「ゴアテックス」という素材をご存知だろうか。防水性と透湿性という相反する機能を高次元で両立し、防風性まで備えたアウトドア素材の代名詞だ。その性能を最大限に引き出し、世界のユーザーから支持を集めているのがアークテリクス。本稿では、同ブランドを象徴するシェルジャケットの魅力に迫る。
「大人の名品図鑑」ゴアテックス:アークテリクス編 Podcast
普遍の名品を、その歴史や周辺のカルチャーとともに徹底解説していく『大人の名品図鑑』の音声版。ここでは、動画や記事で紹介できなかったエピソードを中心にトークを展開する。案内人を務めるのは、編集者の小暮昌弘とスタイリストの井藤成一。毎月上旬に公開。
「ハードシェルジャケット」が、ファッションの定番になった理由
アウトドアウエアを日常的に着こなすことが日本でも流行しているが、この傾向は世界的には「ゴープコア」、あるいは「テック系ファッション」と呼ばれ、ここ数年のファッションシーンで大きなムーブメントになっている。
その中心的なアイテムと言えるのが、「ハードシェルジャケット」。風や雨などの過酷な自然環境から身体全体を覆う「殻(シェル)」をイメージすることからこう命名されている。本格的なハードシェルジャケットでよく使われている素材が「ゴアテックス」だ。この素材は1958年にアメリカで創業されたW.L.ゴア&アソシエイツ社により開発されたもので、「水は通さず、水蒸気は通す」という特性を持ち、防水性、透湿性、防風性を高次元で両立。アウトドアウエアにおける理想的な素材として高く評価されている。この素材を使ったシェルジャケットで、いま、大きな支持を集めているブランドがアークテリクスだ。
1991年に社名を「アークテリクス」に改名。名前は、1億4000万年前、最古の鳥類として知られる始祖鳥の学名である「アーキオプテリクス」にちなんだ造語だ。特徴的なロゴマークはその始祖鳥の化石をベースにデザインされた。
アークテリクスは、なぜ「ゴアテックス」を選んだのか
アークテリクスは、カナダのブリティッシュコロンビア州バンクーバーで誕生したブランド。その前身となったのは1989年に創立されたロックソリッドで、ロッククライマーであったデイブ・レインとその友人ジェレミー・ガードが創業メンバー。2人が最初に製作したのが、ロッククライミング用のハーネスで92年に発表された「ヴェイパー ハーネス」により一躍注目を集める。そんな彼らが、初めてアパレル製品を製作するときに選んだのが「ゴアテックス」という素材だった。
「既に『ゴアテックス』はほかのブランドでも採用していました。『ゴアテックス』の素材を使ったほかのジャケットを着ても私たちは“まだ蒸れる”を感じていたのです。ゴアテックス社に直接、透湿性と耐久性の向上を相談したところ、彼らはその考え方に共感してくれ、協力してくれたのです」
「ゴアテックス」の防水基準には「シームテープ」が不可欠だ。アークテリクスでは、従来25mmが推奨されていたこのテープを、10年かけて、8mmの幅のものを実現。製品自体の軽量化に成功している。
こうして共同開発を重ね、1998年に完成したのが、同ブランド初のハードシェルジャケットである「アルファ SV ジャケット」だった。もちろん当時最新の「ゴアテックス」素材が使われていた。
「止水ファスナー」を生んだ、徹底した機能追求
その後も「アルファ SV ジャケット」は、素材やパーツなど改良を加え、現在でも同ブランドの最高峰のシェルジャケットとして高い人気を誇っている。今回紹介する「ベータ SL ジャケット」のように、これ以降、同ブランドから多くのシェルジャケットが発表されているが、同ブランドが防水仕様のジャケットを生産し始めたときから現在に至るまで、素材は「ゴアテックス」しか使っていない。
自然の中で磨かれる、アークテリクスの哲学
アークテリクスが独自で開発した高い防水性と耐久性を誇る素材「N400r-AC² ナイロン リップストップ」を採用したバッグ「グランヴィル」シリーズ。この素材は400デニールのナイロン生地の両面にウレタンコーティングを施したもので、縫い目にシームテープ処理を施すことで雨などをシャットアウトしてくれる。自転車ユーザーからも高い支持を得ている。 右: 「グランヴィル 25 バックパック」¥39,600 左上:「グランヴィル 30 キャリーオールバッグ」¥27,500 左下:「グランヴィル ショルダー バッグ」¥19,800/すべてアークテリクス
アークテリクスの本社周辺には、美しく広大な自然が広がっている。そんな実際に使われる自然の中で開発した製品を日々試している。同ブランドのHPには「山と一体にあること。それこそが生きる理由であり、自分たちのインスピレーションの源です」とある。その探究心と経験がアークテリクスのシェルジャケットを唯一無二の存在へと押し上げている。
アークテリクス ゲストサービスセンター
※本記事は編集部で調べた内容をもとに作成しています
