【巨大なオレンジの塔】ドバイに突如出現、“光る超高層ビル”の正体とは

  • 文:山川真智子
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ドバイ

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©Ahmad Alnaji – SARAB

世界一高いビルと言えば、ドバイにある高さ828メートルのブルジュ・ハリファだが、そのすぐ近くに、オレンジ色に輝く新たな高層ビルが誕生した。建物を外套のように包み込むのは、堅牢なセラミック素材。その優れた遮熱効果を最大限に利用し、過酷な気候にも適応する持続可能性の高い建築となっている。

超高層複合施設 また一つドバイに誕生! 

ドバイのダウンタウンに位置するワスル・タワーは、302メートルの高さを誇る超高層ビルだ。地下鉄、歩行者用通路、主要道路へのアクセスに最適な場所に立地しており、ホテル、住宅ユニット、オフィスなど多様な用途に対応した複合施設となっている。

設計したのは、アムステルダムを拠点とし、世界7カ国にオフィスを持つグローバルなデザイン事務所、UNS。コントラポスト(体重の大部分を片足にかけて立つ人物を描く芸術技法)の動きを取り入れ、左右非対称が生む躍動感を醸し出す、彫刻的で美しいタワーを完成させた。

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©Ahmad Alnaji - SARAB

機能性、デザイン性抜群! タワーを守る伝統素材

高層ビルが建ち並ぶドバイのスカイラインのなかで、ワスル・タワーをひときわ目立つ存在にしているのはそのファサードだ。外装に使用されているのはセラミック。中東では、歴史的に粘土などを焼き固めたセラミックタイルがモスクの壁面を彩るのに使用され、神聖な空間を表現する装飾として発展してきた。耐熱性、耐摩耗性に優れているうえ、日差しを遮りつつ高いデザイン性も維持できる、この地域ならではの伝統的な素材だ。

タワーを覆う数千本のセラミック製フィンは、日陰を作り、熱放射を抑え、強風を捕らえることで、砂漠の気候に適応。これにより、市内の旧来のタワーと比べて、冷房負荷(室内の涼しさを維持するために取り除く必要がある熱量)を約10%削減できているという。

ファサードは、建物の日照方位に応じて層状に構成され、360度に展開している。セラミック製フィンが直射日光による熱取得を遮断しつつ、自然光を建物の奥深くまで取り込むことで、エネルギー効率だけでなく、居住者の快適性をも高めている。それぞれのフィンには、特注のテラコッタ(素焼き)部材を使用。金属質の釉薬(ゆうやく)で焼き上げられているため、時間帯や季節の移ろいに合わせて表情を変化させるという。

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©JohnseyePhotography

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夜に見せる別の顔 色を変えるファサード

タワーの外装には、世界的な総合エンジニアリング・デザイン事務所、アラップ社と共同設計した特注の照明システムが組み込まれており、24時間眠らない都市の絶え間ないリズムを反映するようプログラムされている。夜間になると、色味と明るさが微妙に変化することでファサードに動きが生まれ、建物は都市景観の中で、躍動する存在へと姿を変える。

伝統的な素材と先進的エンジニアリングを融合させたワスル・タワーのファサードは、デザインの質、高い性能、環境への配慮を統合することで、拡張性の高いアプローチを実現している。この取り組みは、世界中のよりサステナブルな高層ビルプロジェクトに、応用可能なモデルを提示するものと言えよう。

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©Ahmad Alnaji - SARAB

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。

山川真智子

Webライター

早稲田大学第一文学部卒業。レコード会社に勤務した後に渡米し、コミュニケーション学の修士号取得。米ノースウエスト航空機内誌の編集を経て、日本航空の機内エンターテイメントの選定買付に携わる。夫の転勤で通算9年の東南アジア滞在後、帰国して世界のニュースを紹介するライターに。現在は関西の片隅で、仕事の合間にフランス語学習に奮闘中。