スキーとは単なる滑走技術を向上させるだけではない。自然と対峙し、どのような姿勢で競技と環境、そして自分自身に向き合うべきなのか。
2026年4月、長野県・白馬五竜でゴールドウインによるレーシングキャンプ「Goldwin Camp in Hakuba」が開催。ジュニアからマスターズまで総勢107人が参加し、現役トップアスリートやコーチによる指導が行われた。これは次世代スキーヤーを育成するプロジェクトであると同時に、自身の成長につながるひとつのヒントを示すプログラムだった。
トップ選手と滑走する実戦トレーニング
キャンプでは、翌日に開催される大会「エイブル白馬五竜 Goldwin ジュニアカップ」と同じコースを使ったトレーニングを実施。本番を想定してゲートを設置し、実践形式の練習を繰り返した。アルペンレーサーの加藤聖五選手も同コースを滑走し、参加者はトップレベルのライン取りやスピード感を間近で体験。映像では得られない感覚的な理解を深めていく。
さらに、小山陽平選手など日本トップクラスの講師陣が、参加者の滑りを個別分析。基礎から応用まで、それぞれの課題と向き合った具体的なフィードバックが行われた。参加者からは「短期間で上達を実感できた」といった声や、保護者やコーチ陣からも「大会コースで事前に練習できる機会は貴重」といった評価が寄せられた。
技術と並行して行われる“考える時間”
本キャンプではトレーニングと並行して、トークセッションとワークショップも実施された。
渡部暁斗選手や堀島行真選手が、「結果の先にどのような人間でありたいか」というテーマのもと、自身の競技経験や、そこで培われてきた価値観を共有した。
渡部選手は海外活動を通して、地球温暖化による雪不足を目の当たりにしてきた。現在では「脱炭素」を意識し、カーボンニュートラルな活動に取り組んでいることを説明する。また堀島選手は、目標達成に向けた計画性と継続の重要性を強調し、「次世代の指標となる存在を目指す」と誓った。
その後、行われたワークショップは「スキーで得た経験と未来のつながり」がテーマ。選手も参加者たちに混じって膝を突き合わせ、それぞれの考えを言葉にしていく。国際的な舞台での活躍を目標に掲げる参加者が多くいた一方で、競技の普及、スノースポーツの発展など、選手としてだけではないキャリアの可能性についても触れられた。
このプログラムではスキーという競技という枠を超えて、取り巻く環境、成長のための姿勢そのものに目を向けるきっかけとなった。
競技の外側にある視点まで共有する
「Goldwin Camp」は、技術、思考、社会性という要素を同時に扱う。スキー技術を高めるだけでなく、競技への向き合い方や、その先にある社会との関係まで見据えているのだ。
若年層の挑戦に対する支援は、優れた選手を育てることだけではない。どのような視点を持った人材を送り出すのか。本プログラムは、その問いに対するひとつの実践である。