【スクエアケースの腕時計3選】タグ・ホイヤーからグラスヒュッテ・オリジナル、ベル&ロスまで、ヴィンテージスタイルが光る“角形クロノグラフ”

  • 写真:渡邉宏基(LATERNE)
  • 文:並木浩一
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いま注目すべき腕時計をデザインの視点から切る、雑誌『Pen』で好評連載中の「並木教授の腕時計デザイン講義」。今回のテーマは「ヴィンテージスタイルの角形クロノグラフ」。前衛的な美学を秘めたスクエアケースのクロノグラフに注目!

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腕時計のケース形状で圧倒的な主流は丸型である。針が円運動を描くアナログ時計では、物理的な必然と言える。だからこそ、常識に抗うように誕生したスクエアのケースには、実用品としての枠を超えた美学が逆説的に宿る。なかでも角形クロノグラフは、腕時計のデザイン史上で特異かつ魅力的なポジションを占めるものだ。

角形クロノグラフの意匠が花開いたのは、モータースポーツが黄金期を迎えた1960年代後半に遡る。それ以前の角形ケースでは、スポーツウォッチに求められる高い防水性能を確保することが困難であった。その課題を乗り越えて防水の角形ケースが実用化されると、その前衛的なフォルムは、レーシングドライバーやファン、そして時計ファンの心をも掴んだ。

そして69年、初の自動巻きクロノグラフ・ムーブメントを搭載した「モナコ」が誕生し、時代の最先端に躍り出る。直線で構成されたソリッドなフォルム、内側に配置された円弧を描くスケール目盛りやインダイヤル。異端の“直線と曲線のコントラスト”を描くクロノグラフは、未知の幾何学的な緊張感の魅力を生み出していた。

それから50年以上を経過した現在。各ブランドは過去の名作に敬意を払いつつ、最新の素材とデザイン、高度な工作技術でヒストリックな魅力を再構築する。ヴィンテージスタイルの角形クロノグラフは、単なる過去への郷愁ではない。半世紀前の先鋭的なデザイン哲学と現代の卓越した時計製造技術が交錯する、美学と美意識の結晶なのである。

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1.TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
タグ・ホイヤー モナコ

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自動巻き、チタンケース、ケースサイズ39×39㎜、パワーリザーブ約80時間、シースルーバック、カーフストラップ、100m防水。¥1,347,500/LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパン タグ・ホイヤー TEL:03-5635-7030

映画『栄光のル・マン』でスティーブ・マックイーンが着用した伝説的モデルを現代的に再解釈した2026年の最新作。アイコニックなスクエアケースのエッジをシャープに仕立て、より直線的で正方形に近いデザインへと生まれ変わった。ケース素材は軽量で堅牢なグレード5チタンを用い、ムーブメントは新開発の自社製「TH20-11」を搭載。

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2.GLASHÜTTE ORIGINAL(グラスヒュッテ・オリジナル)
セブンティーズ・クロノグラフ・パノラマデイト

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自動巻き、SSケース&ブレスレット、ケースサイズ40×40㎜、パワーリザーブ約70時間、シースルーバック、10気圧防水。¥2,277,000/グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座 TEL:03-6254-7266

ブラウン管のテレビ画面を思わせるなめらかな曲線を描くスクエアケースが、1970年代のダイナミックなデザイン潮流を物語る。スモーキーなグラデーションダイヤルとともにヴィンテージの空気感を纏いながら、ブランドを象徴する大型の日付表示「パノラマデイト」が、シンメトリーな文字盤に絶妙なアクセントと実用性を加えている。

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3.BELL & ROSS(ベル&ロス)
BR-03 クロノ ブラック スティール

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自動巻き、SSケース、ケースサイズ42×42㎜、パワーリザーブ約40時間、カーフストラップ(ブラックのファブリックストラップが付属)、100m防水。¥814,000/ベル&ロス ブティック 銀座 TEL:03-6264-3989

ブランドを象徴する角形フォルムの「BR-03」コレクションにラインアップされたクロノグラフ。航空計器のスピリットを腕時計に移植するアプローチにより、コックピットクロック同様の四隅にビスを配したソリッドな意匠が個性的。レトロモダンなブラックダイヤルが、視認性と機能美を極めた武骨なヴィンテージ感を演出している。

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並木浩一
桐蔭横浜大学教授/時計ジャーナリスト

1961年、神奈川県生まれ。1990年代より、バーゼルワールドやジュネーブサロンをはじめ、国内外で時計の取材を続ける。雑誌編集長や編集委員など歴任し、2012年より桐蔭横浜大学の教授に。ギャラクシー賞選奨委員、GPHG(ジュネーブ時計グランプリ)アカデミー会員。著書に『ロレックスが買えない。』など多数。

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