アークテリクスが展開する「ReBIRD™(リバード)」は、製品の洗浄や破損箇所の技術的な修理、ユーザーが所有するギアの機能を維持し、その寿命を物理的に延ばすためのサービスだ。
昨秋、東京・池袋に国内三拠点目となる「ReBIRD™ サービスセンター」が誕生した 。池袋は都市と山岳エリアを結ぶ交通の要所であり、山へ向かう起点であると同時に日常へ戻る通過点でもある 。この場所に設けられたサービス拠点では、プロ仕様の洗濯・乾燥機を用いた洗浄サービスを受けられるほか、破損内容に応じて同素材の補修生地を熱圧着プレス機で加工する高度なリペア工程を間近に見学できる 。オープンカウンター形式を採用したこの空間は、製品を単に消費するだけでなく、プロの手を借りて手入れをし、使い続けるという行為を日常的な選択肢として提示している。
ReBIRD™の根底にあるのは、見た目の修復よりも機能の回復を最優先するという、アウトドアブランドならではの哲学だ 。アークテリクスにとって衣服は、過酷な自然の中で身を守るための道具であり、修理の基準は常に「山で使えるレベルにまで原状回復すること」に置かれている。もし再生が不可能な状態であっても、安易に廃棄せず、別の製品へと命を繋ぐアップサイクルの仕組みが整えられている。
このプログラムは、2019年に開始されたリセール事業を前身とし、2021年に現在の名称で正式に立ち上げられた。特筆すべきは、修理の現場で収集された詳細な破損データがカナダの本社デザインチームへ直接フィードバックされる点。将来的に同じ箇所の故障が起きないような設計改良へと還元されるこの仕組みは、製品の耐久性を本質的に向上させるための重要なサイクルとなっている。
最高経営責任者のスチュアート・ハーセルデンは、店舗を単なる販売の場ではなく、ユーザーとの関係性を構築するコミュニティの一部として機能させたいと語る。この思想に基づき、ReBIRD™の各種サービスはメンバーシッププログラム「BIRD CLUB」の会員限定で提供されている 。製品購入やフィールドでの体験、そしてケアを通じて得られるデータが次世代の開発に活かされることで、顧客とブランドが共に歩むエコシステムが形成されているのだ。
「We design for circularity.」というメッセージが示す通り、アークテリクスはケアすることを一つの美学として捉える、成熟したファッション文化を築こうとしている 。一過性のトレンドを消費するのではなく、愛着のある道具を専門的なケアによって甦らせ、共に時を刻む。ReBIRD™は、そのような新しい価値観を体験として提供する、極めて実践的な試みであるといえる。
店舗内に設置された洗濯・乾燥機ではアークテリクス製品一部の選択サービスも提供。正しくお手入れすることで、防水性など製品の機能を回復させることが可能。
ReBIRD™のサービスにおいて、アークテリクスが掲げるメッセージ。
アークテリクス
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