「夏服難民の男たちを救いたい」。その一心で作ったのがこの記事。「こんな涼しく洒落た夏アイテムがあるのか!毎年のマンネリな着こなしから抜け出せそう」。そのように感じていただける、現代的な大人ワードローブのヒントである。
ナビするのは日々エッジーな感性に触れているファッションのプロたち。彼らと相談して、リアルな生活実感を踏まえたガチのお薦め品を紹介してもらった。
前編・後編でお届けする今回は前編。登場する人物は、BLANDET Tokyo 宮本哲明さん、NEAT 西野大士さん、STUDIO FABWORK/ENKEL 西澤祐哉さん。3名が体現する巧みな着こなしも要チェック!
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気分も身体も涼しく。街で着る優雅なリゾート服
BLANDET Tokyo 宮本哲明
ショールーム&ショップの「BLANDET Tokyo」を運営する宮本哲明さん。長くユナイテッドアローズに勤めた経歴を持つ、ドレス&カジュアル、ハイ&ローの守備範囲が広い人だ。
彼が挙げた夏アイテムは、化繊生地のワイドパンツ、古着ラルフ ローレンの派手柄シャツ、フレンチシックな高機能サングラス、快適なパンツ下着の4点。どれも上品、快適、スタイリッシュの3拍子揃ったリゾート系ファッションである。
テロッとしたバギーパンツで大人のトレンド感を
まず披露してくれた装いは、「今夏に絶賛愛用中」というベージュのバギーパンツを主役にしたコーデ。シャツをインして上半身をコンパクトにまとめ、パンツの太さを強調。ワイドパンツの流行が続くなかで、このように上半身を小さくする動きが若者から大人層にまで広がってきた。
足下は宮本さんの夏の定番であるビーサンで軽やかに。長身の人ならではのヌケ感のあるクールなバランスだ。
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シワのなりにくさが秀逸なバギーパンツを日常で
ドレープが優雅なこのパンツの生地はテンセル。木材パルプなどの天然由来の再生素材だ。「これを穿いて化繊のよさを実感しました」と宮本さん。シワになりにくく肌にさらりとして、トップスを古着Tシャツにしても品よい印象になる。デニムのごとく気軽に穿ける一本である。
メンズファッション分野では見た目も心地よさも、歴史的に天然素材が最上とされてきた。しかし近年は美しく機能的な化繊がたくさん登場し、その常識が過去のものになりつつある。汗ばむ夏に役立つ服に皆さんもどうぞトライを。
アロハシャツなら古着ラルフ ローレンを狙え
夏になると着たくなる服が気分爽快なアロハシャツ。ただ一歩間違えると“おっさん”になる難しい服でもある。古着店ではアロハ専業ブランドの品が高値を呼んでいるが、「高価=お洒落」とも言い切れないようだ。
そこでカラフルな柄シャツが好きでたくさん集めている宮本さんにアドバイスを求めた。その最適解は、古着のラルフ ローレンから探すこと。「アロハ感覚でカッコいいシャツはラルフ ローレンが得意とするもの。古着なら色柄のバリエーションが豊富です。素材もアロハのようなシルクや麻が多く夏に快適です」。
ラルフならどの古着店でも扱われているから、誰でもいい出会いがありそうだ。宮本さんはほかの魅力的なブランドとしてジョルジオ アルマーニの名も挙げる。アロハをデザイナーズから選ぶのが洗練された夏服探しのコツだ。
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カール ツァイスの偏光レンズ入りお洒落サングラスが熱い
「フランスのビンテージのようなデザイン。レンズはなんとカールツァイスの偏光レンズ。さらに価格が値頃な傑作です」
そう宮本さんが絶賛する愛用品が日本ブランド「ギュパール」のメガネ。同ブランドの「モチーフ デ ギュパール」ラインの一品である。高級なツァイスレンズを使いながら現行で3万円弱の買いやすさ。偏光レンズはビルのガラスや路面の反射を減らしてくれるため、圧倒的に目が楽になる。
顔にハマる人なら手に入れる価値ありの逸品だ。服装を自由にしたい気分のとき、インパクトのあるメガネを愉しんではいかがだろうか。
竹素材の超さらさら下着をリピ買い
「『もうこれしか穿きたくない』。そう思ってしまうほど惚れ込んだ下着に出会いました。竹素材の布専業ブランドのTAKEFU(竹布)のもの。夏でもベタつかずさらりとして快適です。嫌な臭いも生じにくいことを実感。アンダーウェアは形も様々ですし、人により相性がわかれるアイテムでしょう。合う人はきっと大好きになる、年間通して穿けるお薦め下着です」
宮本さんはこの下着を入手して気に入ったあまり、自宅の寝具も竹布の製品に切り替えたそう。肌に触れる布製品にこだわり、自身の服装も生活環境もすっきりと整えるのが宮本スタイルだ。
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レトロスポーツとドレスウェアの狭間で
NEAT 西野大士
パンツブランドNEATのデザイナーであり、国内外のファッションブランドを集めたショールーム「にしのや」も運営する西野大士さん。全国の古着店を集めたイベントを主催するほどの古着好きでもある。彼のセンスのベースは古き良きアメリカ。
提案してくれた夏アイテムは、ビジネスマンにも嬉しい大人のドレスダウンに役立つもの。都会で被るアウトドアキャップ、歩きやすいビーサン、涼しいロングパンツの厳選3点だ。
今回紹介するアイテム3点である帽子、パンツ、サンダルをすべて組み合わせたコーデ。リラックスした夏の大人ベーシックである。実に洒落た装いだが、帽子を脱ぎ足元を革靴にすればビジネスシーンで通用する。男性の装いは小物使いが重要な鍵となることがよくわかる着こなしだ。
街中こそパタゴニアのアウトドアキャップが映える
落ち着いた服でキレイめに装うとき、スポーティな味付けになる便利アクセサリーがキャップ。そこを夏らしいエスニック系やアロハシャツ系の色柄にするのが西野さん流のドレスダウン。
「今日着たストライプシャツ+ドレッシーなパンツのような服装に、ポップさを足すのに便利なのがアウトドアキャップです。でも服はアウトドア系にしないほうが都会的な印象になりやすいでしょう。着崩すアクセントとしてキャップを活用するのがいいと思います」
ここに載せているのはすべて、西野さんが大好きなパタゴニアのもの。このようなロゴなしを選ぶのも全身の印象をシックにまとめる重要テクニックだ。
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1万円以下のサロモンなら気軽に買える
「今年買ったばかりなのですが」と見せてくれたのがクッション力抜群のトングサンダル。
「たまたま前を通ったサロモンの店で見かけたもの。思わず買ってしまいました。なにせ7千円代でしたから。『黒も買っておけばよかった』と後悔してるほど気に入っています」
西野さんといえば飛行機移動の海外出張もトングサンダルで出掛けるほどのサンダル好き。その彼のお墨付きなら安心して履けそうだ。
「サロモンがこの価格で手に入るのも嬉しいですよね。ファッション業界人に人気が高すぎるサロモンに、僕は逆に苦手意識を持っていました。でも試しに一度履いてみたら快適で、いまはすっかりハマってます」
高価格帯が多いサロモンをなにか一足ほしかった人も狙いめの買い得な品だ。
夏に暑すぎるロングパンツ問題を、NEATの最新作で解決
ドレッシーですっきりシルエットの黒スラックス。西野さん自身のブランドであるNEATの最新作である。仕事シーンやフォーマルシーンにぴったりな佇まい。「でも暑そう……」と思いきや、風を通し汗の渇きも早い優れものなのだ。
使われた生地に秘密がある。無数の細かな穴が開けられた化繊の「クールドッツ」。空気の循環がよく水濡れの乾きも早い。さらに大きく伸び縮みして、汗が染み出しにくい撥水性も兼ね備える。妙なシワもつきにくいから脚がすらりと伸びる。まさに夏を乗り切るのにベストチョイスなパンツである。
元はスポーツ用途のクールドッツを日常着に採用するファッションブランドはほかにもある。ただし西野さんの発想が異なるのは、クラシカルな本格テーラリングで仕立てたこと。他ブランドは機能に全振りして、スポーツカジュアルや簡易仕立ての仕事着にするのが通例。正統派のドレスシーンに対応するのがこのパンツの大きな個性だ。
細身のシルエットを活かしてオーバーサイズのトップスを組ませても全身がバランスよくまとまる。あえてカジュアルなTシャツなどでオフシーンで活用するのもよさそうだ。
なお同素材のワイドパンツ、ショートパンツ、テーラードジャケットも6月より発売される予定。すべて直営店限定品で数も限られるため、ほしい人は早めにNEATの店を訪れるのが吉である。
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ドレッシー&カジュアル、短パンの2通りの着こなし
STUDIO FABWORK/ENKEL 西澤祐哉
パリ・ファッションウィークや東京・ファッションウィークに参加するデザイナーズをはじめ、尖った感性のブランドを多数取り扱うPRオフィスに勤める西澤祐哉さん。彼の日常着は、古着を混ぜたリラックスしたカジュアル。今回見せてくれたのは「夏はこればかり穿いてます」という短パンの2種類の着こなし方法だ。印象を格上げするのに役立つ優雅なシャツも紹介してくれた。
プリントTシャツこそ、ボトムはドレッシーに
「短パンだけどソックスに革靴。これがクタッとした古着プリントTシャツを都会的に着るコツだと考えています」
そう語る西澤さんが自ら示してくれたのが上写真のコーデ。下半身を黒でシックに統一させ、海辺のようなパラソルTをお洒落なグラフィックTに演出した。パンツがウール素材なのも、短パン姿を大人にするのに大きく貢献している。ゆったりと布のドレープが美しい短パンは、いまや誰もが一本は持っておきたい夏の必須ワードローブだ。
「ドレッシーな服装を古着Tで着崩す」というより、「古着Tを着たいから、締めるべきところは引き締める」という発想のコーデだ。パンツはパリでのコレクション発表も話題のシュタインで、シューズはスリッポンを得意とするポストプロダクション。ブランドのセレクトにも抜かりはない。
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デニム短パン+サンダル+タンクトップは、極薄ドレスシャツを羽織って
先程の服装とはがらりと変わってここで着たのは、休日感満載のデニムパンツとサンダル。野暮ったくなりがちな装いを、テロッとした高級感のあるシャツでアップグレード。
「夏こそシャツが大活躍します。半袖より長袖のほうが大人な印象になるからお薦めです。暑いときは僕は腕まくりして着てますね」
西澤さんのように細い体型の人は、半袖だと腕が貧相に見えることがある。長袖を選ぶほうが安心だろう。
今回着たシャツには優れた特性がある。一見すると(手で触っても)織った布としか思えない生地だが、実はニット編み。いわば超細い糸を使い、徹底して網目を詰めたTシャツ生地のようなもの。和歌山の老舗ニットメーカーが発信するカネマサフィルの品だ。
「洗濯して乾かすだけで、アイロンいらずで着られる点が気に入っています。イージーケアで夏にぴったりです」
上のシャツ2点は、秋近くに発売される予定の最新作。カネマサフィルはニットシャツのバリエーションが豊富で、現在販売中の夏ものにも爽やかなデザインが多数ある。公式オンラインストアなどで探してみよう。
合繊とコットンを混ぜたニットシャツは、編みゆえの高いストレッチ性も売りだ。シワがつきにくいメリットを活かし、クルッと丸めてバッグに入れて持ち歩いてもいい。冷房が効いた室内や、Tシャツ一枚では品格に欠ける場所でサッと羽織れる。現代日本の生活にフィットする、ドレスシャツ好きの心をくすぐる逸品である。

ファッションレポーター/フォトグラファー
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。
明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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