ニューバランス「574」とIWC「インヂュニア」。異素材の「グレー」が交差する【靴と腕時計 Vol.7】

  • 写真:丸益功紀(BOIL)
  • スタイリング:野上翔太
  • 文:Pen編集部
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腕時計¥2,396,900/IWC(IWC 0120-05-1868) スニーカー¥13,970/ニューバランス(ニューバランスジャパンお客様相談室 0120-85-7120) ジャケット¥79,200、パンツ¥48,400/ともにブラームス(ワンダリズム 03-5797-9915) ニット¥59,400/エイトン(エイトン青山 03-6427-6335) ベルト¥17,600/グラフペーパー(グラフペーパー 東京 03-6381-6171) ソックスはスタイリスト私物

「靴と腕時計」Vol.7


スタイルの要となる"靴"と"腕時計"——。両者のベストなマッチングを考える。今回は、一切の装飾を排し、純粋な機能美から生まれたIWCとニューバランス、両者の「グレー」を合わせる。

スエードの温もりとチタンのソリッドさ

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左:IWC「インヂュニア・オートマティック 40」 右:ニューバランス「574」

今回選んだスニーカーは、ニューバランスのアイコニックなモデルであり、ブランドを象徴するカラーを纏った「574」だ。 1980年代に誕生した「574」は、舗装路用のスマートな名作「996」とは対照的に、オフロード(未舗装路)での着用を想定して開発された。そのため、やや丸みを帯びたタフなシルエットを持ち凹凸の激しい路面でも安定した走りを実現する。

衝撃吸収性に優れたEVA素材を頑丈なポリウレタン素材で包み込んだ「ENCAP(エンキャップ)」構造をミッドソールに搭載し、その履き心地は説明不要の完成度を誇る。本作は、ブランドのサステナビリティプログラムの一環として、環境に配慮したECOGREENスエードとメッシュのアッパーを採用。アスファルトの上でも未舗装路でも汚れが目立ちにくいという実用的な理由から採用されたグレーは、いまや知的で落ち着いた大人の足元を約束する絶対的なカラーコードである。

この足元に合わせたいのは、スイスのシャフハウゼンに拠点を置くIWCの「インヂュニア・オートマティック 40」だ。「インヂュニア(ドイツ語でエンジニアの意)」は、強い磁場の中で働く技術者たちのために1955年に誕生した耐磁時計。本作もそのDNAを受け継ぎ、内部には磁気からムーブメントを守る軟鉄製インナーケースがしっかりと収められている。外観の最大の特徴は、ベゼルを固定するための5つの多角形ビス。かつては隠すべきとされた構造上のパーツを、あえて機能美として剥き出しにするアプローチである。

今回紹介する「インヂュニア・オートマティック 40」(Ref: IW328904)の外装となるケースと一体化したブレスレットには、軽量で肌に優しく、極めて頑丈な「グレード5チタン」を採用。サンドブラスト仕上げによるマットなグレーの質感は、チタンというハイテク素材ならではのインダストリアルな魅力を放っている。

この二つを繋ぐのは、構造を隠さない誠実さと、それを体現するグレーという色彩だ。 悪路を走破するためのタフなシルエットと、磁気からムーブメントを守るための強固なチタン外装。どちらも、過酷な環境を克服するためのエンジニアリングから出発しており、その機能的な必然性が、時代を超越する美しいデザインへと昇華されている。

チタンの硬質なグレーと、スエードの温かみのあるグレー。異素材のグレーが重なり合うとき、そこには華美な装飾とは無縁の、本質を知る大人だけが到達できる知的なコントラストが生まれるのだ。

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インヂュニア・オートマティック 40/自動巻き(Cal.32111)、チタンケース&ブレスレット、ケース径40㎜、厚さ10.8mm、パワーリザーブ約120時間、10気圧防水。¥ 2,396,900

「靴と腕時計」