、どこまでも繊細。
柔らかく甘い白米も久々に食べました。
(日常の食事は雑穀米、玄米の人間)

サプライズはソース類にあります。
メイン調味料は醤油入りのウスターソース。
これが大きな売りながら、実はわたしにはちょっとしょっぱくて……。
口のなかが塩っ気で支配されてしまい、繊細な肉と衣の風味が飛びがちで。
端だけをちょん、と浸けて口に入れるべきでした。
4切れのヒレ肉では、ソースとのちょうどいい塩梅を見つけられないままに食事が終了 w
日常の食事が薄味の者の意見です。

欲をいうと、“ザ・とんかつ”な甘めソースもほしかったところ。
サラダドレッシングも塩系だし、辛口率高めに感じました。
甘いソースをセットに含めていただけたら嬉しかったです。
食事中に「この上等な肉を日常的な食べ方で味わったら、どれほど美味さを実感するんだろう?」と思い実践したくなりまして。

添え物のカレーは昔懐かしの風味。
ご飯に掛けてカツカレーにアレンジできる味変が楽しいのですが、その行為は高級豚肉をあえてジャンクに食べるお遊び発想だと思われます。
カレーは高級料理を庶民文化に引き戻すグッズ。
メインソースは別にもう一種類ほしかったです。

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青山グランドホテルのエレベーターを降りて左に向かい、この長〜い通路を抜けた奥が「とんかつ じゅんちゃん」。

なんかすみません、たぶんこの先にメディアや個人発信者が褒めちぎっていくでしょうから、「100%満足とは思わない奴もいる」くらいにお考えくださいませ。
とんかつを食べ歩いているような食通さんには、「この見事な完成度の和食にソースを付け足せだって!?」とお叱りを受けるかもしれないなぁ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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