元"世界一のレストラン"「noma」のソムリエが魅せた銀座の熱狂。アンダース・フレデリック・スティーン来日イベントレポート

  • 文:Pen編集部
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イベント会場はナチュールワイン愛好家で埋め尽くされた。

4月12日、Ginza Sony Parkの地下空間で開催された「KANPAI NATURAL WINE FES vol.1」。自然派ワインのカリスマ的生産者として知られるアンダース・フレデリック・スティーンが来日し、著書『Poetry is growing in our garden』日本語版の出版を記念した本イベントの会場は、開場とともに多くの熱狂的なナチュールワイン愛好家たちで埋め尽くされた。

「noma」ソムリエから異端の造り手へ

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アンダース・フレデリック・スティーン

アンダース・フレデリック・スティーンは、「世界のベストレストラン50」で世界一に輝いたコペンハーゲンのレストラン「noma」(2024年閉店)でソムリエとしてキャリアをスタートさせ、「Relæ」や「Manfreds」といった名店をプロデュースした経歴を持つ。2013年からは南フランスへ渡り、独自の直感的なアプローチでワイン造りを開始した。信頼する農家から良質な有機栽培のブドウを買い付けており、彼のワイン造りに固定されたルールやレシピはない。妻のアンネとともに、毎年その年のブドウの個性に寄り添い、酸化防止剤を添加せず、植物や自然の合図に従ってワインを生み出していく。

今回、日本語版がtwelvebooksより刊行された『Poetry is growing in our garden』は、彼が醸造家としての道を歩み始めた2013年から8年間にわたり書き綴ったノートをまとめたものだ。当初は誰かに読ませるためではなく、ワインの味わいやテイスティング、ペアリング、そして醸造家としての葛藤を忘れないための「自分自身へのメモ」であったという。568ページに及ぶこの重厚な一冊は、単なるワイン造りの専門書ではない。ワインと向き合うことを通して、ひとりの人間がいかに変化し、成長していくかを記録した哲学的な探究の書である。

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アンダース・フレデリック・スティーンの著書『Poetry is growing in our garden』(twelvebooks)。表紙はブルー、ベージュ、レッドの3色がある。

 

哲学を味わう、熱気あふれる地下空間

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会場に用意された約40種のワイン

ワインセレクターの平澤淳一が主宰する「gubi gubi」の呼びかけにより集結した会場には、彼が手がけた約40種にも及ぶワインがラインナップされた。

カウンターには『Breathing through a hole in the air』や『Tout ce qui est beau revient』といった、彼特有の詩的な名前が冠された希少なバックヴィンテージがずらりと並ぶ。アンダース自らがボトルを手に取り、参加者へ直接ワインを振る舞っていた。グラス越しに造り手本人と語り合い、彼の思想に直接触れることができる極めて濃密な時間となった。

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アンダースも会場内で多くのファンとコミュニケーションをしていた。

ワインの魅力をさらに引き立てたのが、ジャンルを超えたトップクリエイターたちの共演だ。奥沢の名店「イゴラ」の坂井シェフや、出張料理人・岸本恵理子および「Nibun no Ichi」チームによる特別なフードが提供され、見事なマリアージュを披露。さらに、DJ(flow・KENKOU、SEEALL・瀬川誠人)の心地よい選曲が空間を包み込み、会場ではSEEALLとのコラボTシャツも販売されるなど、ワインを軸としたライフスタイル全体の広がりを感じさせる構成となっていた。

事前予約制・定員160名で開催された会場の熱気は、単なる試飲会の枠を越え、ひとつの文化的なサロンとして機能していた。造り手の想い、それを愛する飲み手、そして食や音楽が一体となった本イベント。自然派ワインがつなぐコミュニティの豊かさと、今後のさらなる盛り上がりを大いに期待させる一夜であった。