ビームスジャパンの鈴木修司です。今月の旅先は広島県ですが、有名どころの広島市内や宮島ではなく、まだまだ魅力を知られていない瀬戸内海に面した街々です。用務の大半は広島市内だったのですが、せっかくの機会と考えて、そこから瀬戸内海に沿って西へと向かいます。行程としては、竹原、尾道、そして福山へ。
歴史を感じる美しい街並みの「竹原」
まず、初めて訪れた「竹原」ですが、想像していた以上に素晴らしい街並み、予想外の出会いもあったりと、来た甲斐がありました。到着が夕方だったので、目当ての散策は明日にするとして、まずは夜の街をブラブラと歩きます。よさげな居酒屋でもあれば入ろうかなと軽い気持ちでいたのですが、運よく「道草」というお店を見つけたのでした。名前からして好みのタイプですが、出合ってしまったら“道草”しない訳にはいきません。
私たち以外は馴染みのお客ばかり、店内では広島カープの野球中継が流れ、もちろん地元球団への話は尽きることなく、世界的なニュースから近所の井戸端会議的な話まで、どっぷりと竹原に浸ることができました。隣に座られた二人連れの老紳士、カウンター越しにお店の方とも話しが弾み、竹原の歴史や文化、そして地酒のことまで、いろいろと教えていただけました。ちなみに竹原周辺には、いまだ3軒の酒蔵があり、それぞれが個性のある良酒をつくられているとのことで、漏れなく各蔵のお酒をいただいたのは言うまでもなくです。
話は逸れるのですが、持論として「その土地を識るなら、居酒屋に行け」。居酒屋に行けば、郷土料理や地酒をいただけるのはもちろん、その食材から地元の農林、畜産、水産などの産業を知ることができる。常連や店の方々の言葉や対応から気質も、はたまた古いお店であれば立地や建物から歴史や文化まで、どこに行くよりもその土地の情報や魅力を知ることができるのです。居酒屋さんは偉大です。そして、年間の三分の一を旅に費やす私ですが、その際の夕食はもっぱら居酒屋でいただくので、勝手に我が家のように思っています。
だいぶ話が逸れてしまいましたが、翌朝には「たけはら街並み保存地区」と呼ばれる古い街並みを散策です。こちらの連載でも何度か触れている「北前船」の寄港地のひとつであり、かつては製塩で栄えた瀬戸内海随一の街で、十分に往時の繁栄を感じられる場所でした。山の裾野にあるお寺まで登ってみれば、街並みと瀬戸内海を一望でき、なんとも美しい景色に感動です。
そして、昼食にいただいた「たけはら焼」と呼ばれるお好み焼きが最高でした。具材にうどん、そばを選べたり、広島の鉄板焼のレベルの高さも実感でき、これを食べるだけでも竹原へ! と思うぐらいの逸品です。
映画の街として知られる「尾道」
だいぶ竹原の話が長くなってしまいまいたが、次に向かったのは「尾道」です。言わずと知れた映画の街ですが、ここは何度訪れても溜息の出るほどに落ち着くよい場所です。
対岸に見える島々や造船所を眺めながらの散歩、小津安二郎監督の名作『晩春』を感じさせる好天も相まって、気分も上々です。そんな中で調子よくいただいたアイスクリームが最高でした。尾道の街中には甘味処も多いので、散歩のお供にオススメです。
途中下車すべき「福山」と名居酒屋
尾道の次に向かったのは「福山」。新幹線の駅があるので、たいていの方は通り過ぎていると思うのですが、いつかは途中下車をオススメいたします。新幹線のホームから目の前にお城を眺められる福山駅は貴重ですが、福山の魅力はそれだけではありません。たまたま桜の満開と重なったのですが、ぜひとも駅から降りて、目の前のお城を歩いていただきたいです。
そして、お城とは反対側の商店街にも足を延ばしてみてください。こちら側には魅惑的な飲食店がひしめき合っています。海山の幸に恵まれ、地酒が豊富なこの地方ですし、最後まで堪能させていただきます。
この日に伺ったのが、まさに名居酒屋の「自由軒」。私が説明するまでもない有名店ですが、細長いカウンター席に地元客が肩を寄せ合って座り、この上ないグルーブ感をつくり、なによりもメニューが豊富でどれも美味いときています。隣の常連客のお姉様に薦められるがままに、名物の「ロールキャベツ」などをいただき、またまた最高の夜を味わうこととなりました。
居酒屋という場所がそうさせるのか、前にも増して地元の方から声を掛けられることが多く、貴重な情報を得たり、なにより楽しい時間を過ごさせていただいてます。やはり、「居酒屋は偉大です」ね。

BEAMS JAPAN クリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。
1976年、三重県松阪市生まれ、ビームスと同い年です。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトに関わる仕事をしています。肩書きは“BEAMS JAPAN”のクリエイティブディレクター、日本に関係することあれば比較的なんでも来いのスタンスです。大学などで講師を務めることも。『銘品のススメ』著者、『都道府県おでかけ図鑑』監修。