【消えた家】一面が鏡張り…荒野に溶け込む“ステルス建築”の正体

  • 文:Rikako Takahashi
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ペルー

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Photo: Vinicios Barros, Courtesy of nosotros

アンデスの乾いた岩々の上に、キャビンが建築された。山陵にどしんと落とされたかのような直線的なデザインに反して、一面が鏡面仕上げになっており、岩肌に溶け込むデザインが特徴的だ。

岩肌と一体化するキャビン

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Photo: Vinicios Barros, Courtesy of nosotros

岩だらけの斜面に鎮座する「ルミ・ニャウイ・キャビン」は、カハマルカを拠点とする建築事務所Rtresarquitectosが手がけた。

東側は、アンデス山脈太平洋側の景色を横長の窓が切り取る。波打つコンクリートの隙間からも光が入る構造だ。素材を複合することで、この土地を吹き荒れる厳しい風から建物を守りながら、視覚的なボリューム感を軽減させている。

反対は一面が反射ガラスで、西からだと一見キャビンが建っているとはわからないだろう。まるでステルス機能。動物がうっかりぶつかってしまわないか心配なほどだ。

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サステナブルな設計で「景観と深く調和」

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Photo: Vinicios Barros, Courtesy of nosotros

南北に長く、長辺を東西方向に当てる配置は、効率的に太陽熱を受けるため。熱容量の高い建材や気密性の高い窓、太陽光発電パネルやバイオガスプラントシステムを採用することで「景観と深く調和した持続可能な建築を確立」したという。

Rtresarquitectosいわく「ルミ・ニャウイ・キャビンは、環境への服従という前提から構想されている」。地面から浮き上がっている構造も、景観の流れを止めないため。このキャビンは「建築物そのものではなく『場所』こそが支配的であるという概念を強化する」存在だと説明する。

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Photo: Vinicios Barros, Courtesy of nosotros

100平米というコンパクトな面積には、リビング、ダイニング、キッチン、ベッドルームが収まっている。内装も魅力的で、岩が浮遊しているかのような洗面器に、剥き出しのコンクリートと世界観が統一されている。それでも温かみを感じるのは、木材の天板と真っ直ぐに差し込む日光がバランスをとっているからだろう。

アンデスの山陵をとらえる直線の窓枠は絶景の一言。ここでじっと息を潜め、日が昇るのを眺めたい。

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Photo: Vinicios Barros, Courtesy of nosotros

Rikako Takahashi

編集者/翻訳者/ライター

東京在住。大学院で翻訳論を研究後、メディア会社に勤務。フリーランス活動で複数の媒体に寄稿中。海外ニュース&エンタメ、カルチャー記事など広く担当。好きなものは旅、猫、夜。

Rikako Takahashi

編集者/翻訳者/ライター

東京在住。大学院で翻訳論を研究後、メディア会社に勤務。フリーランス活動で複数の媒体に寄稿中。海外ニュース&エンタメ、カルチャー記事など広く担当。好きなものは旅、猫、夜。