ガウディの手掛けた建築は、いつの時代もクリエイターの創造力を刺激してやまない。その魅力に出合った3人が、それぞれの立場から奥深い側面について語ってくれた。本記事では、Pen最新号『ガウディとサグラダ・ファミリア』から、彫刻家の名和晃平が魅了されたウディの人間中心ではない、“自然や生命を相対的に捉える視線”について、一部抜粋して紹介する。
アントニ・ガウディが没後100年を迎える2026年、サグラダ・ファミリア教会のメインタワーがついに完成した。ガウディが残したメッセージを紐解くことが、大きな転換期を生きる我々にとって、未来への道標になるはずだ。
『ガウディとサグラダ・ファミリア』
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生命を相対的に捉える、脱人間中心主義の建築
素材の持つ特性と最先端技術を掛け合わせ、彫刻の新たな地平を切り拓く名和晃平。ガウディ建築との出合いは大学院在学中、ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートに交換留学したときだ。
「1998年の夏、ガウディと同時期に活躍したシュタイナーの建築や教会、宗教美術を巡りました。サグラダ・ファミリア教会では色彩の考え方、宗教的なシンボリズムとの連動性が神秘学や哲学と関わっていると感じました。ガウディとシュタイナーはともにゲーテから影響を受けており、思想と造形表現が密接に結びついている点も興味深いです」
サグラダ・ファミリア教会を訪れた際は大学のOB、外尾悦郎に連絡を取り、建築現場を見学した。
「外尾さんは当時、主任彫刻家として300人の石工を束ねていました。建築と彫刻が分かち難いものだと感じたし、コンピューターも構造計算用のシミュレーターもない時代、ガウディの自然に対する洞察力と造形に置き換える力はずば抜けていたと思う」
現在進行中のサグラダ・ファミリア教会は、建築史・彫刻史の観点からも特異な存在だと言う。
「ガウディは懸垂曲線や放物線を逆転させてアーチにする逆さ吊り実験のように、フィジカルな体験から建築を生み出した。身体的実験を伴う建築は彫刻的な魅力があります」
名和は彫刻作品『Throne』を制作中、サグラダ・ファミリア教会の生誕のファサードを思い浮かべた。
「特定のアイコンを入れず宗教的造形をいかにつくるかを考えていました。サグラダ・ファミリア教会にも、キリスト教という宗教を超えた大きな世界を感じました」
教会の内部空間には独特のエネルギーがあると名和は続ける。
「聖堂内に入ると、自分が小さな虫になって植物を見上げているような感覚になる。人間中心ではなく、自然や生命を相対的に捉える視線を感じます」

名和晃平●彫刻家。1975年大阪生まれ。2003年京都市立芸術大学大学院美術研究科博士課程彫刻専攻修了。09年クリエイティブ・プラットフォーム「Sand wich」を京都に立ち上げ、国内外で活動を続ける。6/6までLAのペース・ギャラリーにて個展を開催中。
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