噛み締めるほどに味わいが深くなる、 “頬張り”の醍醐味【台湾の満腹飯5選】

  • 写真:五味稚子
  • 文:大西稚恵
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グルメな台湾人からも一目置かれている美食の都、台南。台湾の食文化を知り尽くすフードコーディネーターの大大(ダァダァ)が、台南の食の魅力を「のど越し」「頬張り」「甘やかし」に分けて、お薦めの店へ案内してくれた。本記事では「頬張り」をテーマに5店を紹介。

飛び立てば、4時間程度であっという間に到着する異国、台湾。まるで国内旅行のような気分で行ける身近な距離でありながら、そこには日本とはまったく違う世界が広がっている。いま体感すべき台湾の魅力は、「古さと新しさの出合い」。さあ、“OLD MEETS NEW”な台湾を探しに、出かけよう。

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鮮度にとことんこだわる、台湾羊肉を味わうならここ一択

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上から、「羊肉湯」200元、スープをかけて食べるための「白飯」10元、「羊頭肉」200元
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ハツ、腎臓、レバー入りの「羊心・羊腰・羊肝」200元。希少部位は6時半までに注文を。
 
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店主は2代目。積極的にお客さんに声をかけてコミュニケーションを取っている。

台湾でいう羊肉とは、日本でいうヤギ肉のこと。ここは創業約60年、常連客が足繁く通う、地元で評判のヤギ肉専門店だ。もとは牛肉の卸業を先代がしていたつながりで、毎日新鮮なヤギを一頭買いするため、他ではなかなか出合えない希少な部位を味わえるという。雑味のない透き通ったスープは、ヤギの骨を3〜4時間煮込んだもの。朝7時頃までに店を訪れると、薬膳スープ(當歸湯)も味わえる。

無名羊肉湯(ウーミンヤンロウタン)
住所:台南市中西區府前路二段144號
TEL:0934-130-019
営業時間:5時30分~売り切れ次第終了
定休日:火
Instagram:@goat0113
※希少部位はInstagramに記載のあるLINEから予約可。ただし9時までに訪問が必須

夜から朝まで開店中、ジャンクで美味い牛肉スープ

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ハツやレバーが入った「綜合牛肉湯」170元。牛肉のみの「牛肉湯」は3つのグレードから選べる。

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ノスタルジックな路地「神農街」の近く。台南安平にも店舗を構える。

生の牛肉に熱々のスープを注ぐ牛肉スープの専門店。朝食のイメージが強い牛肉スープだが、夜飲んだあとに締めで食べるのにもちょうどよい。綜合牛肉湯は、赤身肉、牛ハツ、レバーをひと皿で味わえる人気メニュー。スープは、牛骨と牛バラ肉を煮込んでおり、牛肉は、ショウガ、豆板醤、甘いとろみ醤油で味わう。「テーブルにある米酒を少し足してみてほしい。深みのある味わいに変わるから」と大大。

鬍鬚忠牛肉湯(フーシューゾンニョウロウタン)
住所:台南市中西區民族路三段91號
営業時間:17時~23時(月) 17時~翌8時(火~日)
不定休

さまざまな食感を楽しめる、伝統的な製法で炊く台湾おこわ

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「米糕」(小)35元。小さなひと皿だが食べ応えあり。ピーナッツとキュウリがアクセントに。
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左:開店と同時に行列のできる店だが、テイクアウトの客も多いので回転は速い。米糕店と同じ敷地内に鱔魚意麺の店もある。 右: 豚の脂を炒めてから煮て、途中で灰汁を取ることで脂っぽさを抑えている。

創業約70年、水仙宮市場のお膝元にある台湾おこわ(米糕)の専門店。行列ができても回転は速い。竹籠で蒸し上げた餅米に、豚肉の煮込みとカジキのでんぶ、ピーナッツ、キュウリがのる。大大は豚のモツとハトムギが入った滋養スープ「四神湯」と一緒に食べるのを薦める。さらに「豚のタン(魯豬舌)やのどの近くの肉(乾骨肉)の煮込みもぜひ。鮮度がいいので豚肉特有の臭みはありません」とのこと。

水仙宮粽葉米糕(シュエイシェンゴンゾンイエミーガオ)
住所:台南市中西區民權路三段44號
TEL:06-220-2407
営業時間:16時~24時30分
不定休

口の中でプリプリ弾ける、タウナギの揚げ麺焼きそば

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汁なしの「鱔魚意麵(乾)」は120元。とろみスープ入りもある。大大お薦めのサイドメニューである豚の腎臓のごま油炒め「麻油腰花」は時価(この日は200元)。

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 3代目店主。店舗は市場にある。

名物の鱔魚意麵は、当日捌いたタウナギ(ウナギに似た淡水魚)に、醤油、酢、砂糖、台南名物の揚げた意麺を加えて強火でサッと炒めたもの。鮮度がなにより大事なタウナギ。2代目店主は「以前は台湾産を使っていましたが、気候の変化で15年ほど前から中国や東南アジアからの輸入品が流通するようになりました。うちは上質な中国産を生きたまま仕入れているのがこだわりです」と語る。

馬沙鱔魚意麵(マーシャーシャンユーイーミェン)
住所:台南市南區文南路125號(文華公有零售市場内)
TEL:06-264-7297
営業時間:14時30分〜21時
定休日:日

地元の美食家たちに愛される、牛肉しゃぶしゃぶの名店

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鍋スープ130元。まずは厳選特級牛肉(大、660元)を。大大のお薦めは「テール」(300元)などの希少部位。支払いは現金のみなので注意。

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3階建ての店内。店自慢の魯肉飯は無料でセルフサービス。

台南中心部から少し離れた場所に、新鮮な牛肉を定番から希少部位まで味わえると評判の店がある。牛の旨味が染みたスープは、牛骨や野菜などを8時間以上煮込んだもの。注文方法は、まず鍋のサイズと肉を選び、1階のセルフコーナーで追加食材を購入する。豊富なサイドメニューは定期的に新メニューも登場。大大のイチ押しは、紹興酒に漬けた牛すね肉(300元)。

 

阿裕牛肉涮涮鍋 崑崙店(アユゥニョウロウショアショアゴォー)
住所:台南市仁德區崑崙路733-1號
TEL:06-279-5500
営業時間:11時〜14時(月) 11時〜14時、17時〜21時(水〜金) 10時30分〜14時、17時〜21時(土〜日)
定休日:火 予約不可
Instagram:@ayu_shabushabu

 

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大大 / 之外工作室(ダァダァ / ヂーワイゴンズオシー )


フードコーディネーター。厨房から食材の現場まで10年にわたる経験を積んだのち、「之外工作室」を設立。台湾の飲食業界に向けて、レシピ開発やフードデザイン、店舗立ち上げのサポートなど、幅広い食のコンサルティングを行なっている。根底にあるのは「サステナブルな美しさ」と「料理の喜びを伝えたい」という願い。

 

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