【宙に浮く茅葺き屋根】伝統家屋を現代的に再解釈、ウクライナのゲストハウス群が幻想的

  • 文:Rikako Takahashi
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ウクライナ

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Photo: Vinicios Barros, Courtesy of nosotros

雪原に点在するのは、茅葺き屋根の建物。日本人として一見馴染みのある景色だが、よく見ると軒下全面が窓ガラスになっている。ゆるりとした曲線、カーテン越しに、中の暖かい光が漏れ出ている。ここは、未来の白川郷か、はたまた五箇山か。

実はこれ、ウクライナ中部の私有地に建設されたゲストハウス群。キエフのデザインスタジオYOD Groupが手がけた。

伝統家屋を現代的に再解釈

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とんがり帽子のような屋根を持つ家屋。Courtesy by YOD Group

YOD Groupは、ウクライナ農村部の伝統家屋「ハタ・マザンカ」を現代的に再解釈した。ウクライナ語で「ハタ」は「家」、「マザンカ」は「塗られたもの」という意味がある。茅葺き屋根は、主に小麦の藁(わら)でできており、壁は木枠を藁や葦(あし)を混ぜた粘土を埋めて作られる。仕上げに石灰で、外壁を白く塗るのが伝統だ。

一方、ゲストハウスはガラスの透明性をもって光を追求した。「日中、全面ガラス張りのファサードは視覚的に溶け込み、巨大な茅葺き屋根が風景の上に浮かんでいるような印象を生み出す」とYOD Groupは説明する。

内装も魅力的

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インテリアもウクライナのインテリアブランドを使用。Courtesy by YOD Group

各ゲストハウスの面積は、約50平米。浴室のある中央のコンクリート区画を中心に、片側は寝室、反対側はリビングエリアとなっている。寝室では、松明のような特注のフロアランプが存在感を放つ。リビングにはウクライナの伝統的なストーブを彷彿とさせるミニマルな暖炉がある。素材の異なるぽってりとした丸いソファーは、ウクライナ初のインテリアブランド、noom(ヌーム)製。テレビはあえて設置していない。

ほかに特徴的なのは、“石のカーペット”。床一面に小石が敷き詰められている。素足で歩くと心地よく、歩くたびに足裏マッサージのような優しい感覚をもたらすそう。小石は窓の外まで続いており、明るい昼間はまるで外にいるかのように景色に没入できる。夜は暖炉の炎がガラスに反射し、守られているような、安心できる雰囲気を生み出す。

テロワール・デザイン

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天井や石のカーペットなど、テロワール・デザインを意識した設計だ。Courtesy by YOD Group

YOD Groupの共同オーナー兼マネージングパートナー、ウォロディミル・ネピウォダ氏は、ゲストハウスの発表に際して次のようなコメントを残している。

「私たちの設計は『テロワール・デザイン』(その土地の文化や歴史、自然環境の特徴をデザインに昇華させる概念)という哲学に基づいています。これは、単に地元の素材や馴染みのある形態を取り入れるだけにとどまりません。土地の本質を掘り起こし、その文化的意味を解き明かす行為なのです」

Rikako Takahashi

編集者/翻訳者/ライター

東京在住。大学院で翻訳論を研究後、メディア会社に勤務。フリーランス活動で複数の媒体に寄稿中。海外ニュース&エンタメ、カルチャー記事など広く担当。好きなものは旅、猫、夜。

Rikako Takahashi

編集者/翻訳者/ライター

東京在住。大学院で翻訳論を研究後、メディア会社に勤務。フリーランス活動で複数の媒体に寄稿中。海外ニュース&エンタメ、カルチャー記事など広く担当。好きなものは旅、猫、夜。