1.石巻から世界へ、ものづくりの精神を伝える
展覧会でスポットを当てる作品は、芦沢啓治、安積朋子、インダストリアル・ファシリティ、スタジオ・アジェクティブ、ダニエル・スコフィールド、寺田尚樹、トラフ建築設計事務所、ドリルデザイン、ノームアーキテクツ、フィリップ・マロウィン、藤森泰司、二俣公一ら錚々たるメンバーが手掛けた。
東日本大震災から今年で15年。震災直後、宮城県石巻市周辺の被災状況を目の当たりにした建築家・芦沢啓治が声を上げ、デザイナー有志とともに始めたDIYによる家具づくりの支援活動は「石巻工房」ブランドへと展開され、いまなお復興の象徴的な存在であり続けている。
石巻工房の木製椅子やインテリア用品はどれも構造や外観の印象はシンプルながら、使用する素材の特性や形状が熟考されている。さらに、地域の人々が自らの手でつくり出す喜びを共有できることが魅力のひとつだ。このプロジェクトは国内にとどまらない。石巻で製作する家具のほかに、各地の地元メーカーと協働する「メイドインローカル プロジェクト」の名称で、中国やマニラ、アブダビなど世界各国の環境や文脈に応じたものづくりやボランティアを行うネットワークも広がっている。
そんな石巻工房の歩みを紐解く展覧会がカリモク家具の協力で3月11日から開催される。
「震災の記憶も月日とともに忘れられていくこともある。今回の展示がまた新たな端緒になれば」と芦沢は話す。「石巻工房の存在は、震災や非常時に、ものづくりのプロとしての方法論を活かしてボランタリーで関われることを示しています。シンプルな家具の可能性を深化させながら地域に根ざした活動は、世界中のクリエイターへ響くと思います」と続ける。実際にいま、ウクライナやチリのデザイナーから、戦地や被災地での家具づくりへのアドバイスを求めて石巻工房に連絡が入るという。
本展では、ベンチなど代表的な家具15点を紹介する。いずれも世界で活躍する建築家やデザイナーが、DIYでつくれるように設計した構造に注目してほしい。さらに、工房長をはじめ石巻で暮らす人々を撮り下ろした映像も、じっくり鑑賞したい。
『15 Years After 石巻工房の歩みと15の家具』
開催期間:3/11〜4/23
開催場所:Karimoku Commons Tokyo
開場時間:12時〜18時
休館日:日、4/10、4/11
入場無料
https://commons.karimoku.com

