【『いくつもの鋭い破片』上・下】『アメリカン・サイコ』著者による、 原点回帰のダークな青春小説

  • 文:瀧 晴巳(フリーライター)
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【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『いくつもの鋭い破片』上・下

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ブレット・イーストン・エリス  著  品川 亮 訳 文藝春秋 各¥3,630

1985年『レス・ザン・ゼロ』で作家デビュー。シリアルキラーの顔を持つウォール街のエリートを描いた『アメリカン・サイコ』といい、アメリカ上流階級の人々の退廃的な心象を描いてきた著者が原点回帰。13年ぶりの新作は、『レス・ザン・ゼロ』を書き始めた当時を回想するという疑似私小説だ。セレブな大学生活を謳歌していたブレッドは、美しく謎めいた転校生のロバートに強く惹かれていく。周囲から求められる自分と本当の自分とが乖離していく恐怖と、連続殺人事件の影を重ね合わせたダークな青春小説。