【ガウディ生誕の地】レウス周辺を訪ねて“原風景”を歩く

  • 写真:吉川 愛 
  • 文:佐藤季代
  • 監修:山村 健
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バルセロナからクルマで約2時間、南西に下った場所に、ガウディが少年時代を過ごした街、レウスとリウドムスがある。本記事では、Pen最新号『ガウディとサグラダ・ファミリア』から、異才を育んだ街、レウス周辺の原風景について、一部抜粋して紹介する。

アントニ・ガウディが没後100年を迎える2026年、サグラダ・ファミリア教会のメインタワーがついに完成した。ガウディが残したメッセージを紐解くことが、大きな転換期を生きる我々にとって、未来への道標になるはずだ。

『ガウディとサグラダ・ファミリア』
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ルーツは〝職人の血〟に

サンペレ教会から見える街並み
レウスで最も高いサン・ペレ教会の鐘塔からは山々に抱かれた街が一望できる。

バルセロナからクルマでバルセロナから南西へ約110㎞。タラゴナ県レウス市は、1852年にガウディが生を受けた地である。19世紀当時は繊維産業で発展を遂げ、カタルーニャ第二の都市として栄えていた。生家とされる母方の家、そして数キロ離れたリウドムスにある父方の家と別荘を行き来しながら、ガウディは16歳で上京するまでの多感な時期をここで過ごした。

両親ともに代々続く銅板職人の家系で、ルーツは〝職人の血〟にある。幼い頃からリウマチを患い学校を休みがちだった少年は、父が工房で作業する姿を間近に見て育った。銅板から三次元の立体を生む職人技は、ものづくりへの情熱を育み、建築家の素養をかたちづくったに違いない。

また療養生活のなかで、樹木や草花、波打ち際の貝殻など自然観察にも没頭した。「自然がつくり上げたものこそが美しい」と語ったように、有機的な造形に潜む構造や幾何学への気づきは、やがて創作の礎となり、数々の傑作へと結実していった。

街には生家や洗礼を受けたサン・ペレ教会などゆかりの場所が残り、ガウディ・センターも開設されている。本人による建築作品は実現しなかったものの、モデルニスモ建築が残る街並みには、彼が見た風景の面影が息づく。異才を育んだ街を、原風景とともにたどってみよう。

アントニ・ガウディの生家

ハウディの生家
路地裏に立つガウディの生家。入り口にはそれを示すプレートが掲げられている。

ひっそりとしたサン・ビセンス通りの路地裏に残る生家。1852年、レウス出身の母アントニアの実家で生まれたとされ、玄関扉の横にはそれを示す大きな銅板プレートが掲げられている。一方、レウスから数キロ離れたリウドムスの父方の家を生家とする説もあり、いまも定説は分かれている。残念ながら私有地のため内部は非公開だが、建物自体は当時のものだ。近くの通りにはガウディの子ども時代を模したモニュメントも設置され、街に残る記憶をいまに伝えている。 

幼少期のガウディ
 レウスの生家の近くには、幼少期のガウディがベンチに座り、ビー玉で遊ぶ姿をかたどった像がある。

住所:Carrer de Sant Vicenç, 4 Reus, Tarragona
常時公開(中は見学不可) 無料 
www.reusturisme.cat

サン・ペレ教会

サンペレ教会尖塔アーチやリブ・ヴォールトなど、典型的なゴシック建築の特徴が随所に見られる。 

街の中心地、メルカダル広場のすぐそばに立つ、1512年竣工のゴシック建築の教会。ステンドグラスが美しい。ガウディは生まれた翌日にここで洗礼を受け、敬虔な信者だった父に連れられて幼い頃から足しげく通った。重厚なゴシック建築での空間体験は、建築家としての素養やキリスト教的精神の形成にも少なからず影響を与えたに違いない。高くそびえる鐘塔からはレウスの街を一望でき、少年ガウディもここから地中海へと続く風景を眺めていたことだろう。

螺旋階段
鐘塔へ続くアンモナイトのような螺旋階段は、サグラダ・ファミリア教会の設計にも影響を与えたかもしれない。幼いガウディはよくここで遊んでいたそうだ。

住所:Plaça Sant Pere, Reus, Tarragona
開館日:常時公開
料金:無料
※塔の内部を見学したい場合は、ガウディ・センターで要予約

ガウディ・センター

サグラダファミリアの巨大模型
サグラダ・ファミリア教会の身廊部を再現した巨大模型では、複雑な樹木式構造がひと目で理解できる。

2007年にメルカダル広場に開館した体験型博物館。ガウディとレウスの関係、そして代表的な作品群に焦点を当てた展示が並ぶ。とりわけ建築作品については、動く模型や映像を通して複雑な理論や造形原理を体験的に紹介しており、ガウディの思考プロセスに踏み込むことができる。サグラダ・ファミリア教会の巨大な構造模型やガウディのアトリエを再現した展示も見どころだ。1階にはツーリスト・インフォメーションも併設され、レウスの街歩きの起点としても便利である。 

ガウディの日記
若き日のガウディがつづった日記のレプリカ(原本はレウス市博物館蔵)。

住所:Plaça del Mercadal, 3, Reus, Tarragona
開館日:平日(1/1〜5/31、および10/1〜12/31):10時〜14時、16時〜19時 平日(6/1〜9/30):10時〜20時 日曜日・祝日(通年):10時〜14時
休館日:1/1、6、12/25、26
料金:一般11ユーロ
www.reusturisme.cat/ciutat-de-gaudi/gaudi-centre

アントニ・ガウディの父方の家

ガウディの父の工房
館内には銅細工職人だった父の工房が再現され、実際に父が手掛けた貴重な銅釜も展示されている。

レウスから西へ数キロ離れた、リウドムスにある父方の家。ここをガウディの生家とする説も残っている。簡素な長屋の建物には、父の工房と住居、使用人部屋が配され、ガウディはここで幼少期を過ごしたとされる。現在は大規模な修復を経て博物館として一般公開されており、ガイドツアー形式で見学が可能だ。当時の暮らしの様子をいまに伝える館内には、ガウディにまつわる模型や映像展示が並ぶほか、彼の原風景ともいえる空間そのものを体感できる点が魅力となっている。

ガウウディの父型の家
路地に面した小さな長屋は、当時としても質素なつくりだった。

住所:Raval de Sant Francesc, 14, Riudoms, Tarragona
会場時間:7月、8月は毎週日曜のみ11時〜と12時〜の定期見学ツアーあり
休館日:無休 
料金:一般5ユーロ(9月〜6月は1グループ20名まで30ユーロ〜) 
www.riudoms.cat/visita-guiada-la-casa-pairal-dantoni-gaudi

771c53528d393eb1bac2fa4ac7b5c66814bb3080.jpg『ガウディとサグラダ・ファミリア』
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