【妻夫木聡と訪ねる台南】クリエイターが集うカフェ、滋味あふれる中薬料理……、この夏訪れたい台南

  • 写真:ジミー・ヤン
  • 文・コーディネート:近藤弥生子
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台湾の奇美博物館を訪れる妻夫木 聡さん。子どもからシニアまでが楽しめる、開かれた博物館を目指している。 

夏を迎える台湾がいま、熱い――。2年連続で台湾観光アンバサダーを務める妻夫木聡さんは、10回以上現地を訪れている台湾通。妻夫木さんが訪れた場所を中心に、ロハス、カルチャー、グルメ、ショッピングの4テーマで台南の魅力をお届けする。

温故知新のカルチャーに触れる

「台湾の始まりの地」と呼ばれる台南。台湾原住民のシラヤ族が安平エリアの海岸を「TAYOUAN」と呼んでいたことが「台湾」の名の起源だったり、オランダ統治時代の1624年から清の時代まで約260年間、首府が台南に置かれていたことなどに由来する。

妻夫木さんが「効率が重視される時代にあっても、台南は時間を忘れる豊かさを教えてくれます」と語るように、最高学府の先駆けである台南孔子廟のほか、歴史ある寺廟の多くが現存する。歴史的建築物を修復・保存して文化的な公共空間として再生させた場所では、歴史を再解釈したアートやイベントの取り組みも盛んだ。

妻夫木 聡さん●妻夫木 聡(Satoshi Tsumabuki)俳優 1980年生まれ。ドラマ『すばらしい日々』(98)でデビューし映画『ウォーターボーイズ』(2001)などで注目を集める。映画『人はなぜラブレターを書くのか』が全国で公開中。24年から台湾観光アンバサダーに。

台南は路地裏が楽しいことと美食の街としても有名。2023年にはシェアサイクル、YouBikeが導入されて街巡りがより快適になった。台湾鉄道台南駅の大規模リニューアルも完成が待たれる。台南の魅力が満載だ。

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台湾最大規模の私立博物館で、人類の遺産に触れる

02_DSC00955.jpg 彫刻アベニューでは、古代ローマ時代から20世紀までの彫刻作品が展示されている。

台南の地元企業・奇美グループの創設者、故・許文龍によって1992年に創設された私立の総合博物館。

展示は、生命の進化の過程を学ぶ「動物ホール」、数千年来の武器の変遷を展示し、人類がとるべき最良の道と武器を必要としない未来をともに考える「兵器ホール」、13〜20世紀の西洋芸術を紹介する「芸術ホール」、世界的名器のヴァイオリンをコレクションする「楽器ホール」の4つに大分される。

「これほど収蔵品が凝縮された博物館を訪れたのは初めてです。世界各地から集められた武器や鎧などのコレクションは、漫画の中でしか見られないようなものばかり。芝居の勉強にもなり、実りある時間を過ごせました」と感銘を受けた妻夫木さん。じっくり時間をかけて堪能したい。

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敷地面積は10ヘクタール近いスケールを誇る。2015年に建てられた新館は台湾高速鉄道の台南駅からクルマで15分ほど。収蔵品は財団が管理し、建物は台南市政府に寄贈された。

奇美博物館 チーメイボーウーグァン
【ロハス】【カルチャー】
住所:台南市仁德區文華路二段66號 
電話:06-266-0808  営業時間: 9時30分〜17時30分 
休業日:水(臨時休館日あり) 一般200元

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クリエイターが営む、文化基地的カフェ

台南の市街地から少し離れた住宅地に佇むのは、展示や物販スペースを備えたカフェ。2017年に台南の別の場所でオープンし、コロナ禍を機に現在の場所に移転。いまでは台南の文化基地のような存在だ。

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映画のポスターやカラフルな雑貨など、オーナーの趣味が垣間見える空間。

 オーナーは映画を中心に活躍するスタイリストの陸正璇と、インスタレーションアーティストの黃韶瑩。

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店主の黃韶瑩(左)と陸正璇(右)。 

 ハンドドリップコーヒーからソーダ類、クラフトビールまで常時30種ほどのドリンクと、見た目も美しい自家製デザート、サンドイッチなどの軽食を提供している。

2階で行う展示のキュレーションは黃が担当。台北のアート系独立書店「朋丁(ポンディン)」での勤務経験を活かした、オリジナリティの高い構成となっている。新たなインスピレーションを求めて、旅の途中に訪ねたくなる場所だ。

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奥から時計回りに、バニラアイスを浮かべたオーツミルクティー、エスプレッソにグリーンレモンのシロップと胡椒を合わせた自家製レモンコーヒー、ティラミス味のプロフィットロール、フランス産ココアを使った自家製シフォンケーキ。
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2階の展示スペース。写真はアジアのイラストレーターを特集したZINEのポップアップ。

二子 ertz アーズ
【グルメ】【カルチャー】
住所:台南市東區城東街66號 電話:06-221-6863
営業時間:11時〜18時(月〜木) 
9時〜18時(金、土、日) 
不定休 

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“薬食同源”の知恵が詰まった中薬料理

1961年、中国の広東省から移住した祖父が台南で中医クリニックと中薬薬局を開業した場所で、六代目の周建文が2016年に始めた中薬料理の食堂。

中薬とは台湾版の漢方薬のこと。服用には生薬を長時間煮出すなど手間がかかる上、高価な薬剤は健康保険も適用されないため、手軽で即効性のある西洋の薬の台頭によって衰退していたという。

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手前右が滋養強壮のためのスープ「十全大補雞」。台南名物の關廟麵線、体内の巡りをよくする台湾産の菊の花のハーブティー、ドライ龍眼と白キクラゲの養生デザートを合わせた。セットで330元。

 家業を継ぐにあたって周が思いついたのが、美食の街・台南にちなんで食と中薬の概念を掛け合わせることだった。周の家族は昔から「体内に熱が溜まったら、青草茶や菊花茶を飲む」など、中薬で養生する習慣があり、メニューにはそうした知恵をふんだんに取り入れている。生薬を使ったドリンクを飲みに立ち寄る人も多く、初心者にも優しい店だ。

09_R5II1272.jpg周建文は中薬薬剤師。薬を調合してもらうことも可能だ。

市場では蒸し物としてお馴染みの菱角(リンジャオ)をフライにしたり、台南のローカルスープをアレンジしたり、台湾産カラスミとクリームチーズを筍クラッカーに添えるなど、どれも酒のアテにぴったり。心地よい音楽に包まれながら昼呑みできるとあって、感度のいいローカルや外国人の間で人気急上昇だ。アペロはもちろん、2軒目にも立ち寄りたいアドレス。店内ではワイン各種、酒、食材も販売している。 

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患者から寄贈された看板が飾られている。

博仁堂 ボーレンタン
【グルメ】【ロハス】
住所:台南市中西區西門路二段300巷27號 電話:06-222-6473
営業時間:12時〜20時30分(L.O.19時30分) 無休

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台南名物の小吃、台湾おこわの名店へ

台南の中正路一帯、繁華街エリアにある康樂市場は、日本統治時代から“人が集まる賑やかな場所”として「さかりば(沙卡里巴)」と呼ばれ、かつては多くの商店や小吃店がひしめき合っていた。小吃店は現在数軒が残るだけだが、1936年創業で三代続く台湾おこわ「米糕(ミーガオ)」の名店はいまも健在だ。

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手前から時計回りに:米糕(小)60元、アヒルの煮卵1個15元、豚肉、カジキ、豚肉&野菜の3種のつみれのスープ30元。テイクアウトは紙パックのほか伝統的な竹の葉に包むスタイルでも提供している。

この店では台湾産のもち米の上に雲林産の蒸しピーナッツ、豚肉と白身魚のそぼろ、しいたけ、大根の漬物をのせて提供する。豚肉は長時間煮込んでも崩れない歯応えのいい豚トロを使い、古くからの醤油の産地・西螺(シールオ)でつくられた「丸荘醤油」のまろやかな醤油で味付けしている。魚そぼろは旨味が豊富なエソをていねいに処理して調理するなど、食材に対するこだわりが人気の秘訣だ。

11_R5II2159(修).jpg台南が誇る名店。国宴の料理として2度も選ばれた。 
13_R5II2108.jpg豚肉を煮込んだ甘塩っぱいつゆが味の決め手。
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「さかりば」と呼ばれる康樂市場の入り口。

榮盛點心 ロンシェンディエンシン
【グルメ】
住所:台南市中西區中正路康樂市場106號(康樂市場内) 
電話:06-220-9545
営業時間10時30分〜16時(売り切れ次第閉店) 無休 

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MVRDVが手掛けた、緑と水のオアシス

地下2階から地上4階の敷地にアイススケート場、映画館、レストランを擁する台南のランドマーク的存在だった商業施設「台南中国城」の私有地を台南市政府が買い取り、2020年、親水公園「河楽広場」として生まれ変わらせ大きな話題となった。

15_R5II2212.jpg東西に長く伸びた公園。写真の正面奥は元の躯体を活かして半屋内になっている。休日にはイベントが開催され、賑わう。

 設計を手掛けたのは、オランダを拠点とする建築家集団MVRDVと台湾の建築家だ。

台南らしく運河の要素を取り入れるため、地下駐車場だった空間を活用し、地面を掘り下げた「沈床式」公園へと再生させた。6年が経ち、広場の緑も大きく成長。都会のオアシスとしての深みが増したいまでは、徒歩圏内の繁華街や路地裏散策とあわせて台南観光の王道コースとなっている。夏場の暑さからエスケープできる最高のクールダウンスポットだ。

16_R5II2267.jpgカフェやショップが入居し、夜はライトアップの演出も。
17_R5II2231.jpg 解体された台南中国城の建材の一部などを展示。床には透明パネルが貼られ、床下の構造が見えるようになっている。

河楽広場 ハーラーグアンチャン
【ロハス】【カルチャー】
住所:台南市中西區中正路343-20號 
開業時間:9時〜22時 休業日:火

いくたび・ふたたび台湾

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歴史的建造物が、新たな文化複合空間に

清の時代から日本統治時代、戦後を経ていまに残る歴史的建造物が、文化的な複合空間としてオープンした。格式高い三棟構造の邸宅建築「三落古厝(サンルオグーツォ)」スタイルで、のべ300坪ほどの広さがある。左右の棟には今後カフェやレストランなどが入居し、メイン棟は文化的な展示に利用される予定だ。

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 日本統治時代に流行したバロック風のレリーフ、幾何学的なアールデコの要素が見られるファサードに注目。

 もとは清の時代の名高い武官の邸宅で、次の買い手が1926年頃から10年ほどかけて土地を買い足しながら改修工事を進めた。

最近になってこの地を入手した台南の実業家がリノベーションを実施し、現在の姿になったという。時代を超えて受け継がれたため、バロックやアールデコなど各時代に流行した要素が混じり合い、独特の建築が生まれた。建築から台南の歴史を感じることのできる新名所だ。

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木材の温かみを活かした天井。隙間から光が差し込むモダンなデザインは今回のリノベーションのポイント。  
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ディレクターの王甫山。 

台南硓𥑮石・芳宅 タイナンラオグースー・ ファンザイ
【ロハス】【カルチャー】
住所:台南市中西區信義街46巷15號
※一般開放日はオフィシャルFacebookで事前告知

台湾観光庁 https://go-taiwan.net/ikutabi

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※記事中表記について
・1元(ニュー台湾ドル)=約5円(2026年5月現在)
・日本から台湾への電話は地域番号「886」の後、市街局番最初の「0」は省略してかけます。 
・掲載した店舗の営業時間、休業日、各種料金やサービス内容は予告なしに変わることがあります。
・台南では、クレジットカードを利用できない店舗、施設、タクシーが多いので事前の確認をお薦めします。
・台湾では「先住民」という言葉が「すでに滅びた」というニュアンスで使われるため、「元来その地域で暮らしてきた」という意味で「原住民族」と呼ぶことを政府が定めています。ここでは「台湾原住民」と記載します。台湾には、政府が認めただけでも16の台湾原住民が暮らしています。