復刻のたびに大きな話題を呼び、人々の憧れとして愛され続けてきたニューバランスの「1300」。その最新作となる「1300JP」の全貌がついに明かされた。
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スニーカーが教えてくれる、新しいラグジュアリーのかたち
日本有数のセレクトショップを立ち上げから育て上げ、ラグジュアリーなものからカジュアルなものまで、もののよし悪しを知り尽くす栗野宏文は、「1300JP」が日本人の心を捉えた理由を語る。
「日本人は勉強好きですね。それゆえに『流行っているもの』というだけでは終わらないのです」

プロダクトの背景にあるカルチャーや、どういう人物が履いているのか、そういった部分に興味をそそられるのだと栗野は言う。
「いまラグジュアリーっていう言葉が、ターニングポイントを迎えていると思うんです。すごく有名なブランドとか、目立つものとか、すごく高いものとか……。(そういったことと)関係ないところに、本当のラグジュアリーがあるんだと思うんです。たとえば、犬を飼っているとして、毎朝犬と一緒に楽しく近所を散歩して、その時に『1300JP』を履いていたとしたら、それはやっぱり、2025年のラグジュアリーのかたちと言えるのではないかなと思います」
毎日気取らずに履き続けられる心地のいいスニーカーは、生活に豊かさを与えてくれる。
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「メイド・イン・USA」に宿る、手仕事ならではの味わい

「12歳か13歳の時、アメリカの音楽やカルチャーに影響を受けて、ファッションに興味を持ちました」と語るのは、カルチャーと密接にリンクしたファッションを提案するセレクトショップ、ジ・アパートメントの大橋高歩。彼は「メイド・イン・USA」という「1300JP」の背景にあるヘリテージが、人々の心を惹きつける大きな要素のひとつだと分析する。
「日本人はディテールにフォーカスして見るというところがあると思っていて、アメリカの人たちが 『メイド・イン・USA』の服を着ていたところの、ステッチのヨレの味わいみたいなところに美意識を感じられる。その感覚で、『1300JP』を評価したんだと思います」
心のこもった手仕事の味わいは、これからも人々を魅了し続けていくことだろう。
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1300の歴史をともに歩み、最新作に込めた思い

1991年に新卒でニューバランス ジャパンに入社以来、文字通り半生をニューバランスとともに過ごしてきた久保田伸一は、「1300JP」との鮮烈な出合いを振り返る。
「13歳の時、雑誌で見た『1300』の広告には、黄色い背景に靴が大きく掲載されていてとても強い印象を受けたことを覚えています」
その後久保田は、1995年版から最新の2025年版まで、「1300JP」の歴史をともに歩んできた。
「日本の人たちがこのクラシックなシューズに深い敬意を抱いてくれているからこそ、私たちは今回の復刻を可能な限り完璧なものにしたいと考えました。デザインやディテールの美しさが失われることはなく、今日でもこの靴の魅力は変わりません」
普遍のマスターピースは、軽やかに時代を超えていく。
