いまや世界中の人々に愛飲されるスコッチウイスキー。なかでも「シングルモルトの原点」と称され、ウイスキーファンからの絶大な支持を得続けているのが「ザ・グレンリベット」だ。そんなザ・グレンリベットを知り尽くすバーテンダーの佃彬光が、同ブランドの魅力や豊富なラインアップの楽しみ方について語った。
密造酒時代に英国王が所望した、ジョージ・スミスのウイスキー

かつてスコットランドの地酒であり人々が生きる糧としたウイスキーに、時の英国政府が重税を課したことから始まったスコッチウイスキーの密造時代。傑出したウイスキー職人として知られたのが、後にザ・グレンリベットを創業するジョージ・スミスだった。
密造酒でありながら、時の英国王ジョージ4世が所望したという逸話も残るジョージ・スミスのウイスキー。良質な水や豊富なピートなど、ウイスキー造りに理想的な環境が揃うスペイサイドのリベット谷を拠点に、質の高いウイスキー造りで名を馳せたジョージ・スミスは、約100年にわたり続いた密造酒時代を終わらせた人物としても有名だ。
1824年には政府公認第一号の認可を取得し、後にグレンリベット蒸留所を創業。密造者たちから命を狙われるほどの激しい反発に遭いながらも、ジョージ・スミスはその勇敢な決断によって、現代に通じるスコッチウイスキーの歴史を切り拓いた。
さらに政府公認となった後には、その名声や品質にあやかろうと「グレンリベット」の名を冠した蒸留所やウイスキーが横行。そうした模倣品から自らのウイスキーを守るべくジョージ・スミスが提訴した裁判は、彼の死後の1884年に結審し、以降は本物のザ・グレンリベットにのみ定冠詞の「THE」を付けることが認められている。
---fadeinPager---
驚くほどフルーティでスイートな味わい。「ザ・グレンリベット18年」の魅力

美しく長大なスペイ川の流域に、数多くのモルトウイスキー蒸留所が集中するスペイサイド。同地で生まれるスペイサイドモルトの特徴とされる、香り高く華やかでフルーティ、そしてバランスの取れた味わいは、まさにザ・グレンリベットが体現し続けてきたもの。
そのフレーバーは多くのウイスキー初心者からプロまでを虜にするが、京王プラザホテルのスカイラウンジ<オーロラ>でチーフバーテンダーを務める佃彬光も、そんなザ・グレンリベットに魅了された一人だ。
「少しクセが強く個性的なものが多いシングルモルトに苦手意識を持っていた当時、ザ・グレンリベットのスイートでスムースな味わいに衝撃を受けました。200年以上に及ぶその蒸留所の歴史から、“はじまりのシングルモルト”と呼ぶにふさわしいザ・グレンリベットは、私がシングルモルトの世界に魅了されるきっかけとなったウイスキー。味わいは複雑でありながらも飲みやすく、ウイスキー愛好家から普段はあまりウイスキーを飲まない方まで、誰にでもお薦めできるスコッチのシングルモルトの王道です」

そう話す佃が最初に薦めてくれたのが『ザ・グレンリベット18年』。使用されているのは、2種のアメリカンオークのバーボン樽(ファーストフィルとセカンドフィル)と、ヨーロピアンオークのシェリー樽でそれぞれ18年以上の熟成を経た希少なモルトウイスキー原酒。世界的なスピリッツの品評会で数々の受賞を重ねるザ・グレンリベットの多彩なラインアップの中でも、最も多くの賞に輝いてきたエレガントな味わいのシングルモルトだ。
「花のようなフラワリーなアロマの後に、南国系のフルーツや洋梨、心地よいスパイス感が追いかけてくる。味わいにはベリーやバターをたっぷり使った洋菓子、赤いフルーツやオレンジマーマレードなどが複層的に感じられ、しっかりとした飲み応えがありながらザ・グレンリベットらしく飲み口はスムース。我々のバーでもスイートなウイスキーがお好きな方には、この『ザ・グレンリベット18年』をお薦めすることが多いですね」
その香味を最も楽しめるストレートやロックはもちろん、香りや味わいが芳醇でバランスが秀逸なため、ソーダ割りなどさまざまな飲み方で楽しめる。そんな「ザ・グレンリベット18年」を称して、佃は「ザ・グレンリベットの最高峰にしてオールラウンダー」と賞賛する。
---fadeinPager---
樽の可能性を追求し切り拓いた、新たなシングルモルトの世界

次に佃が薦めてくれたのが、『ザ・グレンリベット15年 フレンチオーク・リザーブ』。最近ではフレンチオーク樽を熟成に使用したシングルモルトも多くリリースされるが、その先駆けとなったのがこの「ザ・グレンリベット15年」だ。
厳選されたフランスのリムザンオークがもたらすのは、軽やかなスパイスやバターのようなクリーミーなニュアンス。
「最初の香りの印象はスパイシーで、その後に青リンゴやマンゴーのようなフルーティなアロマが感じられます。なめらかで口当たりのよいザ・グレンリベットらしさはキープしながら、心地よいスパイスやクリーミーさが感じられる、リッチで複雑な味わいのシングルモルトです」
そう話す佃が推す「ザ・グレンリベット15」年の飲み方は、なんといってもソーダ割り。種々のスパイスやフルーツ、クリーミーなアロマが香る軽快な一杯は、バーなどで飲む最初の一杯にもぴったり。そんなハイボールは<オーロラ>のゲストのみならず、京王プラザホテルのバーテンダーの間でも大人気なのだとか。

実家は山梨県の果樹園で、瑞々しくなる葡萄や桃の果実に囲まれて育った。フルーティな香味を纏うザ・グレンリベットは、そんな佃にとって幼き日の記憶を想起させるウイスキーでもあるという。なかでも、「実家の果樹園になる巨峰の香りを思い出させてくれる」と佃が評するのが、「ザ・グレンリベット14年 コニャックカスク・セレクション」だ。
バーボン樽とシェリー樽でそれぞれ14年間熟成させた原酒をメインに、コニャック樽に詰め替えて6カ月の後熟を行った原酒をブレンド。コニャック樽がもたらす、熟したレーズンのような濃密な味わいが特徴的な「ザ・グレンリベット14年」には、ハチミツやバニラ、そして上質な赤ワインを思わせるやわらかなタンニン感も。
「ザ・グレンリベットらしいフルーティでスムースな味わいと、コニャック樽に由来するユニークな味わいの調和が『ザ・グレンリベット14年』の魅力。こちらもストレートはもちろんさまざまな飲み方で楽しめますが、カクテルのベースに使うのもお薦めです」
<オーロラ>では、「ザ・グレンリベット14年」を使ったウイスキーサワーなどのカクテルも人気。そのリッチで複雑かつ豊かなフレーバーが、クラシックなカクテルにまた違った表情を与えてくれる。

---fadeinPager---
注目のバーテンダーが教える、ザ・グレンリベットの“家飲みカクテル”

国内はもとより、海外からも数多くの本物の味わいを知るゲストたちが集うスカイラウンジ<オーロラ>。スタンダードから創作まで、佃をはじめとする名手がつくるカクテルはもちろん、国内外のウイスキーも豊富に揃う同店でも、ザ・グレンリベットは不動の人気を誇る。
最後に、数々のカクテルコンペティションで入賞を果たす業界注目のバーテンダーである佃が、自宅でも簡単にできる「ザ・グレンリベット18年」のアレンジを教えてくれた。
「『ザ・グレンリベット18年』を、お好みの紅茶で割るだけのカクテルです。たとえば、ストレートティーで割るとフラワリーな香りやベリー系の風味がより強調され、レモンティーならオレンジマーマレードやシトラスのフレーバーをより強く感じられます。そしてミルクティーで割ると、隠れているスパイスや重厚な味わいをより楽しむことができる。イギリスの紅茶文化に加え、密造酒時代にジョージ4世がザ・グレンリベットを飲み、『ミルクのような味わい』と絶賛したというエピソードに着想を得たカクテルです」
夏場なら冷蔵庫で冷やした「ザ・グレンリベット18年」と紅茶を1:1.5程度の割合でグラスに注ぎ、軽くスワリングするだけでOK。冬場なら温かい紅茶を使った、ホットカクテルとして楽しむのもお薦めだ。
「もちろんウイスキーを冷やさず氷を使ってもよいですし、ホットカクテルならベリー系のジャムや蜂蜜を加えてもおいしくなります。こうしたアレンジが楽しめるのも、複雑でありながら香りや味わいに骨格のある『ザ・グレンリベット18年』だからこそだと思います」
世界中で飲み継がれる、“シングルモルトの原点にして王道”。ザ・グレンリベットの楽しみをさらに広げてくれそうな、ザ・グレンリベットを知り尽くすバーテンダーからの魅力的な提案だ。

イベントでは、メインバー<ブリアン>でお楽しみいただくためのボトルキープ用として、ザ・グレンリベットを特別価格での購入も可能だ。 ※購入いただいたボトルはキープ専用のため持ち帰り不可。
6月22日には、京王プラザホテルのメインバー<ブリアン>で、1日限定のセミナーを実施する予定。スコッチウイスキーブランドアンバサダーの中村大樹による解説のもと、18年をはじめとする代表的な8種類のシングルモルトをオリジナルのペアリングフードと楽しむことができる。唯一無二のシングルモルト、ザ・グレンリベットの多彩な味わいをぜひ堪能してほしい。
ザ・グレンリベット
www.theglenlivet.jp