
2020年9月から22年4月にかけて小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載されたマンガ『チ。―地球の運動について―』。15世紀のヨーロッパを舞台に、地動説を命がけで探究する人々を描いた魚豊の人気作品だ。本作は第26回手塚治虫文化賞マンガ大賞ほか数々の賞を受賞。単行本の累計発行部数は500万部を超え、2025年3月15日にはNHK総合テレビでアニメが最終回を迎えた。
子どもから大人まで楽しめる『チ。』の世界
本展は、アニメ『チ。―地球の運動について―』の壮大な世界を舞台に、地動説の歴史的研究から最新の宇宙研究まで、数々の知恵を集めた展示内容となっている。パネル展示では第1章から4章までアニメの名場面と名セリフを再現しながら、地動説にまつわる学術的な解説を交えており、子どもから大人まで幅広い世代で楽しめる構成だ。
開会に際し、テープカットには声優の速水奨(フベルト役)、小西克幸(オグジー役)、仁見紗綾(ヨレンタ役)、島袋美由利(ドゥラカ役)に加え、宇宙飛行士の野口聡一が駆けつけた。展示を鑑賞した5人は、物語に即して地動説の歴史が解説されていくコンテンツについて、より深く『チ。』の世界観に没入できると語り合った。

入り口では「地動説研究ノート」が配布され、展示を体験しながらクイズに答えていくと、オリジナルステッカーを手に入れることができる。ノートは比較的容易な「天文助手用」と難易度の高い「天文学者用」を選ぶことができるので、親子で地動説の証明に挑んでみるのも面白い。
この展覧会はパネルを鑑賞するだけでなく、実際に体験できる参加型展示になっているのが特徴だ。地動説発明のきっかけとなった金星の満ち欠けをオグジーの視点になって体験できるほか、ラファウが手にしていた天体観測用機器アストロラーベに触れたり、地動説が普及する重要な役目を果たす活版印刷を体験できたりするコーナーなどを設置。『チ。』の時代背景を思い出しながら人々がどのように知を広めていったのかを追体験できる。

フィナーレはサカナクションが手掛けるアニメ主題歌「怪獣」をBGMに、幅15mの超パノラマスクリーンでダイナミックな映像を展開。圧倒的なスケールと臨場感が物語の余韻をいっそう深めるだろう。

会場ではオリジナルグッズも多数販売される。星座早見盤付きアクリルスタンドや、空が回転するジオラマアクスタ、蓄光アクリルスタンドなどここでしか買えないグッズが目白押し。観覧の記念にぜひ買い求めたい。
特別展 『チ。―地球の運動について―地球(いわ)が動く』
開催期間:開催中~2025年6月1日(日)
開催場所:日本科学未来館
東京都江東区青海2-3-6
https://chi-special-exhibition.jp