
人工知能(AI)を活用した製品など、日々進化する「電気シェーバー」。使い方のコツや自分に合ったものの選び方を、男性美容研究家の藤村岳さんに聞いた。
――T字カミソリと電気シェーバー、それぞれの特徴の違いは?
藤村 T字カミソリは、刃を直接肌に当てるので深剃りができますが、肌が弱かったり荒れやすかったりする人は電気シェーバーがお薦めです。電気シェーバーには毛をつかむ「外刃」と切る「内刃」が搭載。ハイエンドモデルは外刃の穴の形状を工夫し、さらに寝ている毛を起こすトリマーやリニア駆動、音波などの振動で毛を立たせる技術が搭載されているので、いろいろな毛質に対応します。
――毛の質によって、向いている電気シェーバーも変わりますか?
藤村 大きく分けると、刃を左右に動かして剃る「往復式」と、ぐるぐる回転させながら剃る「回転式」があります。前者は硬い直毛のヒゲに、後者はやわらかいヒゲ、敏感肌に向いています。
――よりしっかりと剃るために気をつけたほうがいいことは?
藤村 T字はまず毛の流れに沿って順剃りしてから、逆剃りをするほうがきれいに剃れますが、電気シェーバーは外刃に毛を挟んでカットするという性質上、最初から逆剃りをしてください。回転式の場合も、毛の向きと逆方向にぐるぐると回しながら剃っていきます。
――毛の硬さと向きが重要なんですね。
藤村 あと、剃る前も大切です。ヒゲが細く、硬いほうがシェーバーの外刃に入りやすくなるので、肌は濡らさずドライな状態で剃りましょう。また、刃のすべりをよくする電気シェーバー用のプレシェイブジェルやローションを使うことをお薦めします。
――さまざまなメーカーから発売されていますが、最近の電気シェーバーのトレンドはありますか?
藤村 ヒゲ剃りへのアプローチとして、これまでは肌を傷つけないようにする「守り」に重きが置かれていました。いまはそれも大事にしながら最新テクノロジーを取り入れ、積極的に剃り、美肌に導く「攻め」の気概が感じられます。今回は、その象徴となるような4つのメーカーのハイエンドモデルを紹介したいと思います。
――それぞれの特徴を教えてください。
藤村 まずは、往復式のブラウンとパナソニックから。ともにヒゲの状態・濃さを感知して、自動でパワーをコントロールしてくれる機能が面白い。ブラウン「シリーズ9 プロ+」は、この人工知能テクノロジーに加えて、毎分1万回の微振動で肌への摩擦を軽減しながら深剃りを行うという世界で唯一の「音波振動テクノロジー」を採用しています。パナソニック「ラムダッシュPRO6枚刃」は、シェービング中に光の色でヒゲの状態を表示する「ナビLED」で視覚的にコンディションがわかります。これにより無駄なシェービング、もとい肌へのダメージを減らすことができます。
――ついにヒゲ剃りをAIが助けてくれる時代になったとは。
藤村 次は、回転式のフィリップスとヤーマン トウキョウ ジャパン。「フィリップス シェーバーS9000」は深剃りと低刺激を両立するために、スマートセンサーによって毎秒30回肌への圧力を感知し、リアルタイムでヘッドの下部の色が変化することで、最適な圧力を意識できます。ヤーマントウキョウ ジャパンの「ホットシェイブ スキンプロ」は、美顔器が人気の同社ならではのRF(ラジオ波)を採用し、肌を温めながら剃れるのが特徴です。化粧水と合わせて使うことで、肌の乾燥を防いで、毛穴目立ちを減らす効果も期待できます。
――どれも個性的です。自分のヒゲや欲しい機能に合わせて選ぶのが楽しいですね。
---fadeinPager---
ブラウン シリーズ9 プロ+

優しさ ★★☆
軽量 ★★★
パーソナライズ ★★★
あらゆる顔の部位にもぴったり吸い着いて、肌下マイナス0.01mmの究極の深剃りを実現。人工知能テクノロジーによって、ヒゲの濃さに合わせてパワーを自動調節。より少ないストロークで剃り切れる。
---fadeinPager---
パナソニック ラムダッシュPRO 6枚刃

優しさ ★★☆
軽量 ★★☆
パーソナライズ ★★★
360°に傾く立体スイングヘッドやヒゲの状態に合わせて最適なパワーに制御する「ラムダッシュAI+」の技術で、肌に優しく剃り上げる。リニアモーター駆動により、毎分約1万4000回のストロークを可能に。
---fadeinPager---
フィリップス フィリップス シェーバー S9000

優しさ ★★★
軽量 ★★☆
パーソナライズ ★★★
顔の輪郭に沿って動く「スリーサイクロンヘッド」と毎分最大15万回カットする72枚の「デュアルスティールプレシジョン刃」の組み合わせで効率的に深剃り。肌への圧力を色の変化で知らせる。
---fadeinPager---
ヤーマン トウキョウ ジャパン ホットシェイブ スキンプロ

優しさ ★★☆
軽量 ★☆☆
パーソナライズ ★☆☆
「RF美顔器テクノロジー」により、肌の深部まで温めることで柔軟性を高め、刺激を低減しながら深剃りを行う。極薄外刃と81枚の三重回転刃があらゆる角度からヒゲを捉える。
藤村 岳|男性美容研究家
シェービングを中心に据えた独自の男性美容理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動中。数々のメディアへの出演のほか、講演やイベント、男性用コスメの開発、プロデュースを行う。※この記事はPen 2025年4月号より再編集した記事です。