【ねじれたビル】まるで“ひねり揚げ”「今にも崩れ落ちそう…!」と錯覚する“最先端”40階建てタワマン

  • 文:山川真智子
Share:

サンフランシスコ

MIRA_LookingUp_(c)TomHarris_CourtesyStudioGang.jpg
MIRA_LookingUp_(c)TomHarris_CourtesyStudioGang

サンフランシスコの中心部に、ぎょっと驚くようなデザインの高層ビルがある。各階がずらして配置されており、見上げるとビル全体がねじれたように見える。菓子の“ひねり揚げ”を彷彿とさせるが、実は最先端技術を取り入れながら、サンフランシスコの建築的伝統を受け継いだ画期的高層住宅だ。

今にも崩れ落ちそう!ねじれたファサード

MIRAと名付けられたこのビルは、2020年に完成した高さ約120 メートルの高層集合住宅。発展を続けるこの地域の高密度住宅へのニーズの高まりを受け、都市型住宅開発プロジェクトとして建設された。ベイブリッジからわずか数ブロックという好立地にあり、眺めは抜群。新しいコミュニティを創出すると同時に、多様な住戸を提供している。

見る人を驚かせるのは、上に向かうとともに徐々にねじれていく不思議なファサードだ。下から見上げるとさらにずれが広がって行くようにも見え、40 階建てで数百世帯を収容するこのビルが、果たして居住に適するのかと不安になるほどだ。

MIRA_LookingUp_(c)JasonORear_CourtesyStudioGang.jpg
MIRA_LookingUp_(c)JasonORear_CourtesyStudioGang

サンフランシスコの伝統 ベイウィンドウを再解釈

外観は奇抜で型破りな印象だが、MIRAはベイエリアの初期の住宅の特徴を高層建築の文脈で再構築した建物でもある。サンフランシスコの住宅と言えば、ビクトリアン様式と言われるクラシカルなデザインで、外壁から外に突き出した出窓のあるものが有名だ。

これはサンフランシスコ湾の景色を楽しむため、またより多くの光を室内に取り入れるための工夫だったという。「ベイウィンドウ」と呼ばれるこの出窓は、サンフランシスコの街並みの美しさを象徴するものとして、今なお市民や観光客に愛されている。

MIRAはこのサンフランシスコの建築的伝統を取り入れ、現代風に再解釈したベイウィンドウを採用。ねじれながら上に伸びるファサードに独特の形状と質感を与えると同時に、内部に広々とした眺望、一日中差し込む自然光、そして新鮮な空気をもたらすことに成功している。

居住空間を拡張し、あらゆる角度から街を眺めることができるプラットフォームを提供することで、ベイウィンドウはすべての住戸を角部屋のような空間に変えている。

MIRA_Facade Construction_(c) Jason O'Rear_Courtesy Studio Gang.jpg
MIRA_Facade Construction_(c) Jason O'Rear_Courtesy Studio Gang

---fadeinPager---

環境に配慮 国際認証を取得

MIRAは省エネ住宅としても知られており、カリフォルニア州が定める必須の建築基準、「タイトル24」のエネルギー基準を上回る性能を実現している。さらに最先端の排水再利用システム、屋上緑化、高効率水回り機器などを採用しており、LEED(人や環境について考慮した建物を評価する国際認証制度)でゴールド認証を取得済だ。

デザインを担当したのは、シカゴに本社を置く建築・都市デザイン事務所のスタジオ・ギャング。創設パートナーのジーン・ギャングは、欧米を中心にコミュニティを育む高層タワーを手掛けており、そのデザインに対する強い好奇心と未来志向のアプローチで高い評価を受けている。

MIRA_Context_FromEmbarcadero_(c)JasonORear_CourtesyStudioGang.jpg
MIRA_Context_FromEmbarcadero_(c)JasonORear_CourtesyStudioGang
MIRA_Model Unit_Living Bay_(c) Garrett Rowland_Courtesy Studio Gang.jpg
MIRA_Model Unit_Living Bay_(c) Garrett Rowland_Courtesy Studio Gang

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。