スコッチウイスキーの聖地と称されるスペイサイドで、200年以上にわたりウイスキーをつくり続けているザ・マッカラン。
変わらないために進化するウイスキーづくりは、まるで壮大な時間の旅(タイムトラベル)だ。
琥珀色の美酒が誘う、上質な時間の旅へ
「ザ・マッカランの始まりの地であるこの場所は、私たちにとってなによりも重要な存在です」
そう話すのは、ザ・マッカランが所有する広大なエステート(敷地)の管理責任者を務めるレイチェル・ウォルターズ。スコッチにとっての母なる川であるスペイ川が流れる敷地内には、数百年前から変わらない森林や大麦畑が広がり、ブランドの象徴たるイースター・エルキーズ・ハウスが立つ。
右:スコットランド北部、ウイスキー蒸留所が密集するスペイサイドエリアに位置する。
マッカランが生まれた、その源流をたどる
ザ・マッカランの始祖であるアレクサンダー・リードがこの地で正式に蒸留所を創業したのは1824年のこと。蒸留所はその後、良質なシェリー樽での熟成でザ・マッカランの礎を築いたロデリック・ケンプや、ケンプの子孫であり天才的な広告センスでブランドの名声を広めたアラン・シアックなどに受け継がれ、現在はエドリントン・グループが所有する。
2018年から稼働する新たな蒸留所では、製造工程のオートメーション化を実現した一方、創業当時のままの形状を踏襲した蒸留器での蒸留など伝統を継承したウイスキーづくりを行う。
「創業者が考えた蒸留器がザ・マッカランのスタイルを決定づけました。私たちがキュリアスリー・スモール(不思議なほど小さい)スチルと呼ぶこの蒸留器によって、フルーティで厚みのある味わいのニューメイクスピリッツ(熟成前の原酒)が生まれるのです」
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業界唯一の垂直統合が生み出す、
すべてが至極のシングルモルト
そう話すのは、8名からなるチームを率い、蒸留所でのウイスキーづくりを指揮するマスターウィスキーメーカーのカースティン・キャンベル。ザ・マッカランの原酒のポテンシャルを最大限に引き出すのが、カースティンが「私たちのニューメイクスピリッツと完璧にマッチする」と話すシェリー樽での熟成だ。
リッチな香味を持つこの原酒と良質なシェリー樽、ザ・マッカランにはその両者が不可欠だ。そこで彼らが挑戦しているのが、シェリー酒を生んだスペインとスコットランドを結ぶ〝バーティカル・インテグレーション(垂直統合)〟だ。
厳しい品質基準を満たす樽の調達を将来にわたり可能とするため、2023年にはスペイン南部のヘレス・デ・ラ・フロンテーラにある特級畑、〝マチャルヌード〟のブドウでつくる高級シェリー酒「バルデスピノ」を持つ、「ボデガス・グルーポ・エステベス」を傘下に収め、同社の製樽工場も取得した。そうしてスペイン北部や北米の製材所などとの緊密なサプライチェーン網を完成させた。
「シェリー樽を使うウイスキーメーカーは数多くありますが、樽になるオークの木の育成から製樽、そして最高品質のシェリーによるシーズニングまでを、自社で管理することができるのはザ・マッカランをおいてほかにありません」
樽管理の責任者を担うアナ・アクーナは、誇らし気に語る。
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ひと粒のどんぐりから育つオークがやがて樽となり、ヘレスからスコットランドへと、シェリー樽は旅をする。そして蒸留所でニューメイクスピリッツが詰められた樽は、スペイサイドの空気を呼吸し、ゆったりと流れる時の中で眠りにつく。〝どんぐりからグラスまで〟――その歳月はゆうに100年を超える。
「蒸留所で働く私たちはエステートの守護者であり、過去の偉大なる歴史と200年後の未来をつなぐタイムトラベラーのような存在なのです」と、レイチェルは言う。
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サステナブルな、エコシステムの構築を目指して
遠い未来を見据えたザ・マッカランのウイスキーづくり。近未来的な装いの新蒸留所が想起させるのも、ウイスキー蒸留所の未来だ。
最先端の技術とモダンなデザインが融合する蒸留所には、840本のボトルが展示される圧巻のアーカイブやファインダイニングなど、ザ・マッカランらしい施設も充実。蒸留所内では太陽光やバイオマスなどの再生可能エネルギーを積極的に活用し、エステート内の生物多様性の数値を向上させる数々の取り組みも行う。
すべてはザ・マッカランがザ・マッカランであり続けるために。過去と現在、そして未来をつなぐ壮大な時間の旅が、次なる200年に向けた新たなストーリーを紡いでいく。
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