創業250周年を迎える時計メゾンのブレゲが、記念エキシビション「Les Tiroirs du Temps~時の引き出し~」を6月9日〜15日まで銀座で開催する。会場には、フランス王妃マリー・アントワネットゆかりの伝説的懐中時計のレプリカをはじめ、250周年記念の新作商品が展示される。

展示の目玉となる懐中時計「No.1160」には、1783年から始まる壮大な物語がある。王妃の護衛官とされる人物がブレゲの工房を訪れ、期限も費用も制限なしに、当時知られたあらゆる複雑機構を盛り込んだ時計の製作を依頼したのだ。創始者アブラアン-ルイ・ブレゲが44年の歳月をかけて完成させたこの作品は、王妃の死から34年後に誕生した。
1983年に美術館から盗難に遭い、2007年に奇跡的に発見されるという数奇な運命を辿った原作。現代のブレゲは2005年から3年をかけ、実物を分解することなく過去の資料のみを頼りに復元を成し遂げている。復刻版は823個の部品で構成され、パーペチュアルカレンダーやミニッツリピーター、温度計まで搭載する超複雑時計だ。
今回の展示では、この復刻時計と併せて、ヴェルサイユ宮殿プチ・トリアノン宮にあったオーク材でつくられた専用ボックスも公開。2000年代に落雷で倒れたこの木材は、歴史の証人として深い意味を持っている。会場は「時の引き出し」をテーマに、金色の引き出しが並ぶアーティスティックな空間に仕上がっており、散らばる白い紙片が時計職人のアイデアやスケッチを表現し、創造の瞬間を演出する。

池田理代子原作『ベルサイユのばら』とのコラボレーションも見どころのひとつ。マンガの中でも描かれたマリー・アントワネットとブレゲの親交を描いた作品が会場に展示され、フィクションと現実が交差する演出を通じて、時計という機械仕掛けの芸術品に込められた人間ドラマを際立たせている。
250年の時を経て、パリから銀座へと受け継がれた職人の技と美意識。この小さな機械仕掛けの芸術品が、現代になにを語りかけるのか。その答えは会場で見つけることができるはずだ。




ブレゲ 250周年記念エキシビション
「Les Tiroirs du Temps 〜時の引き出し〜」
開催期間:2025年6月9日(月)~15日(日)
開館時間:11時〜19時(初日は16時まで)
会場:東京都中央区銀座7-9-18 ニコラス・G・ハイエックセンター14階 Cite du Temps GINZA
TEL:03-6254-7211
※完全予約制
https://breguet-250years.eventos.tokyo