【デヴィッド・ボウイが育った家】少年時代を過ごしたロンドンの住まい、2027年に一般公開へ

  • 文:宮田華子
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Photo courtesy of David Bowie Estate

ロンドン南東部ブロムリーの住宅街に建つ一軒の家が、2027年(後半)に一般公開されることが発表された。ここは、のちにデヴィッド・ボウイとして世界的成功を収めるデヴィッド・ロバート・ジョーンズが、8歳から20歳まで(1955年〜1967年)を過ごした家である。

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グレーの外観、「プレイストウ・グローブ4番地」にかつてボウイが住んでいた。Photo courtesy of Heritage of London Trust

彼の生誕地はロンドン南部ブリクストン地区であり、この家は生家ではない。しかし、少年期から青年期にかけて家族と暮らし、ボウイの「表現者としての基盤」が育まれた場所である。

「ごく普通の家」で育ったスーパースター

この家は、イギリスでよく見られる「テラスハウス(Terraced House)」という形式で建てられている。テラスハウスとは、複数の住宅が隣同士で壁を共有しながら横一列に連なる住宅形式で、18世紀のジョージ王朝時代からヴィクトリア朝、20世紀初頭のエドワード朝にかけて広く建てられた。日本の長屋にやや近い構造だが、各戸は独立した一戸建て住宅として扱われる。

各戸は独立した玄関と小さな前庭を持ち、裏には通常細長い庭もある。ジョーンズ邸も1階にリビングとダイニング・キッチン、2階に寝室が2室ある「two up, two down」と呼ばれる、典型的なテラスハウスの間取りの住宅だった。

 

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外壁にはボウイが住んでいたことを示すプレートがある。Photo courtesy of Heritage of London Trust

ジョーンズ家は当時4人家族(両親とボウイと弟)であり、一家が生活するには十分な広さだったが、特に広い家だったわけではない。

世界的アーティストが育った家が、特別な邸宅ではなく普通の住宅だったという事実に親近感を持つ人は多いだろう。ボウイの創造性が特権的な環境に依存しなかったことを示している。

 

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ベンチに座るボウイ。詳細は分からないが、庭に置かれた小屋の前で撮影された写真に見える。Photo courtesy of David Bowie Estate

少年期から青年期のボウイ

ボウイはこの家から地元の学校に通い、現在の Ravens Wood School の前身である Bromley Technical High School で美術教育を受けた。放課後はサックス演奏に打ち込み、リズム・アンド・ブルースのバンド活動も経験する等、音楽とアートの両輪で自己を模索した。

さらに、ここで後に代表作となる「Space Oddity」の構想を練った可能性が指摘される等、創造の出発点として特別な意味を持つ家でもあった。

公開に向けた修復と活用計画

現在、家は文化遺産保全団体の主導で修復中だ。1960年代当時の内装や間取りをできる限り再現し、特にボウイが使用した寝室は展示の中心として整備される予定である。一般公開は来年後半を目標としており、内部見学のほか、若い世代を対象としたワークショップやクリエイティブ教育プログラムも計画されている。

また、これまで公開されていない貴重な資料や当時の生活感を伝えるアーカイブも展示される予定だ。ボウイが書き込んだ音楽書籍や家族の所有していたレコード、当時のファッション雑誌等も並ぶ。単なる住宅の再現にとどまらず、1960年代の文化的背景を体感できる仕掛けが整えられる。

 

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Photo courtesy of David Bowie Estate

次世代の創造性を育む場として再生されるこの家。ボウイのかつての生活空間が、若い表現者たちの創作活動にどのような影響を与えるのか、今後の動向が注目される。

 

外観2   David Bowie House Exterior Image 4.jpgPhoto courtesy of Heritage of London Trust

https://www.davidbowie.com