なにせアンリアレイジのことですから、一筋縄ではいかないコラボになるのはよくわかってました。
とはいえ、これほど創造的で楽しいとは!
広々とした高島屋新宿店のポップアップショップの空間演出が、面白さをさらに際立たせています。
周囲がシックな高級品に囲まれた大フロアのなかで、超ポップな服とキャラクターがいい意味で浮き上がってます。
お子さんがいらっしゃるなら家族連れで(ドラえもんを知らなくてもOK)、ご一緒に体感なさってくださいませ。
服の色が変わります、笑えます、うなります。
「ヤバこれほしい、着たい!」ってなります。
常日頃から「ファッションが持つ高揚感を、より多くの人に届けたい」といった思いを抱き続けるファッションデザイナー森永邦彦さんの、現在の到達点の一角を目撃できるはず。
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今回のコラボ相手は、漫画の「ドラえもん」。
ファッションシーンの動きを知る人だと、ドラえもんといえば2021年のグッチとのコラボが思い浮かぶでしょう。
ものすごく話題になりましたよね。
グッチのアイテムに主人公ドラえもんの絵が入り込み、キャラクターグッズのように変貌していました。
今回のアンリアレジ版が大きく異なるのは、ドラえもんの世界観そのものに入り込みそこから着想していったこと。
パンク音楽に例えてみましょうか。
チェック柄のボンデージパンツやドクターマーチンの靴を利用するのでなく、楽譜の3コード構成や“破壊”といったこのカルチャーが持つ奥底に焦点を当てるようなもの。
デザイナーの森永さんとは取材仕事で昔からよくお会いするのですが、強く影響を受けた物事について質問するたび必ず、「藤子・F・不二雄先生のSF短編集です」とお答えになります。
日常と非日常が交差していくような、SFというよりミステリーに近い世界に惹かれるようです。
同作家の短編集が好きで、そこから派生して藤子・F・不二雄作品全般への思い入れを深めていったのだと取材者のわたしは認識してます。
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それでは以下より、アンリアレイジが長年に渡り研究開発してきた未来的なテクノロジー、未来的な服のあり方に満ちたラインナップを見ていきましょう!
上のファーコートは、太陽の光を浴びると色が変わる、「フォトクロミック」技術の最新版。
紫外線に反応しますから、夜のクラブなどでも色が変わるでしょう。
紫外線の強い雪山で着たら色鮮やかになる!?
一着の服が着るシーンで変化していくテクノロジー発想です。
上の写真は紫外線ライトを取り付けたロボットアームの自動運転で服の色を変えるデモンストレーションの様子。
店頭でどうぞ驚いてください!
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これも太陽光を当てると、ドラえもんとのび太の後ろに長い影が出現!
紫外線への反応速度が早くなったのが、以前のアンリアレイジの服からの技術進化を物語ります。
日中の屋外から室内に入ると、数分ほどで色がかなり薄くなります。
上写真はハンディタイプの製品検査用紫外線ライトを当てたシュミレーションです。
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いわゆる反射素材を応用した、ライト照射で色が変わる服。
リフレクターなどと呼ばれる技術の上級版と考えればいいでしょうか。
リフレクターはスポーツシューズによく使われ、夜間の車のライトでビカッと反射しますよね。
そこをカラフルに仕上げ、元の服に別の模様を浮かばせたのがアンリアレイジの発想。
上の写真はカメラに取り付けたストロボを何度か照射して上手く行ったバージョン。
着用して日常生活を送るなかでは変化を感じにくいと思います。
(これほどはっきりとは)
着ている姿をスマホのライト照射で撮影したとき、「おおっ!」と驚けるかもしれません。
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これ、かわいい!
ドラえもんの秘密道具のスモールライトで小さくした服を、普通のTシャツの胸ポケットふうに取り付けたユーモアアイテム。
ロジックでなくエモーションに訴えかける服。
ミニ服の緻密なつくり込みがアンリアレイジならではですね。
異様なほど大きな服やパッチワークなどをやってきた同ブランドの歴史が何気に凝縮されてます。
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大きな球体に着せ付けることができる、丸いロボットの衣裳であるかのようなコンセプチュアルな服。
アンリアレイジのアーカイブを応用したドラえもん版。
着ると背中に大きな膨らみができるのが面白いです。
人間が着るといびつになるパターンと裁断が、ちゃんとお洒落に仕上げられてます。
パリでのランウェイショーでも球体、立方体などのオブジェ(未来のロボット?)が服を着た様子が発表されました。
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ポップアップショップを訪れる人にいちばん人気(売れ筋)らしいTシャツ。
ギミックのない正統派のプリントアイテム。
テーラードジャケットのように胸がVゾーンになり、インナーを覗かせる上着と組ませるとよさそう。
座ってるドラえもんが上着で隠れ、中央のまんまるオブジェだけが顔を出しますから。
より抽象的なグラフィックに変身。
高島屋限定のご自慢の一着。
メンバー大集合の服はこれだけ。
上写真は背中で、前にはタケコプターふうのパーツと首輪がついた特別なアンリアレイジロゴがあります。
藤子・F・不二雄プロに描いてもらったそう。
キャラの配置が円(球)の形に収まっているのが、今回のコラボシリーズとリンクしてますね。
東京発信モードのアンリアレイジのポップアップショップを、高島屋が開催していることを意外に感じる人もいるでしょう。
実は主催しているのは高島屋内の自主編集セレクトショップである「CS case study(ケーススタディ)」。
今回のコラボレーションは初期段階から一緒に取り組んできたそうです。
アンリアレイジ×ドラえもんのポップアップショップ、
ドラえもん×アンリアレイジ CSケーススタディ POP UP SHOP
は、新宿店と大阪店にて9月10日(火)まで。
一部の商品は高島屋各店(日本橋、横浜、玉川、京都)のCSケースステディでも販売されます。
なにより店頭で体感するのが楽しいので、気になるかたはお早めに!
ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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