トップソムリエの食卓を彩る、旨味と酸味が絶妙な微発泡日本酒「日日(にちにち) 山田錦」【プロの自腹酒 vol.26】

  • 文:西田嘉孝
  • 写真:榊 水麗
  • イラスト:阿部伸二
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日々醸造/日日 山田錦

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日本酒業界で注目される醸造家のひとり、松本日出彦が2021年に京都・伏見の地で新たに創業した日々醸造。そのベーシックな一本は、兵庫県の東條産山田錦のなかでも、限られた契約農家で栽培された酒米だけを使い、自然の力を活かした生酛づくりで醸造している。ほんのりとしたガス感と控えめな香りや甘さ、優しい旨味と酸味のバランスが秀逸で、どんな食事にも寄り添ってくれる一本だ。720mL ¥2,310(実勢価格)/日々醸造 https://sake.inc ※実勢価格は編集部調べ

全日本最優秀ソムリエコンクールでは、過去3大会連続でファイナルに進出し、2020年と23年大会では準優勝。現在はエグゼクティヴ ソムリエとして、コンラッド東京のソムリエチームを率いる森本美雪さん。昨年には出産を経験し一児の母に。飲食店を経営する夫もソムリエの資格を持ち、日本酒にも精通する。

「子どもが産まれてからは、夫と家でお酒を飲むのが楽しみ。もともとワインが大好きですが、ワインを飲み出すと仕事のスイッチが入ってしまうので、家では夫が選んでくれた日本酒を飲むことが多いですね」

そう話す森本さんのお気に入りが、京都の日々(にちにち)醸造が醸す「日日(にちにち) 山田錦」。発酵で生まれる自然のやわらかな炭酸ガスが感じられる、微発泡の日本酒だ。

「酸が快活で爽やかさがあり、かつ繊細な香りや味わいは、オーストリアを代表する白ブドウ品種のグリューナー・ヴェルトリーナーでつくられたワインのよう。ほんのりと残るガスによるフレッシュさも魅力で、ワイン好きな人にもぜひお薦めしたい日本酒です」

飲用温度の幅が広く、さまざまな料理と合わせて楽しめる万能さも、森本さんが家飲みに日本酒を選ぶポイントのひとつ。

「冷やして飲むなら、野菜を使ったシンプルな前菜や魚のお刺身、唐揚げや天ぷらなどにも合いますし、ぬる燗なら肉料理や魚の煮付けなどとも好相性。特に『日日 山田錦』はどの温度帯で飲んでもテクスチャーがしっかり感じられ、味わい深いのにクセがないから、食前から食中までずっと楽しむことができるんです」

日本のトップソムリエを唸らせるクオリティに加え、デイリーに楽しみやすい価格も魅力。日本酒好きやワイン好きならずとも、日々の晩酌にぜひ取り入れたい一本だ。

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崎陽軒との好相性に、酒もつまみも止まらない

神奈川生まれの森本さんのソウルフード、崎陽軒のシウマイと、「日日 山田錦」は鉄板のペアリング。肉の旨味やほどよい脂がさわやかな酸味とあいまって、醤油不要で楽しめる。

森本美雪

1986年、神奈川県生まれ。2014年からコンラッド東京のソムリエチームに。国内外での経験を積み、名だたるコンクールなどで受賞を重ねる日本のトップソムリエ。

コンラッド東京

住所:東京都港区東新橋1-9-1
TEL:03-6388-8000

※この記事はPen 2025年1月号より再編集した記事です。