この部屋のなかで、写真家エリック・ポワトヴァンの展示作品はどれかおわかりですか??
横位置なら少し判別しやすくなるかもしれません ↓
展示物は右壁、奥左の引き戸、左壁のふすまです。
仕切りを取り外すと大きな広間に姿を変える「建仁寺 両足院」での展示。
その室内を真っ白なボードで区切り、写真パネルとして活用。
余白の白も空間表現に大きく寄与しています。
なお天井照明(シーリングライト)も、元の近代的な丸いものから立方体の紙へと変えられました。
この展覧会『両忘—The Space Between』は、建物を含む全体像を“作品”と考えていいのでしょう。
わたしはそう感じました。
西洋的な静物や風景の写真が、これほど美しく日本家屋と調和するとは!
「知足院」の名で1358年に建立された、とてつもなく長い歴史がある両足院への尊敬心も感じられ、日本人として誇らしくもあります。
「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 2025」(以下、キョウトグラフィー)の会場記録をブログ記事でお届けしている第2回目の今回は、フランス出身のエリックさんの展覧会です。
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エリックさんは西洋の静物画、人物肖像画、風景画に近い作風の写真家とされています。
ただし主なモチーフは、枯れかけた植物だったり、骸骨だったり。
朽ちていく過程や朽ちたあとの瞬間を切り取っています。
そのニュアンスが、経年変化した様子を好む日本の美意識とリンクしているのでしょう。
以下より会場をスクロールしてご覧くださいませ。
同じ部屋でも角度を変えて複数回記録しています。
原則として部屋ごとにまとめて掲載。
同展をご覧になれなかった方は「このように歩き回るのだな」と思っていただければ。
途中に出てくる庭はエリックさんの作品ではありませんが、会場のムードに大きな役割を果たしていたので載せました。
作品鑑賞の合間に、ゆっくり庭を眺める来場者も多かった展覧会です。
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この部屋はとくに感動的でした! ↓
会場を巡るうちに突然目に飛び込んできた、前方を真っ直ぐ見据える少年のポートレートがキモ。
異質なこの1点が、室内を豊かな生命空間に変えていました。
朽ちたような森林写真もパワフルに存在感を主張してきます。
各作品が呼応し合う反応のエネルギーと、その作用を意図した展示作りの妙を実感した部屋でした。
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日本家屋の特徴を最大限に活かした展示は、セノグラファー(舞台や会場美術のクリエイター)や企画の人々が相当に尽力したと推察されます。
さらに、アーティストへの協力を惜しまないことで知られる両足院の住職らの力添えも大きかったでしょう。
枯れ草がすっと伸びた床の間。
こんなオブジェクトを置いた感性にも魅了されますが、この美しさに気づかせてくれたのはエリックさんの写真及び展示でもあり。
心に響く幾重ものレイヤーに包まれ、「東京から来てよかった!!」と会場をあとにしてもずっと感慨深かったイベントでした。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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