スイスのフルリエに拠点を構える高級時計メゾン、パルミジャーニ・フルリエ。熟練時計師ミシェル・パルミジャーニによって1996年に設立されたこのメゾンは、独立系ならではの徹底したこだわりと静謐な美意識、そして確かな技術力を礎に、近年その存在感を増しつつある。
2022年に発表され話題を呼んだ「トンダ PF GMT ラトラパンテ」が、2025年、新たな表情を纏って登場した。深く澄んだヴェルツァスカ・グリーンのダイヤルに、詩的とも言える時間体験を宿したこのモデルは、GMTの機能を根本から再構築し、“旅する心”のあり方にまで問いを投げかける。

「トンダ PF GMT ラトラパンテ ヴェルツァスカ」の特徴は、ラトラパンテの名が示すように、2本の時針にある。ローズゴールドのホームタイム針と、ホワイトゴールドのローカルタイム針が重なり、必要に応じて分離・再結合する。その動作は実に直感的だ。8時位置のプッシュボタンを押せばローカルタイムが1時間単位で進み、元に戻す際は3時位置のリューズに統合されたボタンを押すだけ。不要な時は針を重ね、ダイヤルの静謐を保つという美意識が貫かれている。
まるで旅先の空気を吸い込むように、ボタンひとつで世界のリズムと同調する。それは機能性に留まらず、感情や記憶と結びついた“人間的な時間”のあり方を提案するかのようだ。

このモデルをひと目で特別なものにしているのが、ダイヤルに広がるヴェルツァスカ・グリーン。スイス・ティチーノ州にあるヴェルツァスカ渓谷の清流の色にインスピレーションを受けたこのグリーンは、自然の奥行きと静けさを湛えている。
ダイヤルには、パルミジャーニを象徴するバーリーコーン模様のハンドギョーシェが施され、光の加減によってまるで水面のゆらぎのような変化を見せる。40㎜のステンレス・スチール製ケースに、プラチナ950製のローレットベゼルが組み合わされ、優雅さと緊張感が同居するデザインに仕上がっている。


ムーブメントには、独自のラトラパンテ機構を搭載した自社製キャリバー「PF051」を採用。22Kローズゴールド製のマイクロローターを備え、48時間のパワーリザーブと毎時21600振動(3Hz)の高精度を実現している。
複雑なGMT機構を“見せる”のではなく、“隠す”ことで、本質的な美しさを際立たせる。そこには、クラフツマンシップとデザインが溶け合う、パルミジャーニならではの哲学が息づいている。
「この時計は、地理的・感情的な隔たりを越え、人と場所、瞬間をつなぐものだ」と、パルミジャーニ・フルリエのCEO、グイド・テレーニは語る。
単なるツールではなく、持つ人の内面と共鳴し、時間を詩的に再構築する。「トンダ PF GMT ラトラパンテ ヴェルツァスカ」は、そんな情緒豊かな時間を体現した、まさに新時代のラグジュアリーである。

パルミジャーニ・フルリエ
eメール:pfd.japan@parmigiani.com