【海辺に出現した“二重曲面の巨大シェル”】釜山オペラハウス、竣工目前の姿を公開。韓国の“新名所”へ

  • 文:宮田華子
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韓国

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Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

ノルウェーの建築スタジオ「Snøhetta(スノヘッタ)」が、韓国・釜山の北港ウォーターフロントで建設中の「釜山オペラハウス」の最新の建設進捗写真を公開した。

このプロジェクトは、釜山で初めての本格的なオペラハウスであり、同地の文化的ランドマークとなる見込みだ。建設は主要構造と外装の枠組みが整い、外装取り付けや内装、ランドスケープ整備へと着実に進んでいる。

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Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

都市と海を結ぶ建築としての設計理念

釜山オペラハウスは、元々工業地帯だった埋め立て地に公共空間を作る計画として立ち上げられた。2012年に実施された国際建築デザインコンペティションで「Snøhetta」のデザインが選出され、以降、長期的な港湾再開発計画の中核としてプロジェクトが進められてきた。

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Snøhettaがデザインした完成予想図(レンダリング画像)。Image: ©MIR, Tegmark

連続する曲面が生み出す、開かれた構造

この建築の最大の特徴は、上下に重なり合うように構成された2つの大きな曲面によるフォルムである。下部の曲面は地表から持ち上がるように広がり、都市と海の双方から人々を迎え入れる公共的な基盤となる。一方、上部の曲面は空に向かって膨らむような形状を描き、内部に主要なホール機能を包み込む。

 

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Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

 

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曲線アーチに飲み込まれるような、迫力のある構造。Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

この構成により、建物の内部と外部、文化施設と公共空間の境界は意図的に曖昧にされている。地上階にはホワイエやレストラン、各種パブリックスペースが配置され、上演の有無にかかわらず人々が立ち寄れる場所として計画されている点も特徴的だ。「Snøhetta」が得意とする建築を周囲の風景と連続させるアプローチが、ここでも明確に表れている。

 

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Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

 

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網の目のような骨格が美しい影を作る。Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

音楽のための空間と、自然を一望できるルーフトップ

内部には、約1,800席のメインオペラハウスに加え、約300席の多目的ホール、リハーサル室、教育・交流機能を担う諸室が整備される予定である。音響設計は国際水準を前提とし、ホール全体を一つの楽器のように捉える考え方のもと、形状や素材が慎重に選定されている。

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Image: ©MIR, Tegmark

また、屋上部分には一般に開放されるルーフトップが設けられ、釜山の海と山並みを一望できる展望空間となる。ここは単なる眺望施設ではなく、建築を「登る」体験を通じて都市と自然の関係を再認識させる場として位置づけられている。文化施設を日常的に開かれた公共空間として捉える姿勢は、「Snøhetta」のこれまでの建築デザインに通じる。

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山と海の両方の美しさを堪能できる。Photo: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

年内に完成、来年開館の予定

今回公開された建設中の写真からは、建物の輪郭がすでに景観の中で存在感を放ち始めている様子が確認できる。「Snøhetta」によると主要な工事は今年後半に完了し、2027年に開館の予定だ。

最後_2012195_OS_N140.jpgPhoto: ©StudioSZ Photo | Justin Szeremeta

今後は内装や周辺整備が本格化し、完成に向けた最終段階へと入る。北港ウォーターフロントの再開発が段階的に進むなか、その中心的存在となるオペラハウスの完成が待たれる。