テイ・トウワ還暦作『AH!!』は、細野晴臣や横尾忠則ら豪華布陣で挑む遊び心と成熟の集大成だ!

  • 文:Pen編集部
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1990年、DEEE-LITEの一員として鮮烈な世界デビューを果たし、その後も唯一無二の感性で音楽とアートの垣根を軽やかに越えてきたTOWA TEI(テイ・トウワ)。還暦という節目にリリースされた最新アルバム『AH!!』は、13作目にしてキャリアのハイライトとも言える意欲作だ。

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TOWA TEI(テイ・トウワ)●1964年生まれ、東京出身。1990年、NYのユニット・DEEE-LITEのメンバーとして全米デビュー。以降ソロで13枚のアルバムを発表し、SWEET ROBOTS AGAINST THE MACHINEやMETAFIVEなどのプロジェクトでも活動。店内音楽監修や劇伴制作、アートディレクションまで幅広く手掛ける。

本作は3月29日に配信が開始され、6月6日には180g重量盤のクリア・スカイブルー・ヴァイナル仕様でアナログ盤としての発売も控えている。ジャケットは美術家・横尾忠則による描き下ろしポートレート。鮮やかなブルーを基調に、UFOが飛び交うシュールで華やかな背景が印象的だ。テイ本人も「横尾さんは宇宙人なんだろうな」と語るほど、その仕上がりには深い満足を寄せている。

アルバムタイトルの『AH!!』には、「あー、なるほど」という気づきの感覚や、温泉で自然に漏れるようなリラックスの響きが込められているという。かつてのファーストアルバム『FUTURE LISTENING!』では「!」がひとつだったが、今作では「!」がふたつに増えたことにも、さりげない遊び心が感じられる。

アルバムは「A面」「AA面」に分けて構成されており、A面にはテイが単独でつくり上げたトラック、AA面には細野晴臣、高橋幸宏、シャッポら、ジャンルも世代も超えたアーティストたちとの共作が収録されている。

なかでも注目すべきは「THE PROPHET」という楽曲だ。20世紀末に録音されていた未発表のテープから、高橋幸宏によるドラム・トラックを発見。それに新たな構築を加え、さらに細野晴臣のベースを加えることで、アルバム全体の構成すら変えるほどの核となる一曲が完成した。

また、制作においてはAI技術も活用されており、歌詞生成やサウンドのアイデア出しなど、補助的な形で導入されたという。「プロンプトが大事」と語るテイの姿勢からは、テクノロジーを感性と融合させながら自らの直感で取捨選択していく、成熟したクリエイター像が浮かび上がる。

温泉でリラックスする時間のなかで着想を得たというアイデアの数々。ジャンルや国境を超えて交差するゲストたちとの音の対話。そして、還暦を迎えてなお瑞々しく、未来志向で響く音楽の数々。『AH!!』は、テイ・トウワというアーティストの“現在(いま)”を余すところなく伝える一枚となっている。

アナログ盤の予約はすでにスタートしており、初回限定のクリア・スカイブルー盤は、音楽ファン垂涎のコレクターズアイテムになること間違いなしだ。

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『AH!!』

TOWA TEI
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https://linktr.ee/towatei